2007年12月5日
ばい煙排出規制の仕組み第4回は、行政命令・燃料の使用規制等について解説していきます。
7.改善命令等
大気汚染防止法におけるばい煙排出規制の行政命令には、改善命令と施設使用停止命令が規定されています。実際の排出基準違反に対しては、『6.ばい煙の排出抑制』でみたとおり、直罰が規定されていますが、本法における行政命令は、予防策として機能するよう制度設計がなされています。
(1)排出基準遵守のための行政命令(法第14条第1項、第2項)
都道府県知事は、ばい煙排出者が、『ばい煙排出口において排出基準に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがある場合』であり、かつ、『その継続的な排出により人の健康又は生活環境に係る被害を生ずると認めるとき』は、その者に対し、期限を定めてばい煙発生施設の構造・使用の方法・ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命じ、又は当該ばい煙発生施設の使用の一時停止を命ずることができます。つまり、実際に排出基準違反が生じていない段階であっても、大気汚染を未然に防止するために、必要に応じて改善命令及び施設の使用の一時停止命令のどちらか一方、または同時に発動することが可能となっています。
なお、この規定は、一の施設がばい煙発生施設となった際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む)の当該施設において発生し、大気中に排出されるばい煙については、当該施設がばい煙発生施設となった日から6月間(当該施設が大気汚染防止法施行令第8条による令別表第1の14の項、15の項及び20の項から26の項までに掲げる施設である場合は、1年間)は、適用されません。ただし、管轄の地方公共団体の条例の規定により除外されている場合には、その適用を受けることとなります。
(2)総量規制基準遵守のための行政命令(法第14条第3項、第4項)
総量規制基準の遵守に対しても同様の規定が置かれており、特定工場等に設置されているばい煙発生施設において発生する指定ばい煙(硫黄酸化物及び窒素酸化物:大気汚染防止法施行令第7条の2)の排出者に対し、『ばい煙排出口において排出基準に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがある場合』であり、かつ、『その継続的な排出により人の健康又は生活環境に係る被害を生ずると認めるとき』は、その者に対し、期限を定めてばい煙発生施設の構造・使用の方法・ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命じ、又は当該ばい煙発生施設の使用の一時停止を命ずることができます。この場合も、必要に応じて改善命令及び施設の使用の一時停止命令のどちらか一方、または同時に発動することが可能となっています。
なお、本規定は、①ばい煙発生施設の要件(第2条第2項の政令)の改正、②総量規制基準(第5条の2第1項の政令)の地域を定める改正、③都道府県知事が定める規模の変更により新たに特定工場等となつた工場又は事業場に設置されているばい煙発生施設において発生する指定ばい煙に係るばい煙排出者、については、その工場又は事業場が特定工場等となつた日から6月間は、適用されません。
8.燃料の使用規制
都市部におけるビル暖房等に起因する硫黄酸化物による大気汚染に対応するため、ばい煙発生施設の排出口における規制以外に、下記の規制が設けられています。下記の規制は、(1)が指定地域におけるすべてのばい煙発生施設設置者に対するもの、(2)が指定地域におけるばい煙発生施設が設置されている特定工場等以外の工場・事業場に対するものとなっています。(2)については、指定地域において総量規制基準が適用されない工場・事業場に対して、大気汚染に対する応分の寄与を求める趣旨で導入されたものです。
(1)季節による燃料の使用に関する措置(法第15条)
都道府県知事は、季節により燃料使用量に著しい変動があるばい煙発生施設が密集して設置されている地域(大気汚染防止法施行令第9条、令別表第4で定める地域)において、硫黄酸化物による著しい大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、下記の燃料使用基準に適合しない燃料の使用をしていると認める者に対し、期間を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができ、さらに、この勧告に従わない者に対しては、燃料使用基準に従うべきことを命ずることができます。
□燃料使用基準
燃料(重油その他の石油系の燃料(則第14条))の硫黄含有率の許容限度が、0.5%以上1.2%以下の範囲内であること。ただし、排煙脱硫装置が設置されているばい煙発生施設に係るものについては、当該排煙脱硫装置の捕修効率に応じたものとする。
なお、硫黄酸化物に係るばい煙発生施設を設置する者が燃料基準に適合する燃料を確保することが著しく困難であると認められる場合には、1時間当たりの使用量の許容限度が、通常使用される燃料の量に、燃料基準として都道府県知事が定めた硫黄含有率を通常使用される燃料のいおう含有率で除して得た数値を乗じて得た量以下であることとする。(大気汚染防止法第15条第3項の規定に基づく燃料使用に関する基準/昭和46年厚生省・通商産業省告示第1号)
□指定地域
大気汚染防止法施行令第9条、令別表第4に掲げる地域
(2)指定地域における特定工場等以外での燃料の使用に関する措置(法第15条の2)
都道府県知事は、硫黄酸化物に係る指定地域において、特定工場等以外の工場又は事業場における燃料の使用が燃料使用基準に適合しないと認めるときは、その工場又は事業場の設置者に対し、期限を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができ、さらに、この勧告に従わない者に対しては、燃料使用基準に従うべきことを命ずることができます。
