OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

年金通帳?

2005-08-31 11:43:32 | Weblog
○民主党は29日、政権を獲得した後に進める年金制度改革で、過去の支払総額など被保険者の年金情報がひと目で分かる「年金通帳」を作製し、被保険者全員に配布する方針を固めた。

 年金通帳には、その時点までの
(1)掛け金の累積納付額
(2)支払い状況
(3)受給までの年数
(4)見込み受給額
(5)基礎年金額、などの情報を盛り込む、という。情報は定期的に更新される

<解説>
 選挙戦が始まったので、あまり個別の政党の政策に云々ということは言いたくありませんが、一言だけ。

 多分、民主党の案の年金通帳の、(1)(2)は瑣末な問題でしょう。今までの払い込み保険料は教えてくれたらそうかなあと思う程度のこと。

 問題は(4)
 今でも見込み額を教えてくれます。
 55歳以上ならすぐ、教えてくれます。
 
 ただ、55歳前の人は、計算できるけど教えてくれない。(コンピューターでの対応はできていると思います)55歳以降の人は、今会社員だったら、それがそのまま60歳まで続くという前提で試算するわけですが。

 なぜか?
 
 当たり間だけど、年金額は、将来が全くわからない。 それは年金制度が磐石でもわからないんです。

 理由はカンタン、物価や賃金の上昇に応じて年金額が大幅に変化するから。

 逆に言うと、今の人に年金額を教えてあげても意味がない。40歳の人に今までの年金加入実績からはあなたの現在の年金は○万円です。なんていっても貰うのは65歳でしょ? その間物価が全然上がらないかもしれないし、2倍になっているかもしれない。

 そういうことを回避するために、
 ポイント制というのを導入したいというのは、厚生労働省の案でありました。40歳の人に今は貴方のポイントは幾らたまっています。という形にする。
 額が知りたければ、ポイントにある率を掛ければ現在までの年金額が容易にわかる。物価や賃金の上下はそのポイントにかける乗率を変化させる。

 今まで、そういう動きはあったんです。別に目新しいことでもなんでもない。

 民主党の岡田代表は、将来貰える額がわからないから年金不安があるというようなことをいっていたんですが、状況に応じて年金が変わっていくというのは公的年金の特徴なんですけどねえ。

 あと、今でも本気で将来貰える額がわからないとお思いなんでしょうか?
 うちに連絡していただいて年金の履歴をお持ちになれば、何歳の方でも「今時点の年金額」を正確に計算しますが。
 年金不信の本質は、額が通知されていないのもそうですけど、それよりもし計算されても「その計算額が果たして将来もらえるかどうか」なんですが。

 公的年金じゃない、民間の保険会社の年金は、将来○万円もらえます。ということを明言する。確かにわかりやすいけど、将来○万円と具体的な額を言うことはまた逆にマイナスがある。

 現場で年金相談をやられたことがない政治家の先生にはそのマイナスがわからないのかな。
 年金通帳自画自賛してますけど、ポイント制の年金履歴の通知という形で今の厚生労働省がやろうとしていることの、二番煎じだということには早く気がついてほしい。「年金は民主党」そう主張するのもいいんですけど、なんか自分たちがすごいことをしていると自分たちに酔っている気がします。

 不偏不党のつもりだったんだけど、年金をメインにしたいのに、このずさんな提案をすることには、ちゃんと反論しときたくて思わず書いてしまいました。


 

選挙前だから解説 民主党の年金政策に言いたいこと -2 

2005-08-29 10:37:01 | Weblog
 昨日あたりからマニュフェストの評価とか色々新聞にでています。

 記事によると、「年金については自民4:民主8」

 いや、確かに民主党の案は正論を並べています。方向性は正しい。文章を採点するとそうなるかも。
 でも、そのマニュフェストの評価のところに「実現可能性」というポイント項目があったのでしょうか? そこがなければダメだと思うのですけれど。

 民主党の年金政策の最大の欠点は、「実現可能性が乏しい」ということ。

 この前の言いたいことにも書きましたが、民主党の年金を実現するためには、所得の全国民の完全把握」が前提になりますよね。

 保険料は、夫婦で所得の合計に応じて払うということです。
 今は、国民年金は定額、厚生年金は給与に比例して払います。だから勤め人だけど、不動産収入が年300万円という人でも、勤め人の給与だけから年金保険料は引かれる。
 でも、所得を把握するのであれば、この方は「給与+その不動産所得」から年金保険料を計算するということになります。
 
