OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

離婚時年金分割(臨時編2)

2006-01-16 02:02:40 | Weblog
 ちょっと今回も週末投稿が臨時編でお茶を濁すことになります。スイマセン。

 おなじ社労士で、弁護士事務所と深い付き合いのあるIさんの言、
 「老後の生活を年金に頼るような、一般人は離婚したらダメだよ」

 お聞きすると、弁護士事務所には沢山離婚を希望される方が相談にこられるそうですけれど、大抵がお金のある方だそうです。
 お金があるから、離婚しても財産分与でお金を貰って老後が安心だから離婚ができる。一般庶民は、離婚したくても金がないからそれができない。

 2人では生活できるが1人では生活できないということがあります。
 シミュレーション次第ですけど、わしがよく使う設定例(夫ー20万円、妻ー6.5万円 厚生国民年金の合計で) の場合、夫婦での年金は26.5万円ありますから、ローンやら何やらがなければ基本ベース年金で食べていける。
 ところが、この夫婦が離婚してしまうと、婚姻年数にも寄りますが全厚生年金の加入期間の4分の3程度が婚姻期間だとすると、夫は15万円、妻は11.5万円の年金になります。

 それで食えるか? そういう問題が現実としてでてくるわけです。実際のところかなり切り詰めないときついと思う。夫婦が別れ別れになれば生活費が単純に半分になるわけがない。しかもこれは熟年離婚の場合ですから、夫また妻は新しい住まいを借りるなり買うなりしなきゃいけなくなるわけで(実家に兄夫婦 だと絶対帰れませんから)、その辺も考えるとカナリ苦しい。

 現実問題としてこれだけ騒がれている離婚時年金分割ですけど、できるのは婚姻期間の浅い若い人(年金関係影響なしで離婚できる)、と 上述の金持ちだけで、熟年だけど一般庶民みたいなのは、「我慢して耐える」のがデフォルトになりそうな気もします。
 そのほうが、夫が亡くなったときに遺族年金(上の例だと妻は1人になって15万円くらいの年金になりかつ夫の残した家に住めますから、断然楽)も考えると一番賢明な選択肢なんでしょうね。

 熟年離婚でお金があって、離婚してもやっていける方の年金分割もじゃあ大したことはないかというとそうではなさそうです。
 当たり前だけど長い夫婦の生活で感情は相当もつれている。なので、お金に関係なく「1円でもあいつから取ってやろう」という感情的な態度になりがち、そうなると理論的に物事を考えられなくなるので、本当に分割が難しくなる。
 どういう基準で分割するのかという詳細はまだわかりませんが、こういう人くらい扱いにくい人はないですよね。
 
 弁護士さんも困り果てるのではないでしょうか。

離婚時年金分割(臨時編)

2006-01-08 18:05:57 | 離婚時年金分割
 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 といいつつ、もう8日も過ぎたのでこの表現は正しくないのかもなあ。

 今回はご挨拶と雑談ということで、ちょっとお茶を濁します。

 年末、忘年会が続いてその席上で、また田舎に帰省していろいろな人とお話をしました。当然離婚時年金分割の話も話題もあちこちで出ました(わしが年金の仕事(勉強)をしているということで特に話題として振られた部分もあるかもしれません)。
 
 で話をしていて、離婚時年金分割に関して「年金分割は夫の年金を半分にしてもらえる」という誤解をしている人が多すぎ。
 まあ、おおっぴらに年金分割を聞いてくる人は、話の種として聞いてくるだけで、離婚を真剣に考えている人は、そんないい加減な噂を真に受けてはいないと信じてはいますが(裏切られるかなあ)。
 年金の素人さんばかりですから、丁寧に説明すると、ある程度は概要がわかっていただけるのですが、それにしてもこの現状はまずいよなあ。

 20-60歳まで夫が働いていて妻は専業主婦、結婚が30歳 という場合、夫が20万円の年金(月額かつ国民年金と厚生年金合わせて)だった場合には、約5万円の年金が分割されるだけ。

