「グラディウスV」はコナミから発売されているプレイステーション2用のシューティングゲームです。グラディウスシリーズの歴史はとても古く、初代グラディウスは約20年前のゲームセンター版から始まり、その後ファミコンやMSXにも移植されました。今回紹介する「グラディウスV」はシリーズ5作目となります。
しかし、「グラディウスV」が発売される現在の状況は厳しい状態です。ゲーム業界の流行はRPGが主流でシューティングゲームはお世辞にも人気があるジャンルとは言えません。しかも、シリーズ物はシリーズを重ねるごとにゲームの新規性は薄れていき衰退していくのが常でした。グラディウスではありませんがシリーズ物のゲームでシリーズを重ねる毎にゲーム内容が劣化したゲームは数知れません。
本作はそんな「ゲーム業界の流行の変化」と「シリーズ物につきまとう不安」の中、発売されました。おそらく「グラディウスV」が発売された時、「今時シューティングは売れるのか?」や「シリーズものだが内容は廃れてないのか?」と誰もが感じたでしょう。
私は本作の売り上げが最終的にどうなったのかは分かりません。
しかし、私は本作をプレイしてみて「グラディウスV」はシリーズの良さを引き継いだ万人に勧められるゲームであるとの感想を持ちました。
そのように感じた理由は3つあります。
・歴代グラディウスの良い点を継承している点
・誰でもクリアできる処置が施されている点
・繰り返しプレイして遊べるようにできている点
(1)歴代グラディウスの良い点を継承している点
「グライディウスV」がまさしく「グライディウス」の続編だと言わしめるためには、歴代グラディウスが持っているゲームの要素を「グラディウスV」も持っている必要があります。またその要素は、ゲームを面白くさせる「良い点」でなければなりません。
本作は歴代グラディウスの「良い点」である以下2点を継承しています。
・個性的なステージ
グラディウスはステージ一つ一つに個性があります。例えば、生物の体内のような生体ステージや、猛スピードでシャッターの中をかいくぐっていく高速ステージなどです。
本作でも生体ステージ、高速ステージはもちろんのこと、隕石が多数飛んでくるステージや、ゲル状の物体が巨大な戦艦の中をゆらゆら水面のように揺れるステージなどがあります。
このような多彩なステージはプレイヤーに次のステージへの関心を持たせます。そしてプレイヤーに関心を持たせることは、プレイヤーに次のステージ見たさに一生懸命プレイさせるきっかけを与えてくれます。
・洗練されたパワーアップシステム
パワーカプセルを取り自機をパワーアップさせていくシステムは、単純ですが奥が深いものがります。なぜならば、パワーアップの順番でステージ攻略の難易度が変わるからです。そのためプレイヤーは、ステージの進み具合や敵の状況にあわせてどの順番でパワーアップするか考える必要があります。このようなどの順番でパワーアップするかを考えさせてくれることは、プレイヤーに攻略の楽しさを感じさせてくれます。
(2)誰でもクリアできる処置が施されている点
本作は歴代グラディウスの良い点を継承していることは前述したとおりです。しかし、前作の良い点を継承しているだけではゲームとして十分とは言えません。なぜならば、シューティングゲームはRPGと違ってクリアするのにプレイヤーにテクニックがいるからです。従って、どんな人にもゲームを満足してもらうには、テクニックが無い人にもゲームを先のステージに進めさせるような救済措置が必要になります。
本作はテクニックが無い人への救済措置を以下2点の方法で取っています。
・途中復活制の導入
歴代グラディウスは自機が破壊されるとステージの途中まで戻って再スタートしました。しかし、このシステムは自機が破壊されるたびに途中まで戻されるため、何度コンティニューしても同じところでミスをし、次のステージに進めないという問題がありました。
そこで本作は自機が破壊されるとミスした場所から継続してプレイできるようになっています。こうすることによりテクニックの無い人でもコンティニューすればステージを進めることが出来るようになりました。
しかし、途中復活制はコンティニューし続けるとテクニックの有り無しに関わらずとりあえず前に進めてしまうデメリットがあります。
本作はこのデメリットをなくすための処置も同時に講じています。本作ではプレイの段階ではコンティニュー回数を制限し、何回かプレイしていくうちにコンティニューできる上限回数が徐々に増えていくようしています。こうすることにより買ったその日に、だらだらコンティニューしているうちにゲームクリアしてしまうデメリットを防いでいます。
・ステージ選択機能の導入
本作では、コンティニューしながらゲームを進めていくのは気に入らないという人のためにステージ選択機能を導入しています。本機能により向上心のある初心者は、不得意なステージを完璧にできるようになるまで思う存分プレイすることができます。
(3)繰り返しプレイして遊べるようにできている点
「グラディウスらしいゲーム」であることと「初心者に優しいゲーム」であることは重要なことですが、繰り返しプレイして遊べる工夫ができる点もシューティングゲームとって重要なポイントです。
なぜならばシューティングゲームはRPGのように何日もかけてエンディングにたどり着くものではなく、数時間でエンディングにたどり着いてしまうものであるからです。従って一回エンディングを見ただけでゲームを遊びつくしてしまうようでは、どうしてもボリューム不足に感じてしまいます。
本作では繰り返し遊べるように複数のパワーアップのタイプを用意しています。例えば、ミサイルの代わりにナパームボム、レーザーの代わりにリップルレーザーといった具合にです。このようにパワーアップのタイプを変えることによってステージの攻略がかなり変わります。従って一度エンディングまで見たとしても、次回は異なったパワーアップのタイプで異なった攻略方法でプレイすることが可能となり、何度もゲームをプレイすることが可能となります。
以上の理由より、私は本作品を「グラディウスV」はシリーズの良さを引き継いだ万人に勧められるゲームとしました。
最近のゲームにしては難易度が高すぎるきらいはありますが、前述したように初心者でも遊べるようになっているため、よく出来たオススメのゲームであると思います。