OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

離婚時年金分割(臨時編2)

2006-01-16 02:02:40 | Weblog
 ちょっと今回も週末投稿が臨時編でお茶を濁すことになります。スイマセン。

 おなじ社労士で、弁護士事務所と深い付き合いのあるIさんの言、
 「老後の生活を年金に頼るような、一般人は離婚したらダメだよ」

 お聞きすると、弁護士事務所には沢山離婚を希望される方が相談にこられるそうですけれど、大抵がお金のある方だそうです。
 お金があるから、離婚しても財産分与でお金を貰って老後が安心だから離婚ができる。一般庶民は、離婚したくても金がないからそれができない。

 2人では生活できるが1人では生活できないということがあります。
 シミュレーション次第ですけど、わしがよく使う設定例(夫ー20万円、妻ー6.5万円 厚生国民年金の合計で) の場合、夫婦での年金は26.5万円ありますから、ローンやら何やらがなければ基本ベース年金で食べていける。
 ところが、この夫婦が離婚してしまうと、婚姻年数にも寄りますが全厚生年金の加入期間の4分の3程度が婚姻期間だとすると、夫は15万円、妻は11.5万円の年金になります。

 それで食えるか? そういう問題が現実としてでてくるわけです。実際のところかなり切り詰めないときついと思う。夫婦が別れ別れになれば生活費が単純に半分になるわけがない。しかもこれは熟年離婚の場合ですから、夫また妻は新しい住まいを借りるなり買うなりしなきゃいけなくなるわけで(実家に兄夫婦 だと絶対帰れませんから)、その辺も考えるとカナリ苦しい。

 現実問題としてこれだけ騒がれている離婚時年金分割ですけど、できるのは婚姻期間の浅い若い人(年金関係影響なしで離婚できる)、と 上述の金持ちだけで、熟年だけど一般庶民みたいなのは、「我慢して耐える」のがデフォルトになりそうな気もします。
 そのほうが、夫が亡くなったときに遺族年金(上の例だと妻は1人になって15万円くらいの年金になりかつ夫の残した家に住めますから、断然楽)も考えると一番賢明な選択肢なんでしょうね。

 熟年離婚でお金があって、離婚してもやっていける方の年金分割もじゃあ大したことはないかというとそうではなさそうです。
 当たり前だけど長い夫婦の生活で感情は相当もつれている。なので、お金に関係なく「1円でもあいつから取ってやろう」という感情的な態度になりがち、そうなると理論的に物事を考えられなくなるので、本当に分割が難しくなる。
 どういう基準で分割するのかという詳細はまだわかりませんが、こういう人くらい扱いにくい人はないですよね。
 
 弁護士さんも困り果てるのではないでしょうか。

基礎年金の国庫負担率引き上げ35.8%

2005-12-19 21:44:22 | Weblog
◎政府・与党は15日、06年度予算で、来年4月から児童手当の支給対象を現行の小学3年から小学6年に引き上げることと、基礎年金の国庫負担割合を引き上げることで合意した。新たな財源は児童手当が2650億円、基礎年金が2200億円。たばこ増税や定率減税の廃止の増収分を充てる。

 基礎年金の国庫負担割合は、現行の34.4%を09年度までに50%まで引き上げる方針が決まっているが、今回の措置は35.8%までの小幅引き上げにとどまった。


<解説>
 基礎年金の国庫負担率は現在の33%から50%に引上げられるのはすでに既定路線。国庫負担率50%というのは、結局我々が1000円の保険料を払ったとき、同時に国が1000円を負担し合計2000円が保険料となっていることを意味します。
 だから、「年金保険料を払いなさい」と口をすっぱくしていっている。2000円のものを買うのに1000円でいい。あとは税金から出すって言っているんだから。

 1000円の保険料を払わないというのは、国が別途1000円くれるというのを拒否しかつその財源を消費税として別途払い続けるということ。
 その1000円は保険料に充当されますから今ではなく、老後65歳になってから年金としてくれるものなのですが、たったこれだけでも、「年金未納は損だよなあ」ということがわかる事例です。