 この辺のカラクリは、ブログに書いたし、これからも書くので説明しませんが、本当に「噂話の一人歩き」が巷にどんどん進行していることに恐怖を感じています。

 離婚時年金分割の制度が始まるまであと1年と3ヶ月。
 本当にこの制度は上手く機能していくのでしょうか。
 来年の今頃は、いよいよ本番直前で緊張感に包まれるということになっているのでしょうか。

 今年も最新記事をなるたけリアルタイムにUPしていく所存です。
 できれば、またご訪問をよろしくお願いします。
 

基礎年金の国庫負担率引き上げ35.8%

2005-12-19 21:44:22 | Weblog
◎政府・与党は15日、06年度予算で、来年4月から児童手当の支給対象を現行の小学3年から小学6年に引き上げることと、基礎年金の国庫負担割合を引き上げることで合意した。新たな財源は児童手当が2650億円、基礎年金が2200億円。たばこ増税や定率減税の廃止の増収分を充てる。

 基礎年金の国庫負担割合は、現行の34.4%を09年度までに50%まで引き上げる方針が決まっているが、今回の措置は35.8%までの小幅引き上げにとどまった。


<解説>
 基礎年金の国庫負担率は現在の33%から50%に引上げられるのはすでに既定路線。国庫負担率50%というのは、結局我々が1000円の保険料を払ったとき、同時に国が1000円を負担し合計2000円が保険料となっていることを意味します。
 だから、「年金保険料を払いなさい」と口をすっぱくしていっている。2000円のものを買うのに1000円でいい。あとは税金から出すって言っているんだから。

 1000円の保険料を払わないというのは、国が別途1000円くれるというのを拒否しかつその財源を消費税として別途払い続けるということ。
 その1000円は保険料に充当されますから今ではなく、老後65歳になってから年金としてくれるものなのですが、たったこれだけでも、「年金未納は損だよなあ」ということがわかる事例です。

 さて、国庫負担率の引き上げで気になるのは、給付金額のこと。
 今は33%の国庫負担率ですから、もし年金が免除(収入がない等で)の扱いを受けたとしても、普通にお金を納付したときに貰える年金の3分の1を貰うことができます。
 具体例でいえば、国民年金1年保険料を払うと、老後の年金が19862.5円ふえる(約2万円/年額)、これが免除だと約6555円ほど増える。
 ちょうど3分の1です。

 そうすると、国庫負担率が増えたら当然ながら免除の場合の支給額も2分の1になると容易に想像される。
 つまり保険料を全額納付してる人が貰う年金が、19862.5円(年間)増えるなら、9931円増えるということになるでしょう。

 そこまでは皆想像がついている。で、我々が知りたいのは、国庫負担増額後の過去の免除期間の扱いについて。
 つまり2分の1になる時期から前の免除の期間も9931円増えることになるのか否か。

 具体例を出すと、
 平成1-5年まで5年間免除だった、その後平成20年から国庫負担率は50%になった。その後平成25-29年までまた免除。

 その場合、平成20年から後は免除期間は9931円増えるのだけれど、平成1-5年までは、国庫負担率が33%だったんだから6555円×5年 平成25-29年までは9931円×5年 
 で分けて計算するのか、それとも大盤振る舞いで
 両方共に9931円×10年 
 で計算するのか

 今回は小幅引き上げの答申で、新聞には何も書いていないけれど、受け取るほうもどうなるか知りたい。新聞記者さんにこういうことを期待するのは無理かなあ。
 とりあえず今回は国庫負担を35.8%に上げるだけで、貰う方はいじらないのだろうか。

離婚時年金分割ー15(週末投稿)

2005-12-18 15:02:08 | 離婚時年金分割
 第3号被保険者(専業主婦の妻)の分割の場合は、自動的に半分分割ですから、何ら悩むことはないですけれど、そうでない場合の分割は、「年金が半分」なんて期待しないほうがいいという話は前回書きました。

 そんなことを書いてから、寝床に入って考えても、悩んでいたのは
 「年金以外の財産との調整ができるものなんだろうか?」 ということ。
 
 別れる妻の側が、「年金は将来65歳とかにならないともらえないもの」なんだから、年金分割で年金を貰う権利よりも「安くても現在時点で価値のあるものが欲しい」として、年金分割で按分割合を沢山貰わない代わりに、「財産を普通の協議より多く貰える」 というような取引ができるか否か。

