OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

基礎年金の国庫負担率引き上げ35.8%

2005-12-19 21:44:22 | Weblog
◎政府・与党は15日、06年度予算で、来年4月から児童手当の支給対象を現行の小学3年から小学6年に引き上げることと、基礎年金の国庫負担割合を引き上げることで合意した。新たな財源は児童手当が2650億円、基礎年金が2200億円。たばこ増税や定率減税の廃止の増収分を充てる。

 基礎年金の国庫負担割合は、現行の34.4%を09年度までに50%まで引き上げる方針が決まっているが、今回の措置は35.8%までの小幅引き上げにとどまった。


<解説>
 基礎年金の国庫負担率は現在の33%から50%に引上げられるのはすでに既定路線。国庫負担率50%というのは、結局我々が1000円の保険料を払ったとき、同時に国が1000円を負担し合計2000円が保険料となっていることを意味します。
 だから、「年金保険料を払いなさい」と口をすっぱくしていっている。2000円のものを買うのに1000円でいい。あとは税金から出すって言っているんだから。

 1000円の保険料を払わないというのは、国が別途1000円くれるというのを拒否しかつその財源を消費税として別途払い続けるということ。
 その1000円は保険料に充当されますから今ではなく、老後65歳になってから年金としてくれるものなのですが、たったこれだけでも、「年金未納は損だよなあ」ということがわかる事例です。

 さて、国庫負担率の引き上げで気になるのは、給付金額のこと。
 今は33%の国庫負担率ですから、もし年金が免除(収入がない等で)の扱いを受けたとしても、普通にお金を納付したときに貰える年金の3分の1を貰うことができます。
 具体例でいえば、国民年金1年保険料を払うと、老後の年金が19862.5円ふえる(約2万円/年額)、これが免除だと約6555円ほど増える。
 ちょうど3分の1です。

 そうすると、国庫負担率が増えたら当然ながら免除の場合の支給額も2分の1になると容易に想像される。
 つまり保険料を全額納付してる人が貰う年金が、19862.5円(年間)増えるなら、9931円増えるということになるでしょう。

 そこまでは皆想像がついている。で、我々が知りたいのは、国庫負担増額後の過去の免除期間の扱いについて。
 つまり2分の1になる時期から前の免除の期間も9931円増えることになるのか否か。

 具体例を出すと、
 平成1-5年まで5年間免除だった、その後平成20年から国庫負担率は50%になった。その後平成25-29年までまた免除。

 その場合、平成20年から後は免除期間は9931円増えるのだけれど、平成1-5年までは、国庫負担率が33%だったんだから6555円×5年 平成25-29年までは9931円×5年 
 で分けて計算するのか、それとも大盤振る舞いで
 両方共に9931円×10年 
 で計算するのか

 今回は小幅引き上げの答申で、新聞には何も書いていないけれど、受け取るほうもどうなるか知りたい。新聞記者さんにこういうことを期待するのは無理かなあ。
 とりあえず今回は国庫負担を35.8%に上げるだけで、貰う方はいじらないのだろうか。

離婚時年金分割ー15(週末投稿)

2005-12-18 15:02:08 | 離婚時年金分割
 第3号被保険者(専業主婦の妻)の分割の場合は、自動的に半分分割ですから、何ら悩むことはないですけれど、そうでない場合の分割は、「年金が半分」なんて期待しないほうがいいという話は前回書きました。

 そんなことを書いてから、寝床に入って考えても、悩んでいたのは
 「年金以外の財産との調整ができるものなんだろうか?」 ということ。
 
 別れる妻の側が、「年金は将来65歳とかにならないともらえないもの」なんだから、年金分割で年金を貰う権利よりも「安くても現在時点で価値のあるものが欲しい」として、年金分割で按分割合を沢山貰わない代わりに、「財産を普通の協議より多く貰える」 というような取引ができるか否か。

 目の前に預貯金が1千万円ある。あとの財産は家くらい。

 そういう家庭が離婚する場合の財産は、「何を分割したらいいのか」が明確(もちろん、具体的に幾ら分割するかは大変面倒です)。目的の特定は今までは楽だった。
 ところが、年金受給権は「年金を貰う時点になってみないとわからないもの」、物価スライドしますし、法律改正も入るかもしれない。海のものとも山のものともわからない。空に浮かんでいる雲なのかもしれません。
 
 そんな年金のような将来、「支給額が不明確な」ものを現在ある財産分割の取引の材料として利用できるのか?