 さて、国庫負担率の引き上げで気になるのは、給付金額のこと。
 今は33%の国庫負担率ですから、もし年金が免除(収入がない等で)の扱いを受けたとしても、普通にお金を納付したときに貰える年金の3分の1を貰うことができます。
 具体例でいえば、国民年金1年保険料を払うと、老後の年金が19862.5円ふえる(約2万円/年額)、これが免除だと約6555円ほど増える。
 ちょうど3分の1です。

 そうすると、国庫負担率が増えたら当然ながら免除の場合の支給額も2分の1になると容易に想像される。
 つまり保険料を全額納付してる人が貰う年金が、19862.5円(年間)増えるなら、9931円増えるということになるでしょう。

 そこまでは皆想像がついている。で、我々が知りたいのは、国庫負担増額後の過去の免除期間の扱いについて。
 つまり2分の1になる時期から前の免除の期間も9931円増えることになるのか否か。

 具体例を出すと、
 平成1-5年まで5年間免除だった、その後平成20年から国庫負担率は50%になった。その後平成25-29年までまた免除。

 その場合、平成20年から後は免除期間は9931円増えるのだけれど、平成1-5年までは、国庫負担率が33%だったんだから6555円×5年 平成25-29年までは9931円×5年 
 で分けて計算するのか、それとも大盤振る舞いで
 両方共に9931円×10年 
 で計算するのか

 今回は小幅引き上げの答申で、新聞には何も書いていないけれど、受け取るほうもどうなるか知りたい。新聞記者さんにこういうことを期待するのは無理かなあ。
 とりあえず今回は国庫負担を35.8%に上げるだけで、貰う方はいじらないのだろうか。

携帯電話で、年金額試算?

2005-12-17 12:15:23 | Weblog
携帯電話で、年金額を試算できるようになった。こんな情報が社会保険庁のHPに載っていました、早速散歩。

http://www.sia.go.jp/k/

これがサイトです、興味ある方ぜひ試算してみてください。

いかがでしたか?

 評価は人により様々でしょうが、わしの正直な感想は「何でこんなもん作ったんだ?」というものでした。

 携帯電話だからとても使いにくい。年金の気になる人は50-60代、大抵は老眼で小さい字を嫌がる人たちです。しかも機械に弱い人が多い。

 じゃあ若い20,30,40代の人が携帯電話で試算するか? たぶんしないでしょう。(社労士やFPや年金に興味のある一般の人は別ですが)そんなに興味なんかない。

 社保庁の職員の慰労向けマッサージチェアーは、「100人が100人ともに批判できる無駄遣いの材料」でした。

 でも、「携帯電話で、年金額の試算ができます」というのは、そういうものではない。社保庁が「国民へのサービス向上の一環として実施しました」という説明をすれば真っ向から反論できない。

 ということで、ぜひ、議員さん、あるいは社保庁の改革に関与していらっしゃる人にお願いしたい。

 この携帯電話のサイトにいくらアクセスがあり、どれくらいの人が試算したか?これを明らかにするように目を光らせていただきたい。こういう統計は普通に取れるものだと思いますが。アクセスが極端に少なければ「失敗」ということ。

 あと、この携帯サイトの構築に幾らのお金を払ったのか? そこも成功、失敗を判断する基準。
 わしは、ITの素人であまり言及はできませんが、わしのつたないIT知識でも「この程度のものはすごく簡単なプログラムの類」で、そんなに金はかからないように思われます。

 とっても安い金で、もしこのサイトができていたなら、「アクセスが少なくてもサービス向上」ですが、ビックリするような高い金を払っていたら「よほどの数のアクセスがない限りとんでもない無駄遣い」な気がします。

 社保庁も最近の批判を受けていろいろと知恵がついてきたかな(苦笑)。

ターンアラウンド型年金裁定請求用紙大不評

2005-12-12 17:06:25 | Weblog
 平成17年10月から、社会保険庁はターンアラウンド型の年金裁定用紙を送付し始めたらしいのですが、これが大不評なようです。
 