 目の前に預貯金が1千万円ある。あとの財産は家くらい。

 そういう家庭が離婚する場合の財産は、「何を分割したらいいのか」が明確(もちろん、具体的に幾ら分割するかは大変面倒です)。目的の特定は今までは楽だった。
 ところが、年金受給権は「年金を貰う時点になってみないとわからないもの」、物価スライドしますし、法律改正も入るかもしれない。海のものとも山のものともわからない。空に浮かんでいる雲なのかもしれません。
 
 そんな年金のような将来、「支給額が不明確な」ものを現在ある財産分割の取引の材料として利用できるのか?

 社労士的には、離婚時は「財産分割」と「年金分割」を完全に分けて考えてもらうほうが楽。財産分割と年金分割って全く話が違うものですから。財産分割の主たる担い手の弁護士さんとしても、「なんだか良くわからない年金まで手を突っ込むのは嫌だな、財産分割と年金分割が分けて考えられるなら、年金分割の具体的な解説は社労士に頼んでしまえばいいだろう。」と思う人も多いかもしれません。

 でも、世の中のお母さんたちの中には「子供を2人引き取るんだから、老後の年金より、今の生活費がはるかに大切。だから例えば「子供が20歳まで月々10万円の現金を送るという約束を確実に履行してもらったほうがよくて、それを反故にした場合には悔しいから、年金を分割して欲しい。とか とにかく年金受給権より今お金が欲しいから年金要らないから金をくれという風な現実的希望を持たれる方がいらっしゃるかもしれない。

 そう思うと、世の中の離婚する妻の立場からは、使い勝手は「年金分割」という武器を「財産分割」に使えるようにしたほうがいいのかなあとも感じられます。
 (上の、10万円の現金を送らなかったら云々ということは、できるか否かまた不明です。ただ2年以内に手続きしろということになっているので、ダメでしょう)
 
 本当に、一体どうなるんだろう。

 最初に、弁護士さんは「年金がわからないだろう」と書きました。でも社労士は逆に、「離婚時の財産分割の現状がわからない」。離婚時の財産分与と年金分割が絡むと本当に困ります。

 夫6:妻4 というような按分率の指定は誰でもできます。
 ただ、妻が4となったということはどういうこと? というのは難しい。
 現在価値でいいから幾ら年金が私のほうに来るようになったの? そういうことは皆聞きたいし、その具体的な額がわからないの他それ以外に貰う財産が妥当なものかもわからない。これじゃ財産分割も進まないかもしれない。
 

 そろそろ、書店に出向いて、離婚の手続きと財産分与についての解説書を買って、勉強しないとダメですね。

 離婚の扱い件数の多いベテラン弁護士さん、誰か紹介してくださいな。年金知識は幾らでもこちらから出しますから。 そんな気になります。
 



 
 


 
 



 


 
 



携帯電話で、年金額試算?

2005-12-17 12:15:23 | Weblog
携帯電話で、年金額を試算できるようになった。こんな情報が社会保険庁のHPに載っていました、早速散歩。

http://www.sia.go.jp/k/

これがサイトです、興味ある方ぜひ試算してみてください。

いかがでしたか?

 評価は人により様々でしょうが、わしの正直な感想は「何でこんなもん作ったんだ?」というものでした。

 携帯電話だからとても使いにくい。年金の気になる人は50-60代、大抵は老眼で小さい字を嫌がる人たちです。しかも機械に弱い人が多い。

 じゃあ若い20,30,40代の人が携帯電話で試算するか? たぶんしないでしょう。(社労士やFPや年金に興味のある一般の人は別ですが)そんなに興味なんかない。

 社保庁の職員の慰労向けマッサージチェアーは、「100人が100人ともに批判できる無駄遣いの材料」でした。

 でも、「携帯電話で、年金額の試算ができます」というのは、そういうものではない。社保庁が「国民へのサービス向上の一環として実施しました」という説明をすれば真っ向から反論できない。