 社労士的には、離婚時は「財産分割」と「年金分割」を完全に分けて考えてもらうほうが楽。財産分割と年金分割って全く話が違うものですから。財産分割の主たる担い手の弁護士さんとしても、「なんだか良くわからない年金まで手を突っ込むのは嫌だな、財産分割と年金分割が分けて考えられるなら、年金分割の具体的な解説は社労士に頼んでしまえばいいだろう。」と思う人も多いかもしれません。

 でも、世の中のお母さんたちの中には「子供を2人引き取るんだから、老後の年金より、今の生活費がはるかに大切。だから例えば「子供が20歳まで月々10万円の現金を送るという約束を確実に履行してもらったほうがよくて、それを反故にした場合には悔しいから、年金を分割して欲しい。とか とにかく年金受給権より今お金が欲しいから年金要らないから金をくれという風な現実的希望を持たれる方がいらっしゃるかもしれない。

 そう思うと、世の中の離婚する妻の立場からは、使い勝手は「年金分割」という武器を「財産分割」に使えるようにしたほうがいいのかなあとも感じられます。
 (上の、10万円の現金を送らなかったら云々ということは、できるか否かまた不明です。ただ2年以内に手続きしろということになっているので、ダメでしょう)
 
 本当に、一体どうなるんだろう。

 最初に、弁護士さんは「年金がわからないだろう」と書きました。でも社労士は逆に、「離婚時の財産分割の現状がわからない」。離婚時の財産分与と年金分割が絡むと本当に困ります。

 夫6:妻4 というような按分率の指定は誰でもできます。
 ただ、妻が4となったということはどういうこと? というのは難しい。
 現在価値でいいから幾ら年金が私のほうに来るようになったの? そういうことは皆聞きたいし、その具体的な額がわからないの他それ以外に貰う財産が妥当なものかもわからない。これじゃ財産分割も進まないかもしれない。
 

 そろそろ、書店に出向いて、離婚の手続きと財産分与についての解説書を買って、勉強しないとダメですね。

 離婚の扱い件数の多いベテラン弁護士さん、誰か紹介してくださいな。年金知識は幾らでもこちらから出しますから。 そんな気になります。
 



 
 


 
 



 


 
 



携帯電話で、年金額試算?

2005-12-17 12:15:23 | Weblog
携帯電話で、年金額を試算できるようになった。こんな情報が社会保険庁のHPに載っていました、早速散歩。

http://www.sia.go.jp/k/

これがサイトです、興味ある方ぜひ試算してみてください。

いかがでしたか?

 評価は人により様々でしょうが、わしの正直な感想は「何でこんなもん作ったんだ?」というものでした。

 携帯電話だからとても使いにくい。年金の気になる人は50-60代、大抵は老眼で小さい字を嫌がる人たちです。しかも機械に弱い人が多い。

 じゃあ若い20,30,40代の人が携帯電話で試算するか? たぶんしないでしょう。(社労士やFPや年金に興味のある一般の人は別ですが)そんなに興味なんかない。

 社保庁の職員の慰労向けマッサージチェアーは、「100人が100人ともに批判できる無駄遣いの材料」でした。

 でも、「携帯電話で、年金額の試算ができます」というのは、そういうものではない。社保庁が「国民へのサービス向上の一環として実施しました」という説明をすれば真っ向から反論できない。

 ということで、ぜひ、議員さん、あるいは社保庁の改革に関与していらっしゃる人にお願いしたい。

 この携帯電話のサイトにいくらアクセスがあり、どれくらいの人が試算したか?これを明らかにするように目を光らせていただきたい。こういう統計は普通に取れるものだと思いますが。アクセスが極端に少なければ「失敗」ということ。

 あと、この携帯サイトの構築に幾らのお金を払ったのか? そこも成功、失敗を判断する基準。
 わしは、ITの素人であまり言及はできませんが、わしのつたないIT知識でも「この程度のものはすごく簡単なプログラムの類」で、そんなに金はかからないように思われます。

 とっても安い金で、もしこのサイトができていたなら、「アクセスが少なくてもサービス向上」ですが、ビックリするような高い金を払っていたら「よほどの数のアクセスがない限りとんでもない無駄遣い」な気がします。

 社保庁も最近の批判を受けていろいろと知恵がついてきたかな(苦笑)。

ターンアラウンド型年金裁定請求用紙大不評

2005-12-12 17:06:25 | Weblog
 平成17年10月から、社会保険庁はターンアラウンド型の年金裁定用紙を送付し始めたらしいのですが、これが大不評なようです。
 
 受給権の発生する誕生日の3ヶ月前の人に送付するとのことで、年明けからどんどんこのターンアラウンドの年金裁定用紙を使った手続き者が沢山出てくると思われますが、すでにこの用紙が来たんだから手続きができるだろうと社会保険事務所に出かけて断られる人もでているとのこと。

 年金を扱っている人にとっては、誕生日以前に手続きをしようとしても断られるのは、あまりにも当たり前。戸籍や住民票のような添付書類も誕生日の1日前の分しか有効な書類として受け付けてくれません。
 