上記の燃料使用基準は、硫黄酸化物に係るばい煙発生施設が設置されている特定工場等以外の工場又は事業場について定める基準とし、重油その他の石油系の燃料(則第14条)について、指定ばい煙の総量の削減に関し環境大臣が定める下記の基準に従い、硫黄酸化物に係る指定地域ごとに都道府県知事が定めることとされています。
□環境大臣が定める燃料使用基準
重油その他の石油系の燃料(硫黄酸化物に係るばい煙発生施設において使用されるものに限る)の硫黄含有率の許容限度が、1.2%以下で、かつ、特定工場等の規模に関する基準(大気汚染防止法施行規則第7条の2)に従い都道府県知事が定める規模に相当する特定規模工場等に適用される総量規制基準として定められる硫黄酸化物の量をその特定規模工場等の規模に相当する量の重油の硫黄含有率に換算した数値以上の範囲内(当該換算した数値が1.2%を超える場合は、当該換算した数値)であること。(この基準に従い都道府県知事が定める燃料使用基準の適用に当たっては、排煙脱硫装置が設置されているばい煙発生施設で使用される燃料の硫黄含有率は、当該排煙脱硫装置の捕集効率に応じたものとして取り扱うこと)。ただし、都道府県知事は、この基準により難いときは、環境大臣が別に定めるところにより、燃料使用基準を定めることができる。(大気汚染防止法第15条の2第3項の規定に基づく燃料使用に関する基準/昭和51年環境庁告示第1号)。
9.ばい煙濃度等の測定
ばい煙排出者は、大気汚染防止法施行規則第15条の規定に従い、ばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度を測定し、その結果を則様式第7のばい煙量等測定記録表により記録し、3年間保存記録しておかなければならなりません(法第16条、則第15条)。
※明日からは、揮発性有機化合物の排出の規制、の仕組みについて解説していく予定です。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
環境省
平成17年度及び18年度臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果について
国際サンゴ礁年2008オープニングイベントの開催並びに国際サンゴ礁年2008イメージキャラクターの名称及びサブキャラクターの公募について
鴨下環境大臣の中国訪問の結果(日中ハイレベル経済対話の結果等)について
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家電リサイクル制度評価検討小委員会、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルWG合同会合(第16回)の開催について
日光国立公園(那須甲子・塩原地域)の公園区域及び公園計画の変更等に係る中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第14回)の答申について
中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会 合同会合(第28回)の開催について
「1人1日1kgのCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について
「第42回全国野生生物保護実績発表大会」の結果について
経済産業省
「1人1日1㎏のCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について
国土交通省
合成液体燃料のFTD燃料を使用した車両の公道走行試験を開始します~次世代低公害車開発・実用化促進プロジェクトの一環として~
厚生労働省
有害物ばく露作業報告について
【判例ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「11月26日から12月2日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.12.2
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「11月26日から12月2日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.12.2
ばい煙排出規制の仕組み第4回は、行政命令・燃料の使用規制等について解説していきます。
7.改善命令等
大気汚染防止法におけるばい煙排出規制の行政命令には、改善命令と施設使用停止命令が規定されています。実際の排出基準違反に対しては、『6.ばい煙の排出抑制』でみたとおり、直罰が規定されていますが、本法における行政命令は、予防策として機能するよう制度設計がなされています。
(1)排出基準遵守のための行政命令(法第14条第1項、第2項)
都道府県知事は、ばい煙排出者が、『ばい煙排出口において排出基準に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがある場合』であり、かつ、『その継続的な排出により人の健康又は生活環境に係る被害を生ずると認めるとき』は、その者に対し、期限を定めてばい煙発生施設の構造・使用の方法・ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命じ、又は当該ばい煙発生施設の使用の一時停止を命ずることができます。つまり、実際に排出基準違反が生じていない段階であっても、大気汚染を未然に防止するために、必要に応じて改善命令及び施設の使用の一時停止命令のどちらか一方、または同時に発動することが可能となっています。
なお、この規定は、一の施設がばい煙発生施設となった際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む)の当該施設において発生し、大気中に排出されるばい煙については、当該施設がばい煙発生施設となった日から6月間(当該施設が大気汚染防止法施行令第8条による令別表第1の14の項、15の項及び20の項から26の項までに掲げる施設である場合は、1年間)は、適用されません。ただし、管轄の地方公共団体の条例の規定により除外されている場合には、その適用を受けることとなります。