 ということで、ぜひ、議員さん、あるいは社保庁の改革に関与していらっしゃる人にお願いしたい。

 この携帯電話のサイトにいくらアクセスがあり、どれくらいの人が試算したか?これを明らかにするように目を光らせていただきたい。こういう統計は普通に取れるものだと思いますが。アクセスが極端に少なければ「失敗」ということ。

 あと、この携帯サイトの構築に幾らのお金を払ったのか? そこも成功、失敗を判断する基準。
 わしは、ITの素人であまり言及はできませんが、わしのつたないIT知識でも「この程度のものはすごく簡単なプログラムの類」で、そんなに金はかからないように思われます。

 とっても安い金で、もしこのサイトができていたなら、「アクセスが少なくてもサービス向上」ですが、ビックリするような高い金を払っていたら「よほどの数のアクセスがない限りとんでもない無駄遣い」な気がします。

 社保庁も最近の批判を受けていろいろと知恵がついてきたかな(苦笑)。

ターンアラウンド型年金裁定請求用紙大不評

2005-12-12 17:06:25 | Weblog
 平成17年10月から、社会保険庁はターンアラウンド型の年金裁定用紙を送付し始めたらしいのですが、これが大不評なようです。
 
 受給権の発生する誕生日の3ヶ月前の人に送付するとのことで、年明けからどんどんこのターンアラウンドの年金裁定用紙を使った手続き者が沢山出てくると思われますが、すでにこの用紙が来たんだから手続きができるだろうと社会保険事務所に出かけて断られる人もでているとのこと。

 年金を扱っている人にとっては、誕生日以前に手続きをしようとしても断られるのは、あまりにも当たり前。戸籍や住民票のような添付書類も誕生日の1日前の分しか有効な書類として受け付けてくれません。
 
 そんなこんなで、現場が大揉めしそうな気配もあるとの事。社会保険事務所によっては、このターンアラウンド型用紙で請求をされたのを以前の様式(様式101号)に書き直して事務処理をすることを決めたところもあるとかないとか。そんなことをさせられる職員(正規じゃなくてパートアルバイトでしょうが)は、たまったものじゃありません。

 元々様式101号というのは、8ページでしたが、ターンアラウンド型の用紙は何と15ページ。同じ内容の手続きなのになんで容量が倍になるか?
 当たり前だけど、コストは普通に考えて倍以上。

 国民へのサービス向上をうたいながら、焼け太っているのでは? と疑いの目をかけられても反論できないのでは?
 より使いやすい用紙を作ることが、国民へのサービス向上といえるのですけれど、作ればいいってものじゃないですし。

 個人的には様式101号に事前に必要事項を打ち出して手続き予定者に送付するのかとおもっていたのですが蓋を開けたら全然話が違っていました。うーむ。

 参考 ターンアラウンド型 裁定請求書 サンプル
   

 

離婚時年金分割-14(週末投稿 再開しました)

2005-12-11 23:08:53 | 離婚時年金分割
10月から、FP試験、旅行(台湾)、引越し(パート1=居宅)、引越し(パート2=仕事場)で、しかも週末は毎週来客が相次いだりして、殆ど更新をできずにいました。
 ご贔屓にしてこちらのブログをお読みになっている方は皆無だと思いますが、それでもまれに迷い込んでいらっしゃる方がわずかでもいらっしゃるので内心更新ができないことにイライラとした気持にもなっていました。

 やっと身辺も落ち着き、更新ができる状況になりました。

 さて、離婚時年金分割のこと、最初の前提部分が飛んでいることに、長期間間を空けたことで気づきました。

 離婚ということをしたことがないから、離婚の手続きがわからなかったのです。
 
 長期間書かない間に気になったのは、「離婚時年金分割」と書いてあるけれど、「離婚前にする」のか「離婚後にする」のかが明確になっていなかったこと。そこは相当に重要な問題です。で、今まで偉そうに離婚時年金分割と書いていたんですが、どうも「離婚手続き後年金分割」と書いたほうがいいのかもしれない。

