OKESAN 公的年金保険情報

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離婚時年金分割-6 (週末投稿)

2005-08-27 15:34:27 | 離婚時年金分割
一通り、離婚時年金分割の説明をしてしまいましょう。
 まず、離婚時年金分割は2種類に分かれていることをご理解ください。

 ①.は平成19年4月から実施される、離婚時の標準報酬分割
 ②.は平成20年4月から実施される、第3号被保険者への自動分割

 ②は、平成20年4月からの実施ですし、平成20年4月1日以降の婚姻期間が対象となるので、婚姻期間を過去には遡りません。つまりここ1,2年で離婚される方だと、1の知識は必須ですが、2のほうは、まだ先ですからあまり必要はないでしょう。

 平成23年に離婚された方でも、②の分割に関しては、平成20年から3年分しか対象になりません。しかも第3号被保険者の場合のみ。今時点での緊急の知識としては必要ありません。
 だから、まず①の知識を頭に入れる。これが肝心かと思います。


それでは、①の分割についてこれから考えてゆきたいと思います。

☆(とても大切)
 離婚時年金分割は 平成19年4月1日から施行 → つまりこの年以降離婚しないと適用はない。

 これ以前に離婚をした人は一切離婚時年金分割とは無縁です。以前の離婚で年金分割を遡及適用することはありません。今現在、離婚をすでにされた方で、「私たちも対象になるのかしら」と淡い期待をされている方もいますが、「ダメです」(昨年あたりから離婚件数が激減している=つまり「離婚したいけれど年金がほしいから、法律の施行待ち」をしている人がたくさんいることからも、おわかりになれると思います。)

 何度も繰り返しますが、誤解していけないのは、平成19年4月1日以降の離婚であれば、それ以前の婚姻期間全部が対象になるということ。
 離婚が平成19年3月31日  ・・・ 一切離婚時年金分割は関係ない。今までと同じ。
 離婚が平成19年4月1日 ・・・ 結婚が昭和61年4月1日だったとしたら、その期間からの20年まるまるが分割の対象になります。
 「大切なのは離婚の日」ということ。
※ ここで、離婚の日とは 協議離婚の場合はその届出の日、裁判離婚の場合は裁判(審判)確定または調停成立の日、外国の方式による離婚の場合はその成立の日です。

 そして、請求は離婚後2年以内に請求をすることが必要になります。
 この間のうちに請求をしないと、そのままの状態での年金関係(分割しない状態での)が確定します。
 

選挙前だから解説 民主党の年金政策に言いたいこと 

2005-08-27 12:56:14 | Weblog
 昨日書きましたが、マスコミは誰も、昨日のような「ここ3年間の間に行われた「総報酬制と、年金支給率の引き下げと、年金保険料引上げをミックスした、年金の大幅な支給水準切り下げのカラクリ」に気づいて声を上げる人はいませんでした。所詮はその程度の人が年金報道をしているのかもしれません。
 
 場末の我々が幾らブログで大声を上げても、何の影響もありません。
 本来は、こういう場合には野党が与党を厳しく攻め立てる必要があるのですが、どうも「年金改正法案の本質が見えていない」せいか、トンチンカンな批判ばかり。ヤレヤレです。

 さて、民主党のマニュフェストですけれど、中身について言わせてもらえれば、 正論は正論です。 方向付けは正しいでしょう。

 でも大きな問題が一点それは、
 
 果たして諸政策が実現可能か否か?  ということ

 民主党の案では、それこそ今までの政策をひっくり返すような政策の転換が山ほど含まれて居ます。
 
 1.所得の完全把握
  
 所得に応じて、保険料を払うということになるのですけれど、それは前提として「全国民の全所得を把握」しなきゃいけない。
 これは、長年「税務当局」ですら、試みようとして成功しなかったものですよね。今でも自営業とサラリーマンの透明性の間には明らかに格差がある。
 
 税金も含めて、所得完全なガラス張りにしていかないと、民主党案は実現しない。
 果たしてそれが簡単できるのか? できれば大変良いことなんですけれど、技術的な困難が伴わないか?あとものすごいコストがかからないか?所得把握を嫌う人も沢山いるけど、国民の理解を得られるか(財布の中までみられるわけだから)
 コスト100円で所得捕捉率100%より、コスト60円で、捕捉率90%のほうがいいという考え方もあるんです。この場合は、ある程度の捕捉漏れがでるけれどしょうがない。
 議論があまり詰まっていないという印象を受けますが。

 2.年金の一元化
 公的年金を1つにしようということなんですけれど、これはものすごい技術的に大変な作業、あと既得権益の調整も絶対必要となります。
 (既得権益というと大変わるいイメージですけれど、例えば、75歳の元公務員が月額25万円の年金を受けていたけれど、公務員の年金と厚生年金を統合するから、今後は支給は厚生年金に合わせて22万円にする。こんなことを75歳のお年寄りがされたらいったいその後生活はどうするか?、年金受取り世代=もう働けない(働いても稼げない)時代ですから、ある程度は自分が年金を貰えるという「期待権=既得権を守るのも必要」なんです。)
 いきなりの年金一元化は、現場が大混乱をするのは必至。それでも強引に推し進められるのか?それだけの指導力があるのか。また年金数理の専門家にシミュレートしてもらったのか? 疑問点は山ほどあります。

 次に続きます。