 受給権の発生する誕生日の3ヶ月前の人に送付するとのことで、年明けからどんどんこのターンアラウンドの年金裁定用紙を使った手続き者が沢山出てくると思われますが、すでにこの用紙が来たんだから手続きができるだろうと社会保険事務所に出かけて断られる人もでているとのこと。

 年金を扱っている人にとっては、誕生日以前に手続きをしようとしても断られるのは、あまりにも当たり前。戸籍や住民票のような添付書類も誕生日の1日前の分しか有効な書類として受け付けてくれません。
 
 そんなこんなで、現場が大揉めしそうな気配もあるとの事。社会保険事務所によっては、このターンアラウンド型用紙で請求をされたのを以前の様式(様式101号)に書き直して事務処理をすることを決めたところもあるとかないとか。そんなことをさせられる職員(正規じゃなくてパートアルバイトでしょうが)は、たまったものじゃありません。

 元々様式101号というのは、8ページでしたが、ターンアラウンド型の用紙は何と15ページ。同じ内容の手続きなのになんで容量が倍になるか?
 当たり前だけど、コストは普通に考えて倍以上。

 国民へのサービス向上をうたいながら、焼け太っているのでは? と疑いの目をかけられても反論できないのでは?
 より使いやすい用紙を作ることが、国民へのサービス向上といえるのですけれど、作ればいいってものじゃないですし。

 個人的には様式101号に事前に必要事項を打ち出して手続き予定者に送付するのかとおもっていたのですが蓋を開けたら全然話が違っていました。うーむ。

 参考 ターンアラウンド型 裁定請求書 サンプル
   

 

自民党の杉村太蔵衆院議員、年金未納問題で告発されるーその2

2005-10-14 12:22:25 | Weblog
 一昨日に書いたものの続きになります。
 できれば一昨日のブログをお読みになってからのほうがわかりやすいかと。

 大阪地検に告発された杉村議員。なんで告発されたのかわからなかったのですけれど、一昨日のブログで予想した通りだったようですね。


国民年金法

第12条 被保険者(第3号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。


第113条 第12条第1項又は第5項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者は、30万円以下の罰金に処する。ただし、同条第2項の規定によつて世帯主から届出がなされたときは、この限りでない。

 第12条では、被保険者になった場合の届出義務があり、また届出を怠った場合は113条により罰則がある。

 そこで、オンブズマンという人たちが告発したのだそうです。
 根拠にしたのは、「学生時代は任意加入だと思っていた。」という杉村議員の発言。任意だと思っていたなら当然手続きをしていないだろうと想像しての告発だそうです。

 でもねえ、確かに杉村議員の未納は酷いにしても、オンブズマンの行動は一体何?って思いますよ。

 年金で届出が必要なことはとても多い。
 海外から帰国して、日本在住になった場合とか、サラリーマンを辞めて自営業になった場合とか、その場合に確実に届出をしている人ばかりじゃない。「人間って忘れることがあるでしょう」それを後で国会議員になったからといって告発されたらたまらん。
 今は、届出しない場合にお役所から指導することも普通ですが、杉村議員が20歳になった時にはくりかえしますが、そんなこともしていなかったはず。

 昔なら手続き未了後の放置ってよくあったようです。手続きをしたあとは、毎回「納付書」がきて「年金払ってね」っていわれ未納も結構プレッシャーだけれど、届出きすらしていないと、「納付書もこない」だからまったり未納ができる(苦笑)。

 また、第3号の未届者なんてのは、罰則どころか遡及して手続きの効力をもたせるという風に逆に「救済」すらしているんです。

 
 20歳時点での、加入手続きと年金手帳交付についてはちょっとだけ聞いてみましたが、場所により様々。
 お役所が自動的に送付するところもあれば、印鑑もって届出をしてから手帳を送付するところもある。一概には言えないようです。

 杉村議員が、20歳のとき住民登録した役所はどうだったんでしょう?自動送付ならそもそも手続き未了ということすら考えられない。お役所は届出がなくてももう手続きを進めて加入ということにしてしまっているんだから、たしかに手続きしてないのは形式的には法律違反なんですけど、「実体に全く影響がない」