 条文に戻って読んでみるとと、「離婚等をした場合」つまり離婚をした後に「年金分割」を協議し始めるという手はずになるような書き方をしてある。

 いや、これが実は非常にヤバイです。

 平成20年から開始される、第3号被保険者の自動分割は年金の自動的な分割なのでもめる可能性はほとんどない。でも、それ以前の期間にかかる離婚時年金分割は「当事者の協議」で「協議がまとまらないときは、家庭裁判所」が、按分割合を決定する。となっている。

 つまり、離婚時には「幾ら年金がもらえるかわからない」状態で離婚するということ。
 それなのにすでに、「夫の年金の半分がもらえる」が一人歩きしている。
 夫の年金の半分は「厚生年金部分」であって、しかも「婚姻期間中」のものであって、しかも「按分割合は協議または家庭裁判所が決める」という条件の部分が全く飛んでいる。

 なお余談ですけれど、年金だけではなく離婚時の財産分与も離婚をした後に協議することになっている。そうなると、財産分与の時に同時に「離婚時年金分割の按分」も決定されるのかな?この辺は離婚手続きをもうちょっと突っ込んでみないとわからない。

 期待に胸を膨らませて(かどうか知らないが) 年金を半分もらえるから我慢して今まで離婚しなかったのに、半分じゃないの?たったこれだけ? というグチが聞こえてくるような気がします。

困ったことに、年金分割の一人歩きが始まっている。月額20万円夫が貰っている年金であれば、夫の国民年金分の6.6万円を除いた13.4万円が対象。
そのうちの半分だから、最高で6.7万円(全期間が対象として)。結婚が遅ければ婚姻期間が短いから5万円くらいが最高になる事だって十分ありえる。

しかも、夫が激しく按分に抵抗した場合には、協議が決裂し裁判所に審判を仰ぐことになる。

どういう基準で按分割合を決定するのか? 諸般の経緯から、多分半分を原則に決定されると私個人も予測はしているのですが、それは予測の範囲内でしかない。これは本当に喉から手が出るほど知りたいけれど、手元に資料がない(これは多分始まらないとわからないことだろうな)

離婚件数が減少しているそうですが、あくまでも未確定要素が多すぎて「絶対に早まったらダメ」ってこと。
先例も、前例も、審判例も何の蓄積もない状態で、離婚時年金分割に踏み切るというのはある意味冒険なのです。こういうのは事例の積み重ねを経て世の中に定着していくもの。
年金がもらえることについて、期待通りに行くかもしれないが行かないかもしれない。

ただ、やっぱり「自分の思ったとおりの年金がもらえるとは限らない」と覚悟はしておいたほうがいいです。

離婚時年金分割ー13(週末投稿)

2005-10-16 13:38:34 | 離婚時年金分割
 離婚時年金分割の説明をHP上でしている人は沢山いらっしゃいます。でもどこかからパクってきてそれをそのまま載せているようなのがとても多い。
 何か自分の参考になるかなといろいろと調べてみようと思っても、参考になるどころか、ちょっとみて「お前これ違うだろう!」って思うようなネタばかり。
 良くわからないけれど、みんな興味があるネタだから、一応載せておこうかなと受け止められるような安易な内容の物が目立ちます。

 本当に真摯に離婚時年金分割を勉強していらっしゃる方は、「全く手探りな状態なんだろうなあ」と思うのが現状です。

 さて前々前回、前々回と標準報酬の話をしました。

 おさらいすると、年金(厚生年金)の額の計算は、働いているときの給与(報酬)を基にして、それを現在価値に戻し、さらにその現在価値に戻したものに一定の率を掛けて年金額を算出する。

 で離婚時年金分割の場合も、これをたたき台にして分割割合を決める。年金分割の法律を読むと、まず平成16年改正法で、「標準報酬の改定または決定をすることができる」と書いてありますからね。
 
 「年金の額を分割するのではない=具体的に年金の額を算出しその年金額を調整するのではない」ということは繰り返しますがしっかりご理解ください。
 でもすでに、一部のHPでは「年金額の分割」とか、誤解されかねない書き方をしているところがあります。これは間違っていると思うのですが(HPの作成者にメール出して聞くわけにもいかないし、現時点では放置しかない)、うーん何回読んでも法律には「標準報酬を分割する」ということが書いてあるんだが。