 どうですか? 正論だけど、作業は容易ではなくめちゃくちゃ大変。しかもそういう風に自分の財布の中身を完全にガラス張りにされることへの国民への嫌悪感も強いです。
 
 小学生の優等生が、
 私は宇宙飛行士になりたい。 と作文を書き
 平凡なやつが、
 俺は大公務員になりたい。 と作文を書いたとします。

 学校の先生は、優等生の作文が「国語」という観点優秀であれば、それに高いポイントをつけるでしょう。
 でも実際優等生だからといって、宇宙飛行士になれるかどうかはなはだ疑問。まだ日本時宇宙飛行士なんて手で数えられるほど。

 一方公務員の場合はどうか?
 これなら、実現はかなり可能性は高い。採用試験に落ちて公務員になれないという可能性もありますが、平凡なレベルでも、普通に勉強すれば、特別「キャリア公務員のような頭脳明晰でないとなれない」公務員を除いて、夢はかなう可能性が高いでしょう。

 今回の年金の争点をものすごく単純化してしまえば、民主党の年金政策を支持される人は、実現可能性が高い と考えられていらっしゃるでしょうし、支持されない人は 実現不可能 という視点で見られているということでしょうかね。

 最後に、民主党さんに一言申し上げたいとすれば、
 年金の公平は極めて難しい ということ。

 「税を財源とする「最低保障年金」を設け、老後の最低限の年金を保障します。」
  
 マニュフェストにこういう文章があります。
 しかし、これは「今未納の人さえも税金で救済する」ということなのか? ちょっとわからない。でもそうだったら真面目に払った人より払わない人のほうが得じゃないか。すぐそういう異論が出ます。未納者を優遇したら絶対ダメです。必ずモラルリスク(けっ、やってられるかというような不満)が起こります。今でさえ、保険料未納無年金者が生活保護で救済されるということに不満は高い。(国民の義務を果たしていないのに権利は享受しているわけですから)

 じゃ、法律改正をした後からの期間分のみ「最低補償年金」の対象となるのか?
 そうなったら、年金保険料の未納による無年金者の救済の実行まで30-40年はかかりますよね。今50歳くらいの人で、今まで30年未納だった人は、あと10年分の期間に応じた年金しか貰えない。

 あの1行だけでも真剣に考えるとものすごく、「自分たちのマニュフェスト実現にはハードルが高い」ことは認識されたほうがいいんじゃないかなあ。と思いますが。

離婚時年金分割 - サンケイWebの間違い

2005-08-29 10:05:19 | 離婚時年金分割
http://www.sankei.co.jp/news/morning/29iti003.htm

 普段は著作権の関係が完全に問題解決していない上(※)、なるべくリンクを貼る事はしませんが、これは明らかに間違いなんです。間違いは放置できない。すぐに訂正してもらわないと困る。「訂正してもらえたらこのブログも消去または内容を書き換えます」

間違い1
 「サラリーマンは六十五歳以降、老齢厚生年金が受けられる」が、

  ウソっ。確かに法律的にはそうだけど実質的には、「老齢厚生年金」が完全に65歳支給になるのは、男性昭和36年、女性は昭和41年生まれの方からで、まだまだ完全実施は先のこと。
 妻自身の年金は自らの基礎年金(国民年金)など、わずかな年金に限られる。

 などって何だ? などって。
 女性もフルタイムで男性に負けない働きをしていたら、厚生年金に入っているから同じだけ貰える。専業主婦の方は「など」なんてのはなくて老齢基礎年金(国民年金)のみ。 あまりに、「記事があいまい」

間違い2
 専業主婦なら婚姻期間に夫が支払った保険料の最大二分の一が分割され、ともに厚生年金に加入していた夫婦なら、婚姻期間に双方が支払った保険料を合算して分割する。

 はぁ?(エンタの神様にでてくる魔邪をつれてきたい)

 保険料、、、全く関係ないんですけど。
 分割されるのは、「標準報酬」
 標準報酬は、その加入当時の給与に物価や賃金の上昇による調整率等を掛けたもの。

 もー、むちゃくちゃな新聞記事。

 てことはこれから何がわかる、
 離婚時年金分割も、「全く訳わからないで、法律実施を待っている離婚予備軍がたくさんいるんだろうなあ。」ということ。
 
 いや、ホント実施が思いやられる。

 それはそうと、産経新聞さん すぐ訂正!