(2)総量規制基準遵守のための行政命令(法第14条第3項、第4項)
総量規制基準の遵守に対しても同様の規定が置かれており、特定工場等に設置されているばい煙発生施設において発生する指定ばい煙(硫黄酸化物及び窒素酸化物:大気汚染防止法施行令第7条の2)の排出者に対し、『ばい煙排出口において排出基準に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがある場合』であり、かつ、『その継続的な排出により人の健康又は生活環境に係る被害を生ずると認めるとき』は、その者に対し、期限を定めてばい煙発生施設の構造・使用の方法・ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命じ、又は当該ばい煙発生施設の使用の一時停止を命ずることができます。この場合も、必要に応じて改善命令及び施設の使用の一時停止命令のどちらか一方、または同時に発動することが可能となっています。
なお、本規定は、①ばい煙発生施設の要件(第2条第2項の政令)の改正、②総量規制基準(第5条の2第1項の政令)の地域を定める改正、③都道府県知事が定める規模の変更により新たに特定工場等となつた工場又は事業場に設置されているばい煙発生施設において発生する指定ばい煙に係るばい煙排出者、については、その工場又は事業場が特定工場等となつた日から6月間は、適用されません。
8.燃料の使用規制
都市部におけるビル暖房等に起因する硫黄酸化物による大気汚染に対応するため、ばい煙発生施設の排出口における規制以外に、下記の規制が設けられています。下記の規制は、(1)が指定地域におけるすべてのばい煙発生施設設置者に対するもの、(2)が指定地域におけるばい煙発生施設が設置されている特定工場等以外の工場・事業場に対するものとなっています。(2)については、指定地域において総量規制基準が適用されない工場・事業場に対して、大気汚染に対する応分の寄与を求める趣旨で導入されたものです。
(1)季節による燃料の使用に関する措置(法第15条)
都道府県知事は、季節により燃料使用量に著しい変動があるばい煙発生施設が密集して設置されている地域(大気汚染防止法施行令第9条、令別表第4で定める地域)において、硫黄酸化物による著しい大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、下記の燃料使用基準に適合しない燃料の使用をしていると認める者に対し、期間を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができ、さらに、この勧告に従わない者に対しては、燃料使用基準に従うべきことを命ずることができます。
□燃料使用基準
燃料(重油その他の石油系の燃料(則第14条))の硫黄含有率の許容限度が、0.5%以上1.2%以下の範囲内であること。ただし、排煙脱硫装置が設置されているばい煙発生施設に係るものについては、当該排煙脱硫装置の捕修効率に応じたものとする。
なお、硫黄酸化物に係るばい煙発生施設を設置する者が燃料基準に適合する燃料を確保することが著しく困難であると認められる場合には、1時間当たりの使用量の許容限度が、通常使用される燃料の量に、燃料基準として都道府県知事が定めた硫黄含有率を通常使用される燃料のいおう含有率で除して得た数値を乗じて得た量以下であることとする。(大気汚染防止法第15条第3項の規定に基づく燃料使用に関する基準/昭和46年厚生省・通商産業省告示第1号)
□指定地域
大気汚染防止法施行令第9条、令別表第4に掲げる地域
(2)指定地域における特定工場等以外での燃料の使用に関する措置(法第15条の2)
都道府県知事は、硫黄酸化物に係る指定地域において、特定工場等以外の工場又は事業場における燃料の使用が燃料使用基準に適合しないと認めるときは、その工場又は事業場の設置者に対し、期限を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができ、さらに、この勧告に従わない者に対しては、燃料使用基準に従うべきことを命ずることができます。
上記の燃料使用基準は、硫黄酸化物に係るばい煙発生施設が設置されている特定工場等以外の工場又は事業場について定める基準とし、重油その他の石油系の燃料(則第14条)について、指定ばい煙の総量の削減に関し環境大臣が定める下記の基準に従い、硫黄酸化物に係る指定地域ごとに都道府県知事が定めることとされています。
□環境大臣が定める燃料使用基準
重油その他の石油系の燃料(硫黄酸化物に係るばい煙発生施設において使用されるものに限る)の硫黄含有率の許容限度が、1.2%以下で、かつ、特定工場等の規模に関する基準(大気汚染防止法施行規則第7条の2)に従い都道府県知事が定める規模に相当する特定規模工場等に適用される総量規制基準として定められる硫黄酸化物の量をその特定規模工場等の規模に相当する量の重油の硫黄含有率に換算した数値以上の範囲内(当該換算した数値が1.2%を超える場合は、当該換算した数値)であること。(この基準に従い都道府県知事が定める燃料使用基準の適用に当たっては、排煙脱硫装置が設置されているばい煙発生施設で使用される燃料の硫黄含有率は、当該排煙脱硫装置の捕集効率に応じたものとして取り扱うこと)。ただし、都道府県知事は、この基準により難いときは、環境大臣が別に定めるところにより、燃料使用基準を定めることができる。(大気汚染防止法第15条の2第3項の規定に基づく燃料使用に関する基準/昭和51年環境庁告示第1号)。
9.ばい煙濃度等の測定
ばい煙排出者は、大気汚染防止法施行規則第15条の規定に従い、ばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度を測定し、その結果を則様式第7のばい煙量等測定記録表により記録し、3年間保存記録しておかなければならなりません(法第16条、則第15条)。
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環境省
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