 他人を告発するんですから、この程度のことをちゃんと調べてから告発したんでしょうね。疑わしいということであれば告発ができるのでしょうが、あまりにも瑣末なことで告発するのは、他の重大な事件の告訴告発に影響を及ぼします。

 本当にオンブズマンの名前が泣きますよ。
 

自民党の杉村太蔵衆院議員、年金未納問題で大阪地検に告発される

2005-10-12 12:55:56 | Weblog
○自民党の杉村太蔵衆院議員(26)が年金未納問題で大阪地検に告発されたことが11日までに、分かった。告発したのは市民オンブズマンとされる団体。太蔵氏が筑波大在学中の99年から03年までの4年間、年金未納だった点を大阪地検に告発したという。

<解説>

国民年金法にある罰則は以下の通りです。

国民年金法111条 不正受給 (当たり前だけどこれは一番ヤバイ)
国民年金法111条の2 これは基金関係の話だから普通の人には関係ない
国民年金法112条 虚偽の届出、虚偽の報告
国民年金法113条 届出義務ある人の届出未了
国民年金法113条の2 徴収職員への非協力、妨害
国民年金法114条 略


さて、杉村議員、何で告発されたんでしょう?
一応20歳になったら、印鑑をもって市区町村役場にでかけ手続きをするのが筋ですけれど、(現状はどうなのだろう(後で調べてないといけません)、今は自動的に送付されるのでしたら、その手続きすら不要になっているか。)
建前上は(法律を読むと)、被保険者=20歳になったら手続きしろとは書いてある。

 ココで思い出すのが杉村議員の弁明。「学生は任意加入だと思っていた」という弁明をしたのですが、20歳時点で国民年金法113条(届出義務のある人の届出未了)をオンブズマンが見のがさなかったのかもしれません。

 しかし、杉村議員が、仮に国民年金加入の手続きをしていて、その後納付をしなかった(一般的に未納といわれるもの=義務があるのに納付しなかった)場合には、国民年金法のどの罰則規定にも該当しません。この場合は罰則はないものの(罰金とか懲役とか)、別の条文で高い利息をつけられた保険料を別途徴収されるということでバランスを図っているのです。杉村議員がこれなら罰則にはかすりもしない。

 一般の人にはわかりにくいと思いますが、
 納付書(国民年金の納付書)が来る場合は手続きはちゃんとされてる。なので保険料を支払わないのは未納。(当然、サラリーマンや主婦は何も来ませんよ)
 納付書すら来ない(例えば海外から帰国して住所を海外のままにして当分日本にいた場合などにはこうなる)ときは、この加入手続き未了になっている場合です。納付書が来ないので未納じゃないなと騒いだバカ議員(杉村議員ではない)が居ましたが、こういう場合は罰則がある分だけ未納より悪質とも捉えられる。


 杉村議員がどちらであったのかわかりませんし、本人と行政側しか知らないはずなのに、オンブズマンは告発された。何か手元に確たる証拠でもあったのでしょうか?

 法律用語の解説には 「告発とは、犯人及び告訴権者以外の第三者が犯罪があると考え、捜査機関に対し犯罪事実を申告して捜査や犯人の訴追を求める意思表示です。」

 彼の未納が犯罪なら、大学生の相当数、一般国民の相当数が「犯罪者」です。
 オウムがチラシを一般のマンションに撒こうとして「住居侵入で逮捕された」ことがあります。これもただチラシを撒くために建物に入ったというだけで逮捕はよくないと批判された。しかし、オウムの場合は破防法を適用しようかというくらい「社会的な不安があった」ので止むを得なかったかもしれません。でも杉村議員の場合はそうではない。 

 未納は決して褒められたものではなく、また絶対すべきものではありませんが、なんで今回「告発」になるのか。
 
 報道だけではわかりませんが、オンブズマン今回の件はやりすぎのような、これじゃ極めて恣意的な告発でオンブズマンという組織自体の評価も落とすような気がします。話題になっているなら何でもかんでもやればいいでいいのかな。
 
