OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

神奈川県の厚生年金基金で使い込み

2005-06-30 14:46:48 | Weblog
○神奈川県内のタクシー会社37社が加盟する神奈川県乗用自動車厚生年金基金から現金330万円をだまし取ったとして、神奈川県警は29日、同基金の元経理担当職員宮田則子容疑者(61)=横浜市磯子区岡村1丁目=を詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。宮田容疑者は容疑を認めており、ほかに83年ごろから総額約2億8000万円を同基金からだまし取ったと供述しているという。

<解説>
 厚生年金と厚生年金基金との区別さえわからない人が多く居ます。
 こういう記事が出ると自分の年金は大丈夫かといつも疑問に思っていらっしゃる方がいますが、結論的には、
 如何なる場合であっても、厚生年金に普通に(基金じゃなくという意味)入ったと仮定して計算された分は如何なる場合にも保障されます。それ以上の部分(厚生年金だけに入って、基金のない人の貰える分以上の額)の額については場合によっていろいろあります。だから最低限には安心してくださってもいいと思います。

 年金相談をやっていて、本当にこの基金というのは悩ましい。
 基金に加入の方は、社会保険庁が支給する厚生年金と基金が支給する厚生年金基金を合わせてワンセット、それがその人の「いわば厚生年金と言える」のですけれど、仕組が複雑なために、それがわかっていらっしゃらない。

 基金のない方と基金のある方を比べると、基金のある方のほうが間違いなく支給は多いのに、社会保険庁からの振込み額は、基金のない人のほうが多い(全額社会保険庁からの支給なので)のをみて、俺はなんで年金が少ないのだと怒ってみたり。基金からの年金は「民間の年金保険」のような感覚でみていたりするんでしょう。

 これを説明するのは大変なんです。ホント。
 面倒だし、基金は基金独自の給付があったりしますから、勢い「詳細については基金に聞いてください」で逃げちゃう場合が多い。
 年金相談に関してある人はそういう姿勢を批判されてましたけど、やっぱしょうがないですよね。ウソはいえないし。

 で、その個別の厚生年金基金ですが、逮捕された神奈川県のタクシーの基金もかなり小さい組織だったようですが、中小企業の連合体の基金は規模が大きくないので、事務の方数人でやっているみたいなところが普通のようです。
 
 だからジョブローテーションができないし、特定の人が長年経理事務に携わったりするのでしょうが、それならなおさら「理事長をはじめお偉いさんのユルユル監査の責任は重大」だと思います。もちろんこの宮田容疑者が一番悪いですけれどね。

 どういう風に基金を立て直すのか? マスコミは基金の話として「現役世代の負担を増やして」などといってますが、タクシー業界の平均年収が300万円を切るタクシー不況の中ではそんなこともできないようにみえるのですが。
 

年金財政の報告書

2005-06-30 14:25:10 | Weblog
 厚生労働省で頂いてきました。
 総ページ数449ページ。中はカラーのグラフや表がてんこ盛りで、大変見やすくなっています。中身のほうはあまり見やすくない(要するに難しい)んですけどね。
 でもって、恐る恐るお値段を聞くとなんと「タダ」だそうで。(厚生労働省までの交通費だけかかった)

 うーん、わし的にはとてもありがたいんですけれども、やっぱりいくらか実費程度は取ったほうがいいんじゃないですかねえ。

みのさん、謝罪するのはスポンサーだけではありませんよ!

2005-06-24 12:18:48 | Weblog
 みのもんた、朝ズバッで問題発言で謝罪
 いや、それはスポンサーの悪口を言ったんだから当然としても(しかし、医薬品と単なるビールとを比べて医薬品のほうが効かないなんていわれたら、そら製薬会社も怒るわなあ)、問題発言多すぎます。

