虚空漂浪日記

魂の開放を求めて、右往左往。嫌われものの”宗教”の根本を捜し求める日記です。

データの改ざんと事実の曲解は常に行われる

2011-09-20 06:07:50 | 社会
9月に入ってから、の日が多いようです。秋雨といいますが、ジトジトしていい感じではありません。

さて、8月に入ってから、関東・東北・北海道の下水道からヨウ素が検出されるなど、おかしな現象が生じています。
どこから飛んできたのでしょうかね?

話は変わりますが、福島原発人災事故から放出された放射性物質を過少評価し、かつ、危険性がないものとする事例として、1945年(昭和20年)~1980年(昭和55年)にかけて行われた大気圏内核実験による放射性物質の降下による影響と比較されることがあります。
例えば、こんな風に・・・。

「昭和の列島全体と平成の福島原発周辺の内部被曝は同レベルで、どちらも健康への影響は無視できるレベルです。その放射能のせいで、だれも禿げないし、白血病にもならない、ガンにもならない、寿命は短縮しない、遺伝の影響もないのです。」

こんな調子で、御用学者はよく発言していました。
そんな内容を取り上げ、ブログに書いている御仁がいましたので、参考までに載せておきますね。

http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/34772537.html(「あなたが子供だった時東京の放射能は1万倍!」週刊新潮記事を読む:Ddogのブログレッシブな日々)

御用学者がたくさん登場しており、その話をつなげて”低線量”の放射能は危険ではないという方向に話を持っていくのですね。
因みに週刊新潮は、電力系PR広告出稿ランキング4位に堂々入賞している週刊誌です。(2010年3月11日~2011年3月11日の1年間)
原発を客観的にみることはできない週刊誌ですから、反原発などとんでもないわけで、提灯記事しか書きませんw。

私が前回のブログで勝川先生の記事を利用し、解説したのは、実は上記のような見解があるため、勝川先生の記事内容を精査しておかなければならないと思ったからです。

「検出限界が108Bqぐらいの所にあり、現在は検出限界近傍を行ったり来たりと思われる。311以前の比較的クリーンな状態であっても、京都府全体では何百MBqというオーダーで、Cs137が降下していたのだ。
ちなみにデータベースの最新の値は、2010年3月の322910000Bqである。陸前高田の護摩木の表皮から京都府が検出したCs137が588Bq/kgだから、護摩木の表皮549167kg分に相当する。
陸前高田の護摩木の表皮を燃やすかどうかを議論する前提として、その何十万kg分もの放射性セシウムが毎月降下していることは前提として知っておいた方が良いだろう。」(「京都府へのCs137降下量の経年変化」勝川俊雄 公式サイト)

陸前高田から持ってきた護摩木からセシウム137がでたので、燃やすのを中止したという事態に対する問題提起として勝川先生の記事が書かれています。
護摩木からでたセシウム137の55万倍(549,167Kg)のセシウム137が、京都では現在(?)も降っていると読める内容です。

取りようによっては、「護摩木のセシウム量なんた大したことないよ!」ともとれますし、御用学者の意見を裏打ちするような見解にも受け取れ、誤解を生む内容といえます。
無論、勝川先生にそういう意図があったとは思いませんが、”これが事実です!”みたいなことはちょいと不味(まず)いなと思いました。

そこで、勝川先生の意見を精査することにしたのです。

その精査した私なりの見解が前回のブログ内容です。

確かに、大気圏内核実験があった時期に、世界中に放射性物質が降ったことは事実でしょう。
ですが、それがどのような影響を与えたかについては、あまり問題意識がなかったように思うのです。
ほとんどの人が知らなかったし、知らされもしませんでした。
にも関わらず、何の影響もなかったなどと発言している無責任な御用学者がたくさんいます。
私もわかりませんが、多分、その影響は調査されていないか、或いは調査していても知られていないかだろうと思います。

私が以前に指摘したように、僅かな放射性物質でも人体にとって危険なことは明らかです。
ですから、私たちは大気圏内核実験によって降下した放射性物質の影響によって、何等かの影響を受けたと考えておくことが妥当だと思います。
ガンによる死亡が第1位になったことなどもその影響かも知れませんが、今は何ともいえません。

さて、大気圏内核実験終了以降の放射性物質の降下について、私は黄砂の影響だろうと推測しましたが、農業環境技術研究所という機関が、同じ見解にたつ調査をしていました。

http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result24/result24_68.html(「黄砂とともに飛来する放射性セシウム(137Cs)」農業環境技術研究所)