 (※) Webの専門家によると、リンクを貼ることにより、興味ある新聞記事の原本にあたることができる。逆にリンクを張られるのはWeb上で当たり前で、それで著作権云々ということは絶対出てこないといわれます。でも新聞社によると、新聞社のHPのトップにリンクを貼るのは、無問題だが、個別の記事にリンクを貼るのは、「著作権法」違反だという風に主張しています。
 なので、普段は直接リンクを張らない。でも「明らかに間違いな記事の場合は、悪影響を考慮して直接リンクを貼るのがわしの今の立場です。

 (だれかこの論争の結論を教えてください。いつも悩んでいます)


国民年金長期未納者から強制徴収へ(香川)

2005-08-28 01:00:55 | Weblog
○国民年金保険料の未納者が増加していることを受け、香川社会保険事務局は香川県内の長期未納者を対象に、財産を差し押さえる強制徴収の手続きに入った。二〇〇三年度から三年連続の実施で、対象者は約千五百人。

 今回の強制徴収は、個人所得二百万円以上で保険料を過去二年間に一年以上納めていない約千五百人が対象。〇四年十月施行の改正国民年金法により、県内全市町が未納者の所得情報の照会に応じたことなどから、対象者は〇四年度の三百七人の約五倍に拡大した。

<解説>
 社保庁本庁の意向では、まず「年収500万円以上の人」をピックアップして強制徴収に踏み切るということでしたが、個人所得200万円から強制徴収か。所得と年収との違いはあるものの、思い切ったことにでましたね。

 いや、ほんと「この強制徴収、将来的に厳しくなることはあっても緩くなることはない。悪いことは言わないから、払ったほうがいい。払えない時には「免除申請」したほうがいいです。(免除OKになるか否かは場合によりますが)。

 それで、法律上は延滞利息は年14.6%というサラ金並みですから、所得がある人は十分お気をつけくださいね。

 ネットの掲示板とかみたら、「貰えないから払わない」なんて書いているの居るけど、どうしてそこまで「自信をもって言い切れる」かな。わしなんか、何年勉強しても年金はわからないことだらけなのに。

離婚時年金分割-6 (週末投稿)

2005-08-27 15:34:27 | 離婚時年金分割
一通り、離婚時年金分割の説明をしてしまいましょう。
 まず、離婚時年金分割は2種類に分かれていることをご理解ください。

 ①.は平成19年4月から実施される、離婚時の標準報酬分割
 ②.は平成20年4月から実施される、第3号被保険者への自動分割

 ②は、平成20年4月からの実施ですし、平成20年4月1日以降の婚姻期間が対象となるので、婚姻期間を過去には遡りません。つまりここ1,2年で離婚される方だと、1の知識は必須ですが、2のほうは、まだ先ですからあまり必要はないでしょう。

 平成23年に離婚された方でも、②の分割に関しては、平成20年から3年分しか対象になりません。しかも第3号被保険者の場合のみ。今時点での緊急の知識としては必要ありません。
 だから、まず①の知識を頭に入れる。これが肝心かと思います。


それでは、①の分割についてこれから考えてゆきたいと思います。

☆(とても大切)
 離婚時年金分割は 平成19年4月1日から施行 → つまりこの年以降離婚しないと適用はない。

 これ以前に離婚をした人は一切離婚時年金分割とは無縁です。以前の離婚で年金分割を遡及適用することはありません。今現在、離婚をすでにされた方で、「私たちも対象になるのかしら」と淡い期待をされている方もいますが、「ダメです」(昨年あたりから離婚件数が激減している=つまり「離婚したいけれど年金がほしいから、法律の施行待ち」をしている人がたくさんいることからも、おわかりになれると思います。)

 何度も繰り返しますが、誤解していけないのは、平成19年4月1日以降の離婚であれば、それ以前の婚姻期間全部が対象になるということ。
 離婚が平成19年3月31日  ・・・ 一切離婚時年金分割は関係ない。今までと同じ。
 離婚が平成19年4月1日 ・・・ 結婚が昭和61年4月1日だったとしたら、その期間からの20年まるまるが分割の対象になります。
 「大切なのは離婚の日」ということ。
※ ここで、離婚の日とは 協議離婚の場合はその届出の日、裁判離婚の場合は裁判(審判)確定または調停成立の日、外国の方式による離婚の場合はその成立の日です。

 そして、請求は離婚後2年以内に請求をすることが必要になります。
 この間のうちに請求をしないと、そのままの状態での年金関係(分割しない状態での)が確定します。
 

選挙前だから解説 民主党の年金政策に言いたいこと 

2005-08-27 12:56:14 | Weblog
 昨日書きましたが、マスコミは誰も、昨日のような「ここ3年間の間に行われた「総報酬制と、年金支給率の引き下げと、年金保険料引上げをミックスした、年金の大幅な支給水準切り下げのカラクリ」に気づいて声を上げる人はいませんでした。所詮はその程度の人が年金報道をしているのかもしれません。
 
