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選挙前だから解説 民主党の年金政策ー1

2005-08-23 11:44:00 | Weblog
1) すべての年金を一元化~もちろん議員年金も廃止
 国民年金、厚生年金、共済年金と職業や働き方で加入する年金制度が異なることが、未納・未加入を生み、国民の間に不公平感や不信感をもたらします。これらを全て一元化することによって、全ての人が同じ年金制度に加入し、「所得が同じなら、同じ保険料負担」「同じ保険料負担なら、同じ年金給付」という一目でわかる公平で透明な年金へと改めます。この時、保険料率は現在の厚生年金並みに抑制し、年金負担が雇用を脅かすことが無いようにします。「所得比例年金への一元化」によって、転職などの際の年金に係わる手続きを行う必要がなくなり、未加入を生む大きな要因を解消できるとともに、常に自分が将来受け取る年金額が分かるようになります。
 国会議員についても議員年金は廃止し、国民の皆さんと同じ年金制度に加入することとします。


 所得比例=所得に応じた保険料を支払うということでしょう。でも、これは言う以上に実施は大変だと思います。

 自営業者が入っている、国民年金は、「逆累進」という大変な問題点があります。払った保険料は稼ぎの多寡に係らず定額で、しかもその全額が社会保険料控除になりますから、税金面を考慮すると、所得が高い人ほど有利、お金を稼いでいないひとは不利ということになっています。(例 保険料は年16万円として、50%税率の人は 8万円が実質の税金負担額、税率20%の人は12.4万円が保険料の実質負担額です。) これについては、前々から批判も多いところでしたし、早急に改善が必要でしょう。

 しかし、民主党のいうような、完全に所得に応じた保険料という施策を実現するためには、自営業の所得捕捉は不可欠ですけれど、これが大変じゃないですか。
 税金徴収当局と連携し、全国民(在住外国人も含めて)所得を完全把握することが最低条件になります。その肝心の税金だって、「どうも自営業は不明瞭な部分が多い」と指摘されているのはご承知の通り。今の税務当局の所得捕捉でさえ穴が多いです。

 まず、この部分を改定するだけでも大変な作業。

 あと、保険料は現在の厚生年金なみを維持して。とありますが、これはどういう意味でしょう? 昨年の秋から12年かけて厚生年金の保険料を上げるということが法律で決まりましたが、これを停止して、今の水準で負担を増やすことなく給付も維持するということでしょうか? こんなことができるんでしょうか?よくわかりません。

 また、議員年金の廃止にしても、民主党内においても、議員年金の廃止派の河村議員のような方ばかりではありません。老後年金を楽しみにしていらっしゃる古いタイプの議員も多い。議員を(野党を含めて)説得ができるでしょうか? 
  
 あと、議員年金と公的年金を同じ土俵で扱っているようですけれど、わし個人としてはこれはどうも疑問です。 年金という言葉は同じですけれど、全然中身が違う。事実「あれは年金じゃなくて、退職金の年金払いだ」といわれる議員さんも居るくらいです。議員年金が勤続ご苦労さん年金としたら、老後の生活資金という公的年金とは性格が違いますし、相当削減には抵抗も強いと思います。

2)  年金目的消費税などを財源に老後の最低限の年金を保障
 「所得比例年金」に加えて、税を財源とする「最低保障年金」を設け、老後の最低限の年金を保障します。最低保障年金は、所得比例年金の給付額が少ない人に、より厚く支給することとして、すべての人に同レベルの国民年金・基礎年金 を支給する現行制度に比べ、相対的に少ない財源ですべての人に最低限の年金を保障できることになります。また、税が財源ですので、現行制度のような無年金者や空洞化という問題も生じません。新制度発足後の最低保障年金の財源は、予算の無駄づかいに徹底的にメスを入れて実現する国民年金国庫負担分2分の1の財源に加えて、デフレ経済を克服して安定的な経済成長が回復することを条件に、年金控除の見直しや年金目的消費税の導入によって確保します。新制度への切り替えにあたっては、十分な経過期間をとり、また既に年金を受け取っている人への給付水準や、既に保険料を支払った期間に対応する部分の給付水準は維持します。


 結局、保険料は全額「税金」にして徴収しましょう。
 そして給付は、「貧乏人に手厚く」、「お金持ちには薄く」する。

 ということを言いたいのだと思います。 
 確かに税金方式にすれば、言われるようなメリットも沢山あります。

 ただ、保険料にしても、税金にしても、国民が負担をするという点では同じ。結局、保険料は廃止になるけれど、「税金は(消費税?)は跳ね上がる。」ということになれば国民の負担増は同じだと思います。徴収する名前が違うだけ。
 
 自民党案でさえ、保険料を値上げした上に、国民年金への国庫負担率を3分の1から2分の1へ上げるために消費税の値上げ を考えているのですから、これを全部税金で賄うとなったら、半端じゃない税金の引き上げになるとおもうんですけれど、その辺はなにもおっしゃっていないですよね。一体民主党はどの程度の消費税率の引き上げを考えていらっしゃるのでしょうか?
 岡田代表が、「政権政党じゃないから、そういう細かい計算が呈示できない」みたいな弱音の発言をされたということを聞きましたが(伝聞ですが)、この「消費税の値上げの予定幅は影響が大きいですよ。5%UPと10%UPじゃ大違い、10%UPになったら、税率は15%ですからね」
 
 保険料を廃止して全額税金で賄う案は大変結構ですけれど、そういう国民の痛みの部分を具体的に呈示しないとこの案の是非が判断できません。

 岡田代表は、政府は無駄な支出が多すぎる、いくらでも冗費の削減ができるというような立場なようですけれど、大阪市職員の異常な厚遇問題でも、その厚遇を要求しているのが「官公労働組合」であって、民主党の支持母体だったというところをみると本当に、不要な経費をバシバシ削ることができるんでしょうか? 少し不安になります。

 まだまだ続きます。