環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

大気汚染防止推進月間特集⑮ 有害大気汚染物質対策の推進 その2 実施指針と主体別の責務

2007-12-15 08:33:26 | 大気汚染
2007年12月15日 
 有害大気汚染物質対策の推進第2回は、本対策を進めていく上の実施指針及び各主体に求められている役割についてみていきます。

3.有害大気汚染物質対策実施指針
(1)施策等の実施の指針(法第18条の20)
 有害大気汚染物質による大気の汚染の防止に関する施策その他の措置は、科学的知見の充実の下に、将来にわたつて人の健康に係る被害が未然に防止されるようにすることを旨として、実施されなければならない、とされています。この点に関しては、中央環境審議会大気環境部会において議論され、『今後の有害大気汚染物質対策のあり方について』として答申されてきました。

(2)「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」第6次答申、第7次答申
平成12年12月19日『今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第6次答申)』において、ジクロロメタンに係る環境基準が、平成15年7月29日『今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第7次答申)』において、①今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方、②アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀、ニッケル化合物に係る健康リスク評価、が答申されています(なお、第4次答申及び第5次答申はダイオキシン類に関する答申)。
 特に、第7次答申では、今後、有害大気汚染物質対策を進めていく上で、①『科学的知見を収集、整理し、常にアップデートするよう引き続き努めていく』、②『科学的知見についてさらなる充実を要する状況にある物質についても、最新時点で得られている一定の条件を充足するデータをもとに、一定の評価を与えていく手法を導入するという基本的考え方に立脚すべきである』との考えから、環境目標値の一つとして、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値である『指針値』が設定されています。この指針値は、『有害性評価に係るデータの科学的信頼性において制約がある場合も含めて検討された、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値であり、現に行われている大気モニタリングの評価にあたっての指標や、事業者による排出抑制努力の指標としての機能を果たすことが期待できるもの』であり、現段階では『有害性評価に係るデータの科学的信頼性』が不十分であっても、大気モニタリングや事業者の排出抑制の指標として設定されたもので、環境基準とは区別されています。
 この答申によって、以下の4物質の指針値が設定されました。
①アクリロニトリル  1年平均値2μg/m3以下
②塩化ビニルモノマー 1年平均値10μg/m3以下
③水銀        1年平均値0.04μg Hg/m3以下
④ニッケル化合物   1年平均値0.025μg Ni/m3以下
 ※μg(マイクログラム) : 100万分の1グラム
※μg Hg、μg Ni : 水銀及びその化合物、ニッケル化合物をそれぞれ水銀、ニッケルの量に換算した量

(3)『今後の有害大気汚染物質対策のあり方について』第8次答申
 さらに平成18年11月8日『今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第8次答申)』では、第七次答申で定められた『指針値算出の具体的手順』には、有害性評価、曝露評価及び総合評価それぞれについて評価方法に関する基本的考え方が示されていましたが、今回、クロロホルム等3物質の指針値の検討を行う過程において、現行の『指針値算出の具体的手順』の規定内容では必ずしも明確ではない、ないし十分ではない点がいくつか見受けられたことを受け、一部改定がなされました。
 また、一部改定を行った『指針値算出の具体的手順』に従って、以下のとおりクロロホルム等3物質に係る健康リスク評価を行ったうえで、指針値の設定が行われました。
①クロロホルム    年平均値18μg/m3 以下
②1,2-ジクロロエタン 年平均値1.6μg/m3 以下
③1,3-ブタジエン   年平均値2.5μg/m3 以下

4.各主体の役割
(1)事業者の責務(法第18条の21)
 事業者は、その事業活動に伴う有害大気汚染物質の大気中への排出又は飛散の状況を把握するとともに、当該排出又は飛散を抑制するために必要な措置を講ずるようにしなければならない、とされています。

(2)国の施策(法第18条の22)
 国の施策については、下記の3項目が掲げられています。
①国は、地方公共団体との連携の下に有害大気汚染物質による大気の汚染の状況を把握するための調査の実施に努めるとともに、有害大気汚染物質の人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見の充実に努めなければならない。
②国は、前項の調査の実施状況及び同項の科学的知見の充実の程度に応じ、有害大気汚染物質ごとに大気の汚染による人の健康に係る被害が生ずるおそれの程度を評価し、その成果を定期的に公表しなければならない。
③国は、事業者が前条の措置を講ずることを促進し、及び次条の地方公共団体の施策が推進されることに資するため、有害大気汚染物質の排出又は飛散の抑制のための技術に関する情報を収集整理し、及びその成果の普及を図るように努めなければならない。

(3)地方公共団体の施策(法第18条の23)
 地方公共団体の施策については、下記の2項目が掲げられています。
①地方公共団体は、その区域に係る有害大気汚染物質による大気の汚染の状況を把握するための調査の実施に努めなければならない。
②地方公共団体は、事業者に対し、第十八条の二十一の措置を講ずることを促進するために必要な情報の提供を行うように努めるとともに、住民に対し、有害大気汚染物質による大気の汚染の防止に関する知識の普及を図るように努めなければならない。

(4)国民の努力(法第18条の24)
 何人も、その日常生活に伴う有害大気汚染物質の大気中への排出又は飛散を抑制するように努めなければならない、とされています。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく指定疾病の認定に係る医学的判定の結果について
平成18年度農用地土壌汚染防止法の施行状況について(おしらせ)

国土交通省
第6回グリーン物流パートナーシップ会議の開催について
市民による「身近な水環境の全国一斉調査」第4回調査結果のお知らせ・第5回参加者の募集~身近な川や湖で、水の汚れを調べてみよう~
社会資本整備審議会建築分科会第4回住宅・建築物省エネルギー部会議事概要

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「12月3日から12月9日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.12.9
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