 で、按分の方法ですが、前にも書いたとおり、対象期間=婚姻期間の各月の標準報酬(つまり各月の給与)と平成15年4月以降の給与 に調整率(物価や賃金の上昇反映)を掛けたものを総合計しその額(夫と妻の額を別々に出して)按分の割合を出す。話し合いの前に婚姻期間の全期間の報酬情報をさらけだせってことですね。もちろん分割してもらう側も全部見せないとダメです。

 これについては社会保険庁長官に情報提供を求めることができますし(78条の4)、裁判所からの資料請求に関しては義務を課せられています。拒否することはできません(てか拒否する前に自分の10年前の報酬を覚えている人は皆無だから、情報を貰わないと話し合いのスタートにも立てないでしょう)

 でその後具体的に、話し合い(調停)が終わったあとの年金については、
 第1号改定者(あげるほう)
 新標準報酬月額(要するに給与) =以前の自分自身の標準報酬月額×(1-改定割合)
 第2号改定者(もらうほう)
 新標準報酬月額(要するに給与) =以前の自分自身の標準報酬月額+第1号改定者の標準報酬月額×改定割合

 という風に計算され(平成15年以降の賞与も同じ方法で分割)、改定請求のあった日から効力を生じるということになります。
 なお、第2号改定者(もらうほう)がずっと専業主婦だった場合には、前からの数字を改定するのじゃなくて前がゼロ(つまり専業主婦で標準報酬はなかった)のですから「改定」という言葉を使わず、「決定」という言葉を使っています。
  
 そして、決定が終わって分割が解決したら社会保険庁長官は、その記録をしないといけないし、当事者に通知をしなければならないということになります。

自民党の杉村太蔵衆院議員、年金未納問題で告発されるーその2

2005-10-14 12:22:25 | Weblog
 一昨日に書いたものの続きになります。
 できれば一昨日のブログをお読みになってからのほうがわかりやすいかと。

 大阪地検に告発された杉村議員。なんで告発されたのかわからなかったのですけれど、一昨日のブログで予想した通りだったようですね。


国民年金法

第12条 被保険者(第3号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。


第113条 第12条第1項又は第5項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者は、30万円以下の罰金に処する。ただし、同条第2項の規定によつて世帯主から届出がなされたときは、この限りでない。

 第12条では、被保険者になった場合の届出義務があり、また届出を怠った場合は113条により罰則がある。

 そこで、オンブズマンという人たちが告発したのだそうです。
 根拠にしたのは、「学生時代は任意加入だと思っていた。」という杉村議員の発言。任意だと思っていたなら当然手続きをしていないだろうと想像しての告発だそうです。

 でもねえ、確かに杉村議員の未納は酷いにしても、オンブズマンの行動は一体何?って思いますよ。

 年金で届出が必要なことはとても多い。
 海外から帰国して、日本在住になった場合とか、サラリーマンを辞めて自営業になった場合とか、その場合に確実に届出をしている人ばかりじゃない。「人間って忘れることがあるでしょう」それを後で国会議員になったからといって告発されたらたまらん。
 今は、届出しない場合にお役所から指導することも普通ですが、杉村議員が20歳になった時にはくりかえしますが、そんなこともしていなかったはず。

 昔なら手続き未了後の放置ってよくあったようです。手続きをしたあとは、毎回「納付書」がきて「年金払ってね」っていわれ未納も結構プレッシャーだけれど、届出きすらしていないと、「納付書もこない」だからまったり未納ができる(苦笑)。

 また、第3号の未届者なんてのは、罰則どころか遡及して手続きの効力をもたせるという風に逆に「救済」すらしているんです。

 
 20歳時点での、加入手続きと年金手帳交付についてはちょっとだけ聞いてみましたが、場所により様々。
 お役所が自動的に送付するところもあれば、印鑑もって届出をしてから手帳を送付するところもある。一概には言えないようです。

 杉村議員が、20歳のとき住民登録した役所はどうだったんでしょう?自動送付ならそもそも手続き未了ということすら考えられない。お役所は届出がなくてももう手続きを進めて加入ということにしてしまっているんだから、たしかに手続きしてないのは形式的には法律違反なんですけど、「実体に全く影響がない」

