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選挙前だから解説 民主党の年金政策に言いたいこと -2 

2005-08-29 10:37:01 | Weblog
 昨日あたりからマニュフェストの評価とか色々新聞にでています。

 記事によると、「年金については自民4:民主8」

 いや、確かに民主党の案は正論を並べています。方向性は正しい。文章を採点するとそうなるかも。
 でも、そのマニュフェストの評価のところに「実現可能性」というポイント項目があったのでしょうか? そこがなければダメだと思うのですけれど。

 民主党の年金政策の最大の欠点は、「実現可能性が乏しい」ということ。

 この前の言いたいことにも書きましたが、民主党の年金を実現するためには、所得の全国民の完全把握」が前提になりますよね。

 保険料は、夫婦で所得の合計に応じて払うということです。
 今は、国民年金は定額、厚生年金は給与に比例して払います。だから勤め人だけど、不動産収入が年300万円という人でも、勤め人の給与だけから年金保険料は引かれる。
 でも、所得を把握するのであれば、この方は「給与+その不動産所得」から年金保険料を計算するということになります。
 
 どうですか? 正論だけど、作業は容易ではなくめちゃくちゃ大変。しかもそういう風に自分の財布の中身を完全にガラス張りにされることへの国民への嫌悪感も強いです。
 
 小学生の優等生が、
 私は宇宙飛行士になりたい。 と作文を書き
 平凡なやつが、
 俺は大公務員になりたい。 と作文を書いたとします。

 学校の先生は、優等生の作文が「国語」という観点優秀であれば、それに高いポイントをつけるでしょう。
 でも実際優等生だからといって、宇宙飛行士になれるかどうかはなはだ疑問。まだ日本時宇宙飛行士なんて手で数えられるほど。

 一方公務員の場合はどうか?
 これなら、実現はかなり可能性は高い。採用試験に落ちて公務員になれないという可能性もありますが、平凡なレベルでも、普通に勉強すれば、特別「キャリア公務員のような頭脳明晰でないとなれない」公務員を除いて、夢はかなう可能性が高いでしょう。

 今回の年金の争点をものすごく単純化してしまえば、民主党の年金政策を支持される人は、実現可能性が高い と考えられていらっしゃるでしょうし、支持されない人は 実現不可能 という視点で見られているということでしょうかね。

 最後に、民主党さんに一言申し上げたいとすれば、
 年金の公平は極めて難しい ということ。

 「税を財源とする「最低保障年金」を設け、老後の最低限の年金を保障します。」
  
 マニュフェストにこういう文章があります。
 しかし、これは「今未納の人さえも税金で救済する」ということなのか? ちょっとわからない。でもそうだったら真面目に払った人より払わない人のほうが得じゃないか。すぐそういう異論が出ます。未納者を優遇したら絶対ダメです。必ずモラルリスク(けっ、やってられるかというような不満)が起こります。今でさえ、保険料未納無年金者が生活保護で救済されるということに不満は高い。(国民の義務を果たしていないのに権利は享受しているわけですから)

 じゃ、法律改正をした後からの期間分のみ「最低補償年金」の対象となるのか?
 そうなったら、年金保険料の未納による無年金者の救済の実行まで30-40年はかかりますよね。今50歳くらいの人で、今まで30年未納だった人は、あと10年分の期間に応じた年金しか貰えない。

 あの1行だけでも真剣に考えるとものすごく、「自分たちのマニュフェスト実現にはハードルが高い」ことは認識されたほうがいいんじゃないかなあ。と思いますが。

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