ただし、報告書を見失いましたが、地面に積もった放射性物質-ここではセシウムですが-風で舞い上がって記録されたと考える報告書もありました。
降下の時期が一致するので、私は黄砂説を取りますが・・・。

さて、余り注目されていませんが、日本でも低線量被ばくの大規模調査が行われていました。

「福島原発事故以降、放射性物質拡散と低線量被曝の危険性について政府は、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準を元に、安全との見解を示してきた。だが8月1日、参議院復興特別委員会で自民党の古川俊治議員が放射線影響協会の資料を示し、低線量被曝の国内調査結果が存在すると主張。」
そのデータがこれです。

http://www.rea.or.jp/ire/pdf/report4.pdf(文部科学省委託調査報告書「原子力発電施設等
放射線業務従事者等に係る疫学的調査(第Ⅳ期調査 平成17年度~平成21年度)」)

読んでみると分かりずらい報告書ですが、低線量被ばくでもガンの発症は高まるという結果なのですが、そう言わないのがこの報告書の”味噌”ですw。

調査の趣旨に、

「近年公表された15ヵ国合同解析、英国放射線業務従事者の調査結果では、白血病を除く全がんについて統計学的に有意のリスクの存在することが報告されているが、喫煙を含め交絡因子の関与の程度が不明確である。」

として、「喫煙を含め交絡因子の関与」についても明らかにしたそうです。

欧米の調査では、放射線業務従事者は-100mSv以下の低線量被ばく者ですが-「全がんについて統計学的に有意のリスクの存在する」のだそうです。
平たく言えば、100mSv以下の低線量被ばく者でも、一般の人に比べてガンによる死亡者は多いといっているのですね。

さて、日本の結果はどうであったかと言えば、一般のガン死に比べて放射線業務従事者はガン死が1.04多いという結果になってます。
これは一般のガン死を100人とすれば、放射線業務従事者は104人がガンで死亡しているということです。

この放射線従事者の平均被曝線量は”累積”で13.3mSvです。
それで、この影響がでているのです。
20mSv/年まで「健康に影響を与えない」などと言っている官僚達は、こんな報告書はみたくないでしょうねw

無論、この報告書ではそんなことは認めていません!

「累積線量にともなって白血病を除く全悪性新生物の死亡率に有意の増加傾向が認められたのは、喫煙等による生活習慣等の交絡による影響の可能性を否定できない。
一方、非新生物疾患についても悪性新生物(固形がん)と同様に、喫煙関連疾患、非喫煙関連疾患に分類して調査したが、双方の死亡率には累積線量にともなう有意の増加傾向は認められなかった。
喫煙関連の悪性新生物と喫煙関連の非新生物疾患で、死亡率と累積線量との関連が異なるのは、喫煙による影響(リスク)は、悪性新生物が非新生物疾患より大きいことに起因していることが考えられる。」(同報告書より)

何やら、訳のわからないこと言ってますが、要するに、タバコ等の影響で放射線従事者のガン死が増えたといいたいようです。

ですが、これには明らかなゴマカシがあります。

タバコなどが悪るいとするならば、この様な関係が成り立ちます。

[非喫煙者]<[喫煙者]で、[非喫煙者+喫煙者]=[全ガン死亡者]=[放射線従事者の非喫煙者のガン死]と同じだとすれば、[一般の非喫煙者のガン死]<[放射線従事者の非喫煙者のガン死]の関係が成り立つはずです。(報告書ではそう言っている)

これは比較できないのですが、彼らの論理からすればそうなります。
つまり、喫煙があろうが無かろうが、低線量被ばくによるガン死は増加するということであり、低線量被ばくは明らかに危険だということになります。

欧米の調査結果を覆(くつがえ)そうとしたのでしょうが、かえって低線量被ばくの危険性が明らかとなり、「喫煙等による生活習慣等の交絡」などという言葉で誤魔化そうとしたことは明らかです。

このように、広範囲な調査によって低線量被ばくの危険性は証明されているのですが、”認めたくない”というのが官僚どもや御用学者の立場です。

小難しい話になりましたが、自民党の議員が低線量被ばくの危険性を言うのも時代の流れでしょうか?

何とか誤魔化そうとする人達に、いくら調査させても無駄なのでしょうね。

では、またお会いしましょう

一刀斎は、すべての原発の廃止を支持します!




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