 他人を告発するんですから、この程度のことをちゃんと調べてから告発したんでしょうね。疑わしいということであれば告発ができるのでしょうが、あまりにも瑣末なことで告発するのは、他の重大な事件の告訴告発に影響を及ぼします。

 本当にオンブズマンの名前が泣きますよ。
 

自民党の杉村太蔵衆院議員、年金未納問題で大阪地検に告発される

2005-10-12 12:55:56 | Weblog
○自民党の杉村太蔵衆院議員(26)が年金未納問題で大阪地検に告発されたことが11日までに、分かった。告発したのは市民オンブズマンとされる団体。太蔵氏が筑波大在学中の99年から03年までの4年間、年金未納だった点を大阪地検に告発したという。

<解説>

国民年金法にある罰則は以下の通りです。

国民年金法111条 不正受給 (当たり前だけどこれは一番ヤバイ)
国民年金法111条の2 これは基金関係の話だから普通の人には関係ない
国民年金法112条 虚偽の届出、虚偽の報告
国民年金法113条 届出義務ある人の届出未了
国民年金法113条の2 徴収職員への非協力、妨害
国民年金法114条 略


さて、杉村議員、何で告発されたんでしょう?
一応20歳になったら、印鑑をもって市区町村役場にでかけ手続きをするのが筋ですけれど、(現状はどうなのだろう(後で調べてないといけません)、今は自動的に送付されるのでしたら、その手続きすら不要になっているか。)
建前上は(法律を読むと)、被保険者=20歳になったら手続きしろとは書いてある。

 ココで思い出すのが杉村議員の弁明。「学生は任意加入だと思っていた」という弁明をしたのですが、20歳時点で国民年金法113条(届出義務のある人の届出未了)をオンブズマンが見のがさなかったのかもしれません。

 しかし、杉村議員が、仮に国民年金加入の手続きをしていて、その後納付をしなかった(一般的に未納といわれるもの=義務があるのに納付しなかった)場合には、国民年金法のどの罰則規定にも該当しません。この場合は罰則はないものの(罰金とか懲役とか)、別の条文で高い利息をつけられた保険料を別途徴収されるということでバランスを図っているのです。杉村議員がこれなら罰則にはかすりもしない。

 一般の人にはわかりにくいと思いますが、
 納付書(国民年金の納付書)が来る場合は手続きはちゃんとされてる。なので保険料を支払わないのは未納。(当然、サラリーマンや主婦は何も来ませんよ)
 納付書すら来ない(例えば海外から帰国して住所を海外のままにして当分日本にいた場合などにはこうなる)ときは、この加入手続き未了になっている場合です。納付書が来ないので未納じゃないなと騒いだバカ議員(杉村議員ではない)が居ましたが、こういう場合は罰則がある分だけ未納より悪質とも捉えられる。


 杉村議員がどちらであったのかわかりませんし、本人と行政側しか知らないはずなのに、オンブズマンは告発された。何か手元に確たる証拠でもあったのでしょうか?

 法律用語の解説には 「告発とは、犯人及び告訴権者以外の第三者が犯罪があると考え、捜査機関に対し犯罪事実を申告して捜査や犯人の訴追を求める意思表示です。」

 彼の未納が犯罪なら、大学生の相当数、一般国民の相当数が「犯罪者」です。
 オウムがチラシを一般のマンションに撒こうとして「住居侵入で逮捕された」ことがあります。これもただチラシを撒くために建物に入ったというだけで逮捕はよくないと批判された。しかし、オウムの場合は破防法を適用しようかというくらい「社会的な不安があった」ので止むを得なかったかもしれません。でも杉村議員の場合はそうではない。 

 未納は決して褒められたものではなく、また絶対すべきものではありませんが、なんで今回「告発」になるのか。
 
 報道だけではわかりませんが、オンブズマン今回の件はやりすぎのような、これじゃ極めて恣意的な告発でオンブズマンという組織自体の評価も落とすような気がします。話題になっているなら何でもかんでもやればいいでいいのかな。
 
 杉村議員目立つだけに叩かれるということでしょうか? 年金の本質論からだいぶ離れている気がしますが。