働く女性も専業主婦もどちらも納得の年金制度へ
夫婦は独立した人格であると同時に、世帯単位で家計を支えています。その両面を生かすために、夫婦の収入を合算し、その2分の1ずつを各人それぞれの収入と見なす方式(二分二乗方式)を採用します。婚姻中の年金保険料は、このみなし収入に基づき、それぞれが納付したものとします。これによって、働く女性の不公平感も解消され、専業主婦も自分自身の年金権が確立します。
昨年の法律改正で、離婚時の年金分割という制度ができました(実施は来年から)が、それをもう一歩進めて、離婚するかしないかにかかわらず、夫婦の稼ぎを足し合わせて、それを2で割り、それに相応する年金額がもらえるようにする。
というもの、要するに「離婚時年金分割」をさらに推し進めた内容です。
こういう風に、夫が稼ごうが妻が稼ごうが、「家庭」を単位として年金を考えるというのは賛否あるところですけれど、稼ぎの多い妻と稼ぎのしょぼい男性の場合でも、妻の稼ぎの中から自動的に夫に年金が行くということになります。
仕事バリバリのキャリアウーマンにしたら、とんでもないというところかもしれません。
さて、詳しくは書いていませんが、所得を全部合算するというところから、どうもパートアルバイトに関しては、民主党案ですと「労働時間や日数に関係なく」稼いだお金が年金の保険料計算の対象となる。ということですね。
民主党案が実現すると、パートだからといって保険加入が逃れられない。
そうすると、問題が発生。
今は厚生年金は、労使折半の年金保険料負担ですけれど、これを続けるのでしょうか?それとも、会社の保険料負担はなくすのでしょうか?
保険料負担失くすと、ものすごく労働者の負担がUPします。
逆に、保険料負担折半がそのままだと、ものすごく経営者の負担がUPします。この辺はマニュフェストに書いてないので、不満です。
誰が幾らの保険料を負担するかというのは大きな問題です。
いずれにしても(会社負担をゼロにするにしても、パートアルバイト全員折半にするにしても)ものすごく当事者を納得させるのは大変な作業です。
もう少しその辺は民主党の主張をじっくり読んでみますね。ただ昨日書いた年金一元化のところで、年金負担が雇用を減らすことがないように 云々 という主張があるのですけど、これは「会社の保険料負担は継続する」、でも「負担増はしない」という風に解釈できます。一体どういうことでしょう? 会社側が4従業員が6みたいな負担割合にするのかな。(あれそうするとやっぱり従業員の方の保険料値上げだ)
ここに書いてあることからだけでは何を言っているのかイマイチ正確に読み取れないのです。
無駄づかいの社会保険庁は廃止
所得比例年金を導入するには、すべての人の所得を正確に把握することが不可欠です。また、所得の捕捉が正確になされなければ、将来の年金財政を正確に把握することもできません。民主党政権では、正確な所得の把握を可能にするための税制改革を推進し、これに基づいた具体的数値を示しつつ、年金改革を実行します。また行政改革の観点も踏まえて、社会保険庁を廃止し、国税庁と統合した新しい「歳入庁」で、年金保険料と税の徴収を一体的に行うこととします。
問題は2点。
民主党の年金案を採用するには、全国民の所得を完全にガラス張りにしないといけない。これが果たして可能か否か?
わしは所得捕捉が全部されても全然平気なんですけど、これは頑強に反対する人がたくさんいる。危ない筋の方ばかりじゃなくて普通の商店のオヤジさんでも反対する。やっぱ人間って、鉛筆1本の購入まで事細かに調べられることんはあまり好みません。特に自営業者なんかそうです。事実消費税の導入時には、一番わかりやすく透明な「送り状方式」は採用されませんでした。
次は、厚生労働省と財務省の反対をはじめとする各種の利害調整。
公租公課の徴収だから、税金とワンセットは極めて望ましい形ですけれど、社会保険庁と国税庁を廃止するわけですから、当事者となる官庁は大反対でしょう。そこをちゃんと説得できるかどうか。
あと、税金と社会保険料は正直言って、実務的には違いがたくさんある。そういう混乱を回避できるか。
さらに、今は税=税理士、社会保険=社会保険労務士 が代理をしているわけですけど、歳入庁を作ったら、こういう人の縄張りをどう調整していくのか。わしは社会保険の仕事も税理士にやらせてもいいと思いますが、そんなことを社労士会で言ったら村八分になりますからね。
お金を払う部分では税理士でもいいですけど、社会保険は税と違って、実際にお金を貰う部分(年金の受給手続き)があり、それに関しては税理士さんは素人と同じですから、お客さんの利益にならないという主張は確かに見捨てられないですよね。税理士の試験科目に、厚生年金法や健康保険法をいれるのか。そんなバカな。
いや実現までには気の遠くなる作業ガ待っている。それを反対する官庁をねじ伏せて行うんだから。
基礎年金国庫負担率引き上げは徹底した予算の見直しで
政府与党は、基礎年金に対する国庫負担(税金投入)を、「3分の1」から「2分の1」に引き上げるため、今後所得税や消費税の増税を予定しています。しかし、年金制度の抜本改革も行わず、年金保険料の流用にも歯止めを掛けないままに、国民に負担を求めることは許されません。民主党政権は、徹底して予算の無駄づかいにメスを入れ、それによって生み出される財源を段階的に基礎年金に充てることで、5年間で国庫負担率を2分の1に引き上げます。
国庫補助率の2分の1への増額は、徹底した無駄の排除で一般国民の負担増をする必要なく、行えるということですけれど、これは解説のしようがないです。自民は無理だといい、民主は可能だということ。
予算の無駄遣いを省いたら、国庫補助率の引上げに必要な2兆円が賄えるということなんでしょうが、2兆円の金何処から出てくるのかな? そこが一番肝心なんですけど。
クールビズで冷房温度を1度上げる程度じゃだめっぽいですけど(どうなんだろ)。