 場末の我々が幾らブログで大声を上げても、何の影響もありません。
 本来は、こういう場合には野党が与党を厳しく攻め立てる必要があるのですが、どうも「年金改正法案の本質が見えていない」せいか、トンチンカンな批判ばかり。ヤレヤレです。

 さて、民主党のマニュフェストですけれど、中身について言わせてもらえれば、 正論は正論です。 方向付けは正しいでしょう。

 でも大きな問題が一点それは、
 
 果たして諸政策が実現可能か否か?  ということ

 民主党の案では、それこそ今までの政策をひっくり返すような政策の転換が山ほど含まれて居ます。
 
 1.所得の完全把握
  
 所得に応じて、保険料を払うということになるのですけれど、それは前提として「全国民の全所得を把握」しなきゃいけない。
 これは、長年「税務当局」ですら、試みようとして成功しなかったものですよね。今でも自営業とサラリーマンの透明性の間には明らかに格差がある。
 
 税金も含めて、所得完全なガラス張りにしていかないと、民主党案は実現しない。
 果たしてそれが簡単できるのか? できれば大変良いことなんですけれど、技術的な困難が伴わないか?あとものすごいコストがかからないか?所得把握を嫌う人も沢山いるけど、国民の理解を得られるか(財布の中までみられるわけだから)
 コスト100円で所得捕捉率100%より、コスト60円で、捕捉率90%のほうがいいという考え方もあるんです。この場合は、ある程度の捕捉漏れがでるけれどしょうがない。
 議論があまり詰まっていないという印象を受けますが。

 2.年金の一元化
 公的年金を1つにしようということなんですけれど、これはものすごい技術的に大変な作業、あと既得権益の調整も絶対必要となります。
 (既得権益というと大変わるいイメージですけれど、例えば、75歳の元公務員が月額25万円の年金を受けていたけれど、公務員の年金と厚生年金を統合するから、今後は支給は厚生年金に合わせて22万円にする。こんなことを75歳のお年寄りがされたらいったいその後生活はどうするか?、年金受取り世代=もう働けない(働いても稼げない)時代ですから、ある程度は自分が年金を貰えるという「期待権=既得権を守るのも必要」なんです。)
 いきなりの年金一元化は、現場が大混乱をするのは必至。それでも強引に推し進められるのか?それだけの指導力があるのか。また年金数理の専門家にシミュレートしてもらったのか? 疑問点は山ほどあります。

 次に続きます。

選挙前だから解説 自民党の年金政策に言いたいこと -2

2005-08-26 21:12:57 | Weblog
 いや大変失礼、パート1はわかりにくかったですよね。
 最後の頃はやたら専門的になって(大反省)。
 
 もっと簡単に書くとこういうことです、

 1.給与だけから保険料を徴収していたのを賞与からもとるようにしましょう。
   でも、保険料は上げません。賞与を年間3.6ヶ月もらっている人だと、今までの保険料と全く同じだけの金額を徴収します。だから保険料単価は下げます。

 2.でも支給率は下げますよ。
   年金額は、以前の報酬額を基準に出すことはご承知ですよね。
   給与30万円で12ヶ月 420万円 の人はいままで給与だけからしか保険料を取っていなかった。でもそれを賞与も取るようにしたら賞与は、108万円(2回で)だから、それを足すと528万円になる。
   だから、
   420万円の収入と528万円の収入で貰う年金額を同じにしないと保険料をさげたのと整合性がなくなるから、支給率も7割近く下げますよ。 そうすると以前と同じになる。
   さっき言ったように、支給率を下げても、払う保険料は同じですから「保険料ー年金額 の関係からしたら、みなさん、損も得もしません」

 ということを一旦決めておいてから、突然昨年

 3.ところで保険料を上げます。年金大変だから。
   ついては平成29年まで順次上げていきます。

 てなことになった。

 つまり総報酬制以前の保険料を上回る(前は17.3%だったのが総報酬制になり13.58%に下げたものをまた値上げしてゆき 18.3%になるまで)保険料を上げることになった。

 で、この保険料の値上げ非常にたちが悪い。
 なぜか?
 値上げをする寸前に、「保険料の対象範囲を給与だけ、から給与と賞与両方に拡大している」
 つまり、「給与だけの人と給与と賞与のある人の不公平を是正する」ということを言い出して如何にも「不平等の修正」というような理屈を持ち出して範囲を賞与まで拡大した。