 杉村議員目立つだけに叩かれるということでしょうか? 年金の本質論からだいぶ離れている気がしますが。



離婚時年金分割ー12(週末投稿)

2005-10-10 10:12:11 | Weblog
 年金分割は、
 第一に夫婦である期間(協議による分割)、第二に専業主婦である期間(自動分割)で検討されることは説明しました。
 
 分割の根拠は離婚届というきわめて形式的な判断になります。

 実質的には別居で離婚状態だとしても、届出がでていなければ「その期間は婚姻期間」として「年金分割の対象」となるように法律は読めます。

 ということはどういうことか?。年金を分割される(主として)男性側にアドバイスをするならば、とにかく「さっさと離婚してしまいなさい、中途半端に別居とかずるずるしているとその期間は年金分割されどんどん自分の年金が減る。(なりそうですが、実際のところは2年後になるまでわかりません。以下それを前提として読んでください)

 しかし離婚するのに相手方の同意がなければ、すぐに離婚というわけにはいきません。一方の意思だけではどうしようもない。やっぱりズルズルといく可能性もあります。

 そこで考えるのは第3号被保険者からまず妻をはずしてしまうこと。
 別居して、生活費の送金などもしていない状態ならば、夫と妻は別の生計を営んでいるわけですから、国民年金の第3号被保険者(サラリーマンの主婦)というカテゴリには入りません。
 その場合には、夫は第3号被保険者からはずす手続きを取ればいい。外れれば、婚姻期間であっても、「協議しての年金分割」の期間になりますが、少なくとも「自動的に半分の分割」の期間にはならない。協議になれば、半分の分割にするのかしないのかはお互いの話し合いになりますから、離婚の主原因が妻にある(夫以外に男を作ったとかいう場合)ときは、自分の主張を言えることになるかもしれません。(ただしそれでも折半にしろという裁判所の決定が下るかもしれませんし、どうもそれが流れのようですけれど)

 一方第3号を外れた妻は、自分の居所に「国民年金の納付通知」がきますから、容易に自分が第3号被保険者でなくなったことを知ることができます。

 第3号被保険者はサラリーマンの妻なら自動的になれるというものではない。
 「扶養関係」が必須なのです。

 ただ離婚の原因が主として夫だったり性格の不一致とかなら、そういうことを考えず、覚悟を決めて「年金の半分」はあきらめたほうがよろしいかと。

 とにかくその辺の分割の割合をどう決めるかということは今の段階ではわかっていませんが、年金関係を明確にするという立場からは、「実質的に婚姻関係が破綻しているのにズルズルと手続きを取らない」ということはお勧めできません。

厚生年金、未加入2万7000事業所

2005-10-10 09:36:15 | Weblog
○法人と従業員5人以上の個人事業所に加入が義務付けられている厚生年金を巡り、社会保険庁が昨年度調べた約19万事業所のうち、新たに加入すべきだと判断されたのが約3万事業所に上ることが判明。うち約2万7000事業所が昨年度末現在で、未加入のままだったことが会計検査院の検査で明らかになった。検査院は制度の安定性につながる問題ととらえて、社保庁に対し加入促進の強化を求める方針だ。

 厚生年金は、サラリーマンに老齢年金、障害年金、遺族年金などを給付するための社会保険。00年度に約170万だった加入事業所は、04年度には約160万に減少した。高齢化の影響で支出額は増加の一途で、04年度収支決算では実質5兆円の赤字となった。保険料の収入額アップが急務だが、保険料の負担が大きいため「加入逃れ」の事業所の増加が問題になっている。

 社保庁は昨年度、未加入の可能性のある約19万事業所を対象に文書や巡回で加入を求めた。うち約16万はすでに加入しているか、加入対象外だったことが分かった。残る約3万のうち約2500事業所は新規に加入したものの、約2万7000事業所は未加入のままになっているという。

