OKESAN 公的年金保険情報

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年金通帳?

2005-08-31 11:43:32 | Weblog
○民主党は29日、政権を獲得した後に進める年金制度改革で、過去の支払総額など被保険者の年金情報がひと目で分かる「年金通帳」を作製し、被保険者全員に配布する方針を固めた。

 年金通帳には、その時点までの
(1)掛け金の累積納付額
(2)支払い状況
(3)受給までの年数
(4)見込み受給額
(5)基礎年金額、などの情報を盛り込む、という。情報は定期的に更新される

<解説>
 選挙戦が始まったので、あまり個別の政党の政策に云々ということは言いたくありませんが、一言だけ。

 多分、民主党の案の年金通帳の、(1)(2)は瑣末な問題でしょう。今までの払い込み保険料は教えてくれたらそうかなあと思う程度のこと。

 問題は(4)
 今でも見込み額を教えてくれます。
 55歳以上ならすぐ、教えてくれます。
 
 ただ、55歳前の人は、計算できるけど教えてくれない。(コンピューターでの対応はできていると思います)55歳以降の人は、今会社員だったら、それがそのまま60歳まで続くという前提で試算するわけですが。

 なぜか?
 
 当たり間だけど、年金額は、将来が全くわからない。 それは年金制度が磐石でもわからないんです。

 理由はカンタン、物価や賃金の上昇に応じて年金額が大幅に変化するから。

 逆に言うと、今の人に年金額を教えてあげても意味がない。40歳の人に今までの年金加入実績からはあなたの現在の年金は○万円です。なんていっても貰うのは65歳でしょ? その間物価が全然上がらないかもしれないし、2倍になっているかもしれない。

 そういうことを回避するために、
 ポイント制というのを導入したいというのは、厚生労働省の案でありました。40歳の人に今は貴方のポイントは幾らたまっています。という形にする。
 額が知りたければ、ポイントにある率を掛ければ現在までの年金額が容易にわかる。物価や賃金の上下はそのポイントにかける乗率を変化させる。

 今まで、そういう動きはあったんです。別に目新しいことでもなんでもない。

 民主党の岡田代表は、将来貰える額がわからないから年金不安があるというようなことをいっていたんですが、状況に応じて年金が変わっていくというのは公的年金の特徴なんですけどねえ。

 あと、今でも本気で将来貰える額がわからないとお思いなんでしょうか?
 うちに連絡していただいて年金の履歴をお持ちになれば、何歳の方でも「今時点の年金額」を正確に計算しますが。
 年金不信の本質は、額が通知されていないのもそうですけど、それよりもし計算されても「その計算額が果たして将来もらえるかどうか」なんですが。

 公的年金じゃない、民間の保険会社の年金は、将来○万円もらえます。ということを明言する。確かにわかりやすいけど、将来○万円と具体的な額を言うことはまた逆にマイナスがある。

 現場で年金相談をやられたことがない政治家の先生にはそのマイナスがわからないのかな。
 年金通帳自画自賛してますけど、ポイント制の年金履歴の通知という形で今の厚生労働省がやろうとしていることの、二番煎じだということには早く気がついてほしい。「年金は民主党」そう主張するのもいいんですけど、なんか自分たちがすごいことをしていると自分たちに酔っている気がします。

 不偏不党のつもりだったんだけど、年金をメインにしたいのに、このずさんな提案をすることには、ちゃんと反論しときたくて思わず書いてしまいました。