 徴収する範囲を拡大してから、保険料を値上げして元と同じ水準よりちょっと上にする。

 結局これは、総報酬制前と平成29年後を比較すると、
 「総報酬制前(給与のみの対象)と同じだけの年金を貰うには、給与からも保険料を払い、賞与からも保険料を払わなければならない」ということになったことを意味します。
 つまり、賞与からも保険料をマルマル徴収するという実質的な値上げを、誰のクレームもつけずに、なおかつ寝金額を増やすことなしに実現した。ということ。

 いや、これは正直やられた。
 厚生労働省の一本勝ち。これについては、「マスコミも一切何も報道していない」多分、あまりにもテクニックが凄いので記者も消化できていないんでしょう。

 もし

 ○保険料を17.35%から18.3%に上げます。
 ○今までは給与だけが対象だったのを賞与にも徴収範囲を広げました。
 ○支給率も7割強に下げました。同じ収入なら年金額は7割強になります。


 これだけの政策を、国民にわかるようにいきなりやったらどうなるでしょう?
 自民党は惨敗すると思います。
 それを、国民に極めてわからないように15年かけて巧妙に行うようにし、そして成功した(事実この辺の解説、批判は何処にも載っていない)。

 これは厚生労働省見事というしかないですけど、「自民党は政権政党」なんだから、果たしてこれだけのことを自分たちが理解した上でやったのかどうか。
 理解していたらあくどいし、していなかったら官僚の思う壺で情けない。で、どうも後者な議員さんが多いみたいです。もうちょっとしっかりしてくれ。

 ただ、民主党も、「これに気づかないのは情けない」てのは正直あります。(どうも民主党も年金がわかっている人は一部分で大抵の議員さんは議論の本質がわかっていないみたい)
 
 


 

選挙前だから解説 自民党の年金政策に言いたいこと

2005-08-25 11:39:30 | Weblog
 基本的に与党案は、昨年改正された「国民年金法、厚生年金法」で主張をカナリ盛り込まれています。だから彼らにしたら「当面の課題の改正は終わっていて、いまさら何を民主党は言っているんだ?」というスタンスだと思います。

 たしかに、今回の法律改正は、勉強会を開いて勉強するほどに改正点がいろいろありました。民主党が批判しているほどに小手先の改正ではなかったと思います。(評価はまちまちですけれど)

 ただ、言いたいことはいろいろあります。

 平成15年の4月から総報酬制という制度が始まっています。賞与からも保険料を取るという制度。

 その時に、厚生労働省はどういう説明をしたか、
 年収が600万円の人でも、給与50万円×12 の人と、給与40万円×12 + 賞与60万円×2 の人では、払う保険料に差がありすぎるので、不公平。なのでその調整をするといったのです。つまり賞与に関係なく保険料を平等にする(前は賞与小、給与大なら保険料は少なかった)

 確かに、健康保険の場合は給与が高くて賞与が低い人のほうが負担が高くて、そういう不公平はありました。
 しかし、年金に関しては、保険料が高い(低い)と年金が多い(少ない)という関係にあるので、変なことを言うなあと実は思っていました。

 判りにくいので、ここからは例を出します。(例はわかりやすくするため実体と額とは違います)

 平成15年3月までは 給与10万円で100円の保険料を払っていたとする。(100×12=1200円)
それを、
 賞与を払っている人のバランスもあるから、給与だけではなく賞与からも年金保険料を取りましょう、ついては、

 給与10万円で、80円の保険料を聴取する、賞与15万円(2回で30万円)貰ってた人は、同じ率で、賞与から240円を徴収する。 
 でこちらの場合も(80×12 + 240 = 1200円 。
 ほら、損も得もしないでしょう? という説明でした。 いやそこまでは正しい。

 で、肝心の年金額のほうですけれど、これは保険料じゃなくて、計算方法が「給与」のほうをベースにしている。
 今までは、10万円給与で月1000円の年金支給だったとしましょう。
 年収ベースで、120万円で年1.2万円の年金となります。
 これが総報酬制後は賞与も計算対象に入れちゃうんで、180万円だと1,8万円。年金が増える?
 いやこれは、保険料を下げた上で、120万円(賞与なし)と180万円(賞与あり)の場合が同じにしたんだから、受け取り額も同じにしなきゃ、 ということで180万円の収入があると1.2万円になるように下げてしまった。 いやここまでもおかしくはない。

 ところで、昨年の年金法改正
 保険料を12年かけて、段々上げていくんだと。
 最終的には、総報酬制前より上回る額にする。

 てことはどういうこと?