<解説>
 社会保険の加入は、会社にとっての爆弾だと思っています。

 小さな会社はなかなか入りたがらない。で、今まではザル(入らないことが野放し)だったので、割と考えなくても済んだ。

 しかし、今後は、社会保険事務所が報道のごとく、加入を徹底させるということに本腰を入れると、なかなか逃げ回るということにはいかないでしょう。

 しかも、遡及加入の場合には、遡って2年分の保険料の納付を求められます。会社としても無視できない額の出費になる。保険料を納付する資金計画していないと会社が傾くことにもなりかねない。
 会社の経営上これは本当に深刻な問題です。会社が大赤字でいつ閉鎖してもいいという風に開き直っている場合は別ですが。

 会社によっては、「労働契約」を「請負契約」にして、そういう負担を逃れようとするところもあるみたいですけれど、これは最悪の選択です。

 労働契約か請負契約かというのは、契約内容によって自動的に決められるもの。決して会社の経営者が決められるものではありません。
 その理屈がわかってない人が多すぎる。
 そういう場合は、「悪質な労働保険、社会保険逃れ」と認定される場合があります。これは永続的な業務継続を考える会社としては致命傷になる可能性があると危惧しています。労使紛争になればそういうことをした時点で相当に裁判官や審判官や調停員に悪印象。

 働く側も、会社から「あなたは請負契約」といわれた場合は用心したほうがいいです。
 普通は大工さんが家を建てるような契約が請負契約の典型例ですから、労働契約とはおのずと契約類型が違うのはおわかりのはず。労働時間や労働内容を具体的に指示された場合は、労働契約である場合がほとんどなのです。
 
 労働保険や社会保険による救済=「労災や障害、遺族厚生年金」がもらえるのにあきらめていることも多いです。


社保庁、厚生・国民年金の強制加入に着手

2005-10-09 10:31:16 | Weblog
○ 社会保険庁は公的年金に未加入の企業や個人を強制的に加入させる手続きに着手する。厚生年金への加入に応じない企業に月内にも職権による立ち入り検査に入る。企業から離職した後に国民年金への加入を怠っている個人も強制加入させる。保険料の納付意思が乏しい人や企業を加入させても未納が続く可能性は残るものの、皆年金制度のもとで公平性を確保し、年金財政の健全化につなげる必要があると判断した。

<解説>
 
 法人組織を立ち上げて、従業員を雇った場合、今までは「会社が安定するまで」は社会保険に入らない。ということも可能(というか実際にしていた)でしたが、今後は「立ち上げ時点に、従業員の社会保険料の当面の手当」を考えないといけないことになります。
 
 会社が保険料を滞納している状態と会社がそもそも手続きをしていない。
 どちらも「保険料を支払っていない状態」ということでは同じですけれど、心理的なプレッシャーは全然違うのではないのでしょうか?

 また、従業員の方「法人(株式会社、有限会社、合名合資会社)で正社員」なら考慮の余地なく社会保険に加入義務があります。社長が「うちは適用会社じゃない」というのはうそをついているか知らないだけ。
 「障害や死亡事故」がおきた場合には、「年金に結びつく、結びつかない場合には「損害賠償」に結びつく場合なのに、従業員で知らないで損をしている、泣き寝入りしている場合も多いのです。


裁定請求書の事前送付始まる。

2005-10-09 10:07:31 | Weblog
平成17年10月から、裁定請求書の事前送付をはじめました。
以下社会保険庁のHPです

http://www.sia.go.jp/topics/2005/n1003.htm

基本的に受給権がある人には、その年齢前になると「自分の各種情報が打ち出された裁定請求書が送付される」ことになります。

で、具体的に現物はまだ見たことがないのですけれど、
「受給権が確認できない人」には別途のハガキ等は送付されてきても請求書は送付されない。

受給権が確認できない人は、受給権のない人ではありません。
受給権がない人ももちろんこの中に入りますが、受給権があるのに確認できない人は注意が必要。

また、受給権がない人でも、何とかできる人ともうどうしようもない人がいらっしゃいます。

こういう人の救済のほうが「普通に受給権のある人」より重要です。

何はともあれ、社会保険庁のHPから実物サンプルをご覧ください。