 で、みのもんたの「年金は潰れる」発言への謝罪はないのでしょうか?
 もちろん、ちゃんとした根拠を提示し「このままではまずい」という真摯な提言はきちんと受け止めるべきでしょうが、放送という公的な場で、一般国民を相手に無責任なあおりを行った罪は本当に重いです。
 ビオフェルミンの悪口をいって、会社が潰れることはあっても、一般庶民には関係ないですけど、年金の存亡は我々の老後にものすごく大きな影響を及ぼします。
 責任の度合いは、間違いなくこちらのほうが大きいと思いますが。

 みのもんたに限らず、年金不信を煽る発言は多いですけど、本当に自分の発言への社会的影響力を考えてくださいね。
 もし話すなら、年金崩壊論を裏付けるための徹底した下調べが必要です。

 厚生労働省に対しては、不祥事が多すぎますしいろいろ腹立たしいことが多いですけれど、この件に関しては、言われっぱなしな厚生労働省に少しだけ同情してしまいます。

NOVAの逆切れーPart2

2005-06-09 12:29:03 | Weblog
 若い世代が金を稼ぎ、老親の面倒を見るというのは、どの時代にも普遍的なことでした。同居してなければ送金するのが当たり前。ただそれでは、子供の負担が大変だし、迷惑もそうかけられない。それで今は公的年金として、子供は年金保険料を払い、それを親が年金としてもらうという形で間接的ながらも仕送りという制度を続けている。そうわしは解釈しています。

 稼げる人は社会的負担をし、稼げなくなった人は、その時は遠慮なくその恩恵にあずかる(今まで社会的に支えてきたのだから)という循環がないと世の中は回っていかないのです。

 外国人労働者を雇い、しかもその労働者および雇用主が社会保険の負担をしないならば、その循環は全く機能しなくなる。
 日本で稼いでその中から公租公課として徴収され日本のお年寄りたちのための原資となるべき金が、マルマル海外に流出してしまうのです。

 そういう意味で、我々の豊かな老後のために、まだ外国労働者の数が日本に増えていない今のうちから、「外国人労働者を雇う会社の社会的責任」を明らかにさせておかないとダメだと思います。NOVAの逆切れは絶対放置してたら後々に害悪。

 介護職員として、フィリピンやタイの人を雇うという話も着々と進んでいますが、介護施設だって、「中身はグダグダなところ」は山ほどあります。介護とか看護とかいう名前からは想像もつかない、酷い施設もあるようです。

 そんな会社では、「健康保険や介護保険」の恩恵を会社ビジネスとしてしっかり受けながら、「自分たちの雇っている外国人労働者には社会保険を適用させない」というとんでもないことになる可能性だってあるんです。

 わしの不安が杞憂に終わればいいですけれど、外国人労働者の雇用管理は前例がないし、生活習慣の違いや言葉の壁などいろいろな障害があって、どんな問題がでてくるかわからない。やり方を一歩間違えると国際問題にまで発展する。
 最初から最後まで、筋を通して基準を適用していればいいですけど、最初は甘く後から厳しくなんて基準がずれると大変です。

 (フィリピンのダンサーVISAの発給にしても、アメリカからの人身売買(売春)という警告を受けてかなり厳しくしたようですが、日本に働きにこれなくなるフィリピン人から大反対の合唱が起きました。フィリピン政府まで何とかしろと言われる始末。日本政府はまさかこんなに文句を言われるとは思っていなかったようです)

 普段は社会保険庁(社会保険事務所)の悪口をだいぶ言ってますが、今回は素直に「がんばれ」です。そして相手が何を言ってきても正論で押し通して欲しいです。

 

NOVAの逆切れにはNOだ!

2005-06-08 12:10:54 | Weblog
○社会保険庁は6日までに、外国語学校が外国人講師を社会保険に加入させていないケースがあるとして、全国の外国語学校事業者への立ち入り調査を始めた。
 社保庁によると現在、全国に約750の事業所が存在するが、昨年から今年にかけて、講師に厚生年金や健康保険に加入させてない事例が見つかるなどしたことから、一斉調査の方針を決め、5月19日付で全国の社会保険事務局に通知していた。