 そんなこんなで、現場が大揉めしそうな気配もあるとの事。社会保険事務所によっては、このターンアラウンド型用紙で請求をされたのを以前の様式(様式101号)に書き直して事務処理をすることを決めたところもあるとかないとか。そんなことをさせられる職員(正規じゃなくてパートアルバイトでしょうが)は、たまったものじゃありません。

 元々様式101号というのは、8ページでしたが、ターンアラウンド型の用紙は何と15ページ。同じ内容の手続きなのになんで容量が倍になるか?
 当たり前だけど、コストは普通に考えて倍以上。

 国民へのサービス向上をうたいながら、焼け太っているのでは? と疑いの目をかけられても反論できないのでは?
 より使いやすい用紙を作ることが、国民へのサービス向上といえるのですけれど、作ればいいってものじゃないですし。

 個人的には様式101号に事前に必要事項を打ち出して手続き予定者に送付するのかとおもっていたのですが蓋を開けたら全然話が違っていました。うーむ。

 参考 ターンアラウンド型 裁定請求書 サンプル
   

 

離婚時年金分割-14(週末投稿 再開しました)

2005-12-11 23:08:53 | 離婚時年金分割
10月から、FP試験、旅行(台湾)、引越し(パート1=居宅)、引越し(パート2=仕事場)で、しかも週末は毎週来客が相次いだりして、殆ど更新をできずにいました。
 ご贔屓にしてこちらのブログをお読みになっている方は皆無だと思いますが、それでもまれに迷い込んでいらっしゃる方がわずかでもいらっしゃるので内心更新ができないことにイライラとした気持にもなっていました。

 やっと身辺も落ち着き、更新ができる状況になりました。

 さて、離婚時年金分割のこと、最初の前提部分が飛んでいることに、長期間間を空けたことで気づきました。

 離婚ということをしたことがないから、離婚の手続きがわからなかったのです。
 
 長期間書かない間に気になったのは、「離婚時年金分割」と書いてあるけれど、「離婚前にする」のか「離婚後にする」のかが明確になっていなかったこと。そこは相当に重要な問題です。で、今まで偉そうに離婚時年金分割と書いていたんですが、どうも「離婚手続き後年金分割」と書いたほうがいいのかもしれない。

 条文に戻って読んでみるとと、「離婚等をした場合」つまり離婚をした後に「年金分割」を協議し始めるという手はずになるような書き方をしてある。

 いや、これが実は非常にヤバイです。

 平成20年から開始される、第3号被保険者の自動分割は年金の自動的な分割なのでもめる可能性はほとんどない。でも、それ以前の期間にかかる離婚時年金分割は「当事者の協議」で「協議がまとまらないときは、家庭裁判所」が、按分割合を決定する。となっている。

 つまり、離婚時には「幾ら年金がもらえるかわからない」状態で離婚するということ。
 それなのにすでに、「夫の年金の半分がもらえる」が一人歩きしている。
 夫の年金の半分は「厚生年金部分」であって、しかも「婚姻期間中」のものであって、しかも「按分割合は協議または家庭裁判所が決める」という条件の部分が全く飛んでいる。

 なお余談ですけれど、年金だけではなく離婚時の財産分与も離婚をした後に協議することになっている。そうなると、財産分与の時に同時に「離婚時年金分割の按分」も決定されるのかな?この辺は離婚手続きをもうちょっと突っ込んでみないとわからない。

 期待に胸を膨らませて(かどうか知らないが) 年金を半分もらえるから我慢して今まで離婚しなかったのに、半分じゃないの?たったこれだけ? というグチが聞こえてくるような気がします。

困ったことに、年金分割の一人歩きが始まっている。月額20万円夫が貰っている年金であれば、夫の国民年金分の6.6万円を除いた13.4万円が対象。
そのうちの半分だから、最高で6.7万円(全期間が対象として)。結婚が遅ければ婚姻期間が短いから5万円くらいが最高になる事だって十分ありえる。

しかも、夫が激しく按分に抵抗した場合には、協議が決裂し裁判所に審判を仰ぐことになる。

どういう基準で按分割合を決定するのか? 諸般の経緯から、多分半分を原則に決定されると私個人も予測はしているのですが、それは予測の範囲内でしかない。これは本当に喉から手が出るほど知りたいけれど、手元に資料がない(これは多分始まらないとわからないことだろうな)

離婚件数が減少しているそうですが、あくまでも未確定要素が多すぎて「絶対に早まったらダメ」ってこと。
先例も、前例も、審判例も何の蓄積もない状態で、離婚時年金分割に踏み切るというのはある意味冒険なのです。こういうのは事例の積み重ねを経て世の中に定着していくもの。
年金がもらえることについて、期待通りに行くかもしれないが行かないかもしれない。

ただ、やっぱり「自分の思ったとおりの年金がもらえるとは限らない」と覚悟はしておいたほうがいいです。