環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

大気汚染防止推進月間特集⑪ 粉じん排出規制の仕組み その3 特定粉じん排出等作業

2007-12-11 08:27:48 | 大気汚染
2007年12月11日 
 粉じんの排出規制については、一般粉じん発生施設及び特定粉じん発生施設に対する規制のほか、特定建築材料(①吹付け石綿、②石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材)が使用されている建築物その他の工作物の解体等の作業に対しても排出抑制のための規定がおかれています。なお、特定粉じん排出等作業に関する大気汚染防止法施行令、施行規則の規定は、平成18年8月11日に改正され、平成18年10月1日から施行されています。

3.特定粉じん排出等作業
(1)特定粉じん排出等作業の範囲(法第2条第12項、令第3条の2、令第3条の4)
 特定粉じん排出等作業とは、特定建築材料(①吹付け石綿、②石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材)が使用されている建築物その他の工作物を、①解体する作業、②改造し、又は補修する作業、のうち、その作業の場所から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるものをいいます。また、特定粉じん排出等作業を伴う建設工事を特定工事といいます。
 なお、平成17年12月21日の大気汚染防止法施行令、施行規則の改正(平成18年3月1日施行)により、特定建築材料については、石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材が追加され、従来『耐火建築物又は準耐火建築物で延べ面積が500㎡以上のものを解体、改造又は補修する作業であって、その対象となる建築物における特定建築材料の使用面積の合計が50㎡以上であるもの』とされていた作業規模要件が撤廃され『特定建築材料が使用されている建築物を解体、改造又は補修する作業』という、現在の規定となっています。
 また、平成18年8月11日の大気汚染防止法施行令、施行規則の改正(平成18年10月1日施行)により、特定粉じん排出等作業対称が建築物から『建築物その他の工作物』に広げられています。

(2)特定粉じん排出等作業基準(法第18条の14、則第16条の4、則別表第7)
 特定粉じん排出等作業を実施するに際しては、特定粉じんの種類及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに、特定粉じん排出等作業の方法に関する基準として、下記の作業基準を遵守することが求められています。
①共通基準
 □特定粉じん排出等作業を行う場合は、見やすい箇所に次に掲げる事項を表示した掲示板を設けること
 □特定粉じん排出等作業等の届出年月日及び届出先、届出者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 □特定粉じん排出等作業の実施の期間
 □特定粉じん排出等作業の方法
 □現場責任者の氏名及び連絡場所

②個別作業基準
1)特定建築材料が使用されている建築物その他の工作物を解体する作業
 以下に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物その他の工作物に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。
 □特定建築材料の除去を行う場所(作業場)を他の場所から隔離し、作業場の出入口に前室を設置すること。
 □作業場を負圧に保ち、作業場の排気に日本工業規格Z八一二二に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること。
 □除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。
 □特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理すること。

2)特定建築材料が使用されている建築物その他の工作物を解体する作業のうち、 石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材を除去する作業であつて、特定建築材料を掻き落とし、切断、又は破砕以外の方法で除去する作業
以下に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物その他の工作物に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。
 □特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。
 □除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。
 □特定建築材料の除去後、養生を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理すること。

3)特定建築材料が使用されている建築物その他の工作物を解体する作業のうち、 人が立ち入ることが危険な状態の建築物その他の工作物を解体する作業、建築物その他の工作物の解体に当たりあらかじめ特定建築材料を除去することが著しく困難な作業
 □作業の対象となる建築物その他の工作物に散水するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。

4)特定建築材料が使用されている建築物その他の工作物を改造し、又は補修する作業
 以下に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物その他の工作物の部分に使用されている特定建築材料を除去し、囲い込み、若しくは封じ込めるか、又はこれらと同等以上の効果を