<解説>
 日本人が、ものすごく税金、保険料の高い北欧に働きに出かけ、それこそ給与の半分も税金と社会保障費として徴収されたとき、「俺は日本に帰るんだから、そんな税金や保険料を徴収されたくない!」
 とダダをこねたら、どうなるでしょう。多分、小学生以下の論理として相手にされないのではないでしょうか。

 最初にこの問題が顕在化したのはNOVA(他にもあったのかもしれませんが、大々的にでてきたのはNOVAだった)でしたが、
 このNOVAの担当者の「大抵の外国人は、日本に長期滞在をする予定はなく、年金には入りたくないといっている、制度がおかしい」と開き直りのコメントを聞いたときには正直頭に血が上りました。

 何度も何度も何度も(いい加減ウンザリ)、言っていますが、年金は「老後」だけではないのです。障害や遺族も保障する総合保険。
 日本の語学学校で働いている外国人さんには、明日交通事故で寝たきりになるリスクも存在するはず。また年金と健康保険はワンセットですから、健康保険の利用は更に深刻な問題、風邪ひとつ引けなくなります。

 で、短期滞在の外国人さんにはちゃんと、脱退一時金という制度があり、決して全額払い損になることはない(払った分だけ戻らないかもしれませんが、それは日本にいた間の障害や遺族の保障をしてもらってますし、もし日本人と結婚でもして日本に定住することになったら老後に年金受給に結びつくようになるでしょうから当たり前)

 NOVAは、「従業員が入りたがらない」と理由を他人に押し付け、自分たちの経済的負担を回避して(健康保険と厚生年金は労使折半なので会社の負担は大きい)、なおかつ、批判されると年金制度が悪いと逆切れしている という本当に企業倫理も何もない状態なのです。

 昨日の新聞でNOVAは、「人事担当者が居ないからコメントできない」といってましたが、おいおい、立ち入り調査が入っている時に人事担当者が休暇とっているわけないだろうに(笑)

 なぜ、わしがこの語学学校の問題を重要視しているかといえば、これから「外国人雇用」の問題が避けて通れなくなるからなんです。
 外国人でも日本での移住を狙ってやってくる人もいるでしょうが、大抵は老後は国に帰るという人でしょう。そうなると、「年金なんかいらない」という外国人労働者はごく平均的なものになります。

 じゃあって、「会社がその外国人労働者の言い分を全面的に聞いて年金と健康保険に入らない」なら本当に日本の社会保障制度は崩壊します。

 日本で働くなら、日本で働く分の場所代(税金、社会保障費、ごみ処理費其の他公租公課)を負担するのが当たり前だと思いますが、それを「制度がおかしい」と逆切れされてもなあ。

 まだまだ外国人労働者は一部の違法労働者や就学ビザのアルバイトを除いてポピュラーにはなっていませんが、これからどんどん正規の外国人労働者が増える時代です。そんな時代に今までどおりの「高い社会保障水準を維持していく日本」であるためには、今からNOVAのようなふざけた会社は厳しく調査して法律を守らせる必要があると思うのです。

 NOVAは野放し じゃいかんよ。NOVA無し(違反企業ナシってこと) になるまでちゃんと行政が指導しないと。

年金未納者とプライバシー

2005-06-07 12:42:51 | Weblog
○国民年金保険料の未納者に対する強制徴収を進めるため、社会保険庁が市町村に被保険者の所得情報提供を申し入れたのに対し、4月15日現在で全国の70市町村が個人情報保護条例との関係で「提供不可能」と回答していることが6日、同庁が全国社会保険事務局長会議で示した資料で明らかになった。

<解説>

 普通の人のプライバシーは守られるべき。それは当たり前です。
 でも、年金未納者は、「保険料納付という義務」を果たしていないのです。
 年金制度が良いとか悪いとかいう議論は別として、法律で強制加入の義務付けられた年金の保険料を払わない人のプライバシーまで厳重に守るべきなのでしょうか? しかも、情報の提出先は、「社会保険庁という公的機関」です。