 10万円につき80円の保険料だったのを、105円にするってこと。
 
 わかりにくいなあ?
 
 じゃさっきの例で説明します。

 以前は年収120万円 につき保険料を1200円負担してた。
 で年金は 1.2万円 受取ってた。

 それを、総報酬制で
 年収180万円 につき 保険料を1200円負担に変えた。
 年金は 1.2万円 の支給。

 ここで何をやったか→ 
 支給率の引き下げ 10万円につき1万円の年金だったのを、10万円につき0.7万円に
 保険料の引き下げ ただし、賞与が平均的にある人は賞与からも徴収されるようになったので、プラスマイナスゼロ。

 その次に保険料を12年かけて値上げすることとした。
 年収180万円について1900円の保険料、 で年金は1.2万円
 10万円につき100円の保険料が10万円につき105.55円の保険料になった。

 ん、てことはどいうこと?

 が~ん。
 総報酬制前は  1200円の保険料で 1.2万円もらってたのを
 総報酬制後は  形式上はその割合を同じにして

 さらに保険料値上げ後は
 1900円の保険料で、1.2万円もらうという風に支給を下げた。

 頭こんがらがりましたか? 
 一旦切って続けますね。


 

選挙前だから解説 民主党の年金政策ー2

2005-08-24 12:42:39 | Weblog

 働く女性も専業主婦もどちらも納得の年金制度へ
 夫婦は独立した人格であると同時に、世帯単位で家計を支えています。その両面を生かすために、夫婦の収入を合算し、その2分の1ずつを各人それぞれの収入と見なす方式(二分二乗方式)を採用します。婚姻中の年金保険料は、このみなし収入に基づき、それぞれが納付したものとします。これによって、働く女性の不公平感も解消され、専業主婦も自分自身の年金権が確立します。


 昨年の法律改正で、離婚時の年金分割という制度ができました(実施は来年から)が、それをもう一歩進めて、離婚するかしないかにかかわらず、夫婦の稼ぎを足し合わせて、それを2で割り、それに相応する年金額がもらえるようにする。
 というもの、要するに「離婚時年金分割」をさらに推し進めた内容です。

 こういう風に、夫が稼ごうが妻が稼ごうが、「家庭」を単位として年金を考えるというのは賛否あるところですけれど、稼ぎの多い妻と稼ぎのしょぼい男性の場合でも、妻の稼ぎの中から自動的に夫に年金が行くということになります。
 仕事バリバリのキャリアウーマンにしたら、とんでもないというところかもしれません。

 さて、詳しくは書いていませんが、所得を全部合算するというところから、どうもパートアルバイトに関しては、民主党案ですと「労働時間や日数に関係なく」稼いだお金が年金の保険料計算の対象となる。ということですね。

 民主党案が実現すると、パートだからといって保険加入が逃れられない。
 
 そうすると、問題が発生。
 今は厚生年金は、労使折半の年金保険料負担ですけれど、これを続けるのでしょうか?それとも、会社の保険料負担はなくすのでしょうか?
 
 保険料負担失くすと、ものすごく労働者の負担がUPします。
 逆に、保険料負担折半がそのままだと、ものすごく経営者の負担がUPします。この辺はマニュフェストに書いてないので、不満です。
 
 誰が幾らの保険料を負担するかというのは大きな問題です。
 いずれにしても(会社負担をゼロにするにしても、パートアルバイト全員折半にするにしても)ものすごく当事者を納得させるのは大変な作業です。

 もう少しその辺は民主党の主張をじっくり読んでみますね。ただ昨日書いた年金一元化のところで、年金負担が雇用を減らすことがないように 云々 という主張があるのですけど、これは「会社の保険料負担は継続する」、でも「負担増はしない」という風に解釈できます。一体どういうことでしょう? 会社側が4従業員が6みたいな負担割合にするのかな。(あれそうするとやっぱり従業員の方の保険料値上げだ) 
 ここに書いてあることからだけでは何を言っているのかイマイチ正確に読み取れないのです。


 無駄づかいの社会保険庁は廃止
 所得比例年金を導入するには、すべての人の所得を正確に把握することが不可欠です。また、所得の捕捉が正確になされなければ、将来の年金財政を正確に把握することもできません。民主党政権では、正確な所得の把握を可能にするための税制改革を推進し、これに基づいた具体的数値を示しつつ、年金改革を実行します。また行政改革の観点も踏まえて、社会保険庁を廃止し、国税庁と統合した新しい「歳入庁」で、年金保険料と税の徴収を一体的に行うこととします。


