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選挙前だから解説 自民党の年金政策に言いたいこと -2

2005-08-26 21:12:57 | Weblog
 いや大変失礼、パート1はわかりにくかったですよね。
 最後の頃はやたら専門的になって(大反省)。
 
 もっと簡単に書くとこういうことです、

 1.給与だけから保険料を徴収していたのを賞与からもとるようにしましょう。
   でも、保険料は上げません。賞与を年間3.6ヶ月もらっている人だと、今までの保険料と全く同じだけの金額を徴収します。だから保険料単価は下げます。

 2.でも支給率は下げますよ。
   年金額は、以前の報酬額を基準に出すことはご承知ですよね。
   給与30万円で12ヶ月 420万円 の人はいままで給与だけからしか保険料を取っていなかった。でもそれを賞与も取るようにしたら賞与は、108万円(2回で)だから、それを足すと528万円になる。
   だから、
   420万円の収入と528万円の収入で貰う年金額を同じにしないと保険料をさげたのと整合性がなくなるから、支給率も7割近く下げますよ。 そうすると以前と同じになる。
   さっき言ったように、支給率を下げても、払う保険料は同じですから「保険料ー年金額 の関係からしたら、みなさん、損も得もしません」

 ということを一旦決めておいてから、突然昨年

 3.ところで保険料を上げます。年金大変だから。
   ついては平成29年まで順次上げていきます。

 てなことになった。

 つまり総報酬制以前の保険料を上回る(前は17.3%だったのが総報酬制になり13.58%に下げたものをまた値上げしてゆき 18.3%になるまで)保険料を上げることになった。

 で、この保険料の値上げ非常にたちが悪い。
 なぜか?
 値上げをする寸前に、「保険料の対象範囲を給与だけ、から給与と賞与両方に拡大している」
 つまり、「給与だけの人と給与と賞与のある人の不公平を是正する」ということを言い出して如何にも「不平等の修正」というような理屈を持ち出して範囲を賞与まで拡大した。

 徴収する範囲を拡大してから、保険料を値上げして元と同じ水準よりちょっと上にする。

 結局これは、総報酬制前と平成29年後を比較すると、
 「総報酬制前(給与のみの対象)と同じだけの年金を貰うには、給与からも保険料を払い、賞与からも保険料を払わなければならない」ということになったことを意味します。
 つまり、賞与からも保険料をマルマル徴収するという実質的な値上げを、誰のクレームもつけずに、なおかつ寝金額を増やすことなしに実現した。ということ。

 いや、これは正直やられた。
 厚生労働省の一本勝ち。これについては、「マスコミも一切何も報道していない」多分、あまりにもテクニックが凄いので記者も消化できていないんでしょう。

 もし

 ○保険料を17.35%から18.3%に上げます。
 ○今までは給与だけが対象だったのを賞与にも徴収範囲を広げました。
 ○支給率も7割強に下げました。同じ収入なら年金額は7割強になります。


 これだけの政策を、国民にわかるようにいきなりやったらどうなるでしょう?
 自民党は惨敗すると思います。
 それを、国民に極めてわからないように15年かけて巧妙に行うようにし、そして成功した(事実この辺の解説、批判は何処にも載っていない)。

 これは厚生労働省見事というしかないですけど、「自民党は政権政党」なんだから、果たしてこれだけのことを自分たちが理解した上でやったのかどうか。
 理解していたらあくどいし、していなかったら官僚の思う壺で情けない。で、どうも後者な議員さんが多いみたいです。もうちょっとしっかりしてくれ。

 ただ、民主党も、「これに気づかないのは情けない」てのは正直あります。(どうも民主党も年金がわかっている人は一部分で大抵の議員さんは議論の本質がわかっていないみたい)
 
 


 

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