 社会保険庁の問題やら、年金制度の問題はここではおいておいてください。それにはわしも言いたいことは沢山ある。ただ、一旦法律で決まったことは不備は欠点があっても国民が守らないと世の中は立ち行かない。どうもこの70の地方自治体の今回の対応は疑問です。
 
 この自治体は、年金の未納を野放しにしても平気なのかな。毎度言ってますが、老後の年金と生活保護は裏表の関係。年金があればお年寄りの生活保護率は下がります。 自分たちの自治体は財政が裕福で生活保護が増えてもびくともしないのでしょうか。こういう関連問題も考えてみないとダメです。
 プライバシーの保護も大切ですが、今回はどうもそれとは問題が違う気がします。

 住基ネットの接続の話でもプライバシーの問題がでてきました。
 これも、「今だから接続しない」ことに「接続をしていない自治体の住民」はデメリットを感じていませんが、本格的に電子政府が運用を開始し始めたら、「不便なことこの上なく」なります。

 住民票が取れるとか取れないとかいう細かい話ではありません。
 年金に関して言えば、裁定請求(年金を受けるときの請求手続き)は将来多分、「戸籍、住民票、課税証明書」は、その番号だけを電子申請書類に書けば添付不要ということになるでしょう。戸籍も着々と現在電子化が進んでいます。
 住基ネットに接続しない市区町村に住んでいる人は電子申請が使えませんから、相変わらず書類を市区町村役場で貰って社会保険事務所に行くことになります。その面倒ははなはだしい。

 現在、年金受給開始後、現況届(生きているという届けですね。簡単に言うと)が不要になった年金受給者(共済など)もいるのですが、同じ共済受給者でも、住基ネットに接続していない自治体に住んでいる受給者はその恩典が得られず、相変わらず現況届を提出しています。

 将来を見据えるなら、より便利なより効率的な行政を考え、ある程度のプライバシーが漏れるリスクを取ってでも、電子化を我々は甘受しないといけないと思うのです。 

 被保険者の所得情報提供申し入れは、昨年成立した年金改革関連法で可能となっているということですが、市区町村の条例のほうが国の決めた法律より優先するのでしょうか?学生時代聞いた講義とは違うようなのですが。(また確認しておかないと)。

 

国民年金の強制徴収、所得年500万円以上に

2005-06-03 12:05:30 | Weblog
○社会保険庁は国民年金保険料の収納について、市町村が持つ住民の所得情報を活用し、年間所得が500万円以上の未納者全員を2007年度までに強制徴収の対象とすることとする予定。負担能力があっても保険料を払わない人を許さない姿勢を明確にするとのことです。

<解説>

 5月10日にも一度500万円の基準ということでブログを書きましたが、やっぱりその方向で動くみたいです。

 国民年金の保険料については、こちらの(2)に免除基準を乗せていますが、4人家族だと、年収で260万円程度、所得で160万円程度の収入以下だと免除になります(一概には言えないけど)。てことは所得が160-500万円の方は、「未納でも全くお咎めナシの野放し?」

 でも、本当はこの範囲の人が「年金を支払う必要が一番ある」んですよ。
 
 金持ちにも貧乏人にも等しく老後は来る。で、金持ちはもし年金がなくても最悪自分の蓄えがある。ところが貧乏人は「預貯金などの蓄え」が少ないですから、「公的年金」がないとやっていけない。支えになるのは公的年金ですし、預貯金なんかより遥かに有利。
 そんな金持ちには強制徴収で保険料の収納し年金の受給権を確定させ、貧乏人は見逃しで、老後「無年金になる」のを放置? 結局無年金で収入がなくなり、誰も仕送りをしてくれなくなると、「生活保護」という形になってさらに行政の出費は増えるだけ。

 確かに高額所得者のほうから未納対策を進めていくのは正論ですけど、早急に「全額免除、半額免除の適用基準を高めて、それ以上の収入の人は平等に強制徴収」つまり、「未納だけど強制徴収をしない」というグレーゾーンを作らないほうがいいと思うんですけどね。

 強制徴収をし始めるのはいいんですけど、また年金制度への不信感を助長するようなことにはなってほしくないです。