 問題は2点。
 民主党の年金案を採用するには、全国民の所得を完全にガラス張りにしないといけない。これが果たして可能か否か?
 わしは所得捕捉が全部されても全然平気なんですけど、これは頑強に反対する人がたくさんいる。危ない筋の方ばかりじゃなくて普通の商店のオヤジさんでも反対する。やっぱ人間って、鉛筆1本の購入まで事細かに調べられることんはあまり好みません。特に自営業者なんかそうです。事実消費税の導入時には、一番わかりやすく透明な「送り状方式」は採用されませんでした。

 次は、厚生労働省と財務省の反対をはじめとする各種の利害調整。
 公租公課の徴収だから、税金とワンセットは極めて望ましい形ですけれど、社会保険庁と国税庁を廃止するわけですから、当事者となる官庁は大反対でしょう。そこをちゃんと説得できるかどうか。
 あと、税金と社会保険料は正直言って、実務的には違いがたくさんある。そういう混乱を回避できるか。
 さらに、今は税=税理士、社会保険=社会保険労務士 が代理をしているわけですけど、歳入庁を作ったら、こういう人の縄張りをどう調整していくのか。わしは社会保険の仕事も税理士にやらせてもいいと思いますが、そんなことを社労士会で言ったら村八分になりますからね。
 
 お金を払う部分では税理士でもいいですけど、社会保険は税と違って、実際にお金を貰う部分(年金の受給手続き)があり、それに関しては税理士さんは素人と同じですから、お客さんの利益にならないという主張は確かに見捨てられないですよね。税理士の試験科目に、厚生年金法や健康保険法をいれるのか。そんなバカな。

 いや実現までには気の遠くなる作業ガ待っている。それを反対する官庁をねじ伏せて行うんだから。


 基礎年金国庫負担率引き上げは徹底した予算の見直しで
 政府与党は、基礎年金に対する国庫負担(税金投入)を、「3分の1」から「2分の1」に引き上げるため、今後所得税や消費税の増税を予定しています。しかし、年金制度の抜本改革も行わず、年金保険料の流用にも歯止めを掛けないままに、国民に負担を求めることは許されません。民主党政権は、徹底して予算の無駄づかいにメスを入れ、それによって生み出される財源を段階的に基礎年金に充てることで、5年間で国庫負担率を2分の1に引き上げます。


 国庫補助率の2分の1への増額は、徹底した無駄の排除で一般国民の負担増をする必要なく、行えるということですけれど、これは解説のしようがないです。自民は無理だといい、民主は可能だということ。
 予算の無駄遣いを省いたら、国庫補助率の引上げに必要な2兆円が賄えるということなんでしょうが、2兆円の金何処から出てくるのかな? そこが一番肝心なんですけど。
 クールビズで冷房温度を1度上げる程度じゃだめっぽいですけど(どうなんだろ)。



 

選挙前だから解説 民主党の年金政策ー1

2005-08-23 11:44:00 | Weblog
1) すべての年金を一元化~もちろん議員年金も廃止
 国民年金、厚生年金、共済年金と職業や働き方で加入する年金制度が異なることが、未納・未加入を生み、国民の間に不公平感や不信感をもたらします。これらを全て一元化することによって、全ての人が同じ年金制度に加入し、「所得が同じなら、同じ保険料負担」「同じ保険料負担なら、同じ年金給付」という一目でわかる公平で透明な年金へと改めます。この時、保険料率は現在の厚生年金並みに抑制し、年金負担が雇用を脅かすことが無いようにします。「所得比例年金への一元化」によって、転職などの際の年金に係わる手続きを行う必要がなくなり、未加入を生む大きな要因を解消できるとともに、常に自分が将来受け取る年金額が分かるようになります。
 国会議員についても議員年金は廃止し、国民の皆さんと同じ年金制度に加入することとします。


 所得比例=所得に応じた保険料を支払うということでしょう。でも、これは言う以上に実施は大変だと思います。

 自営業者が入っている、国民年金は、「逆累進」という大変な問題点があります。払った保険料は稼ぎの多寡に係らず定額で、しかもその全額が社会保険料控除になりますから、税金面を考慮すると、所得が高い人ほど有利、お金を稼いでいないひとは不利ということになっています。(例 保険料は年16万円として、50%税率の人は 8万円が実質の税金負担額、税率20%の人は12.4万円が保険料の実質負担額です。) これについては、前々から批判も多いところでしたし、早急に改善が必要でしょう。

 しかし、民主党のいうような、完全に所得に応じた保険料という施策を実現するためには、自営業の所得捕捉は不可欠ですけれど、これが大変じゃないですか。
 税金徴収当局と連携し、全国民(在住外国人も含めて)所得を完全把握することが最低条件になります。その肝心の税金だって、「どうも自営業は不明瞭な部分が多い」と指摘されているのはご承知の通り。今の税務当局の所得捕捉でさえ穴が多いです。

 まず、この部分を改定するだけでも大変な作業。

 あと、保険料は現在の厚生年金なみを維持して。とありますが、これはどういう意味でしょう? 昨年の秋から12年かけて厚生年金の保険料を上げるということが法律で決まりましたが、これを停止して、今の水準で負担を増やすことなく給付も維持するということでしょうか? こんなことができるんでしょうか?よくわかりません。

 また、議員年金の廃止にしても、民主党内においても、議員年金の廃止派の河村議員のような方ばかりではありません。老後年金を楽しみにしていらっしゃる古いタイプの議員も多い。議員を(野党を含めて)説得ができるでしょうか? 
  
 あと、議員年金と公的年金を同じ土俵で扱っているようですけれど、わし個人としてはこれはどうも疑問です。 年金という言葉は同じですけれど、全然中身が違う。事実「あれは年金じゃなくて、退職金の年金払いだ」といわれる議員さんも居るくらいです。議員年金が勤続ご苦労さん年金としたら、老後の生活資金という公的年金とは性格が違いますし、相当削減には抵抗も強いと思います。

2)  年金目的消費税などを財源に老後の最低限の年金を保障
 「所得比例年金」に加えて、税を財源とする「最低保障年金」を設け、老後の最低限の年金を保障します。最低保障年金は、所得比例年金の給付額が少ない人に、より厚く支給することとして、すべての人に同レベルの国民年金・基礎年金 を支給する現行制度に比べ、相対的に少ない財源ですべての人に最低限の年金を保障できることになります。また、税が財源ですので、現行制度のような無年金者や空洞化という問題も生じません。新制度発足後の最低保障年金の財源は、予算の無駄づかいに徹底的にメスを入れて実現する国民年金国庫負担分2分の1の財源に加えて、デフレ経済を克服して安定的な経済成長が回復することを条件に、年金控除の見直しや年金目的消費税の導入によって確保します。新制度への切り替えにあたっては、十分な経過期間をとり、また既に年金を受け取っている人への給付水準や、既に保険料を支払った期間に対応する部分の給付水準は維持します。


 結局、保険料は全額「税金」にして徴収しましょう。
 そして給付は、「貧乏人に手厚く」、「お金持ちには薄く」する。

 ということを言いたいのだと思います。 
 確かに税金方式にすれば、言われるようなメリットも沢山あります。

 ただ、保険料にしても、税金にしても、国民が負担をするという点では同じ。結局、保険料は廃止になるけれど、「税金は(消費税?)は跳ね上がる。」ということになれば国民の負担増は同じだと思います。徴収する名前が違うだけ。
 
 自民党案でさえ、保険料を値上げした上に、国民年金への国庫負担率を3分の1から2分の1へ上げるために消費税の値上げ を考えているのですから、これを全部税金で賄うとなったら、半端じゃない税金の引き上げになるとおもうんですけれど、その辺はなにもおっしゃっていないですよね。一体民主党はどの程度の消費税率の引き上げを考えていらっしゃるのでしょうか?
 岡田代表が、「政権政党じゃないから、そういう細かい計算が呈示できない」みたいな弱音の発言をされたということを聞きましたが(伝聞ですが)、この「消費税の値上げの予定幅は影響が大きいですよ。5%UPと10%UPじゃ大違い、10%UPになったら、税率は15%ですからね」
 
 保険料を廃止して全額税金で賄う案は大変結構ですけれど、そういう国民の痛みの部分を具体的に呈示しないとこの案の是非が判断できません。

 岡田代表は、政府は無駄な支出が多すぎる、いくらでも冗費の削減ができるというような立場なようですけれど、大阪市職員の異常な厚遇問題でも、その厚遇を要求しているのが「官公労働組合」であって、民主党の支持母体だったというところをみると本当に、不要な経費をバシバシ削ることができるんでしょうか? 少し不安になります。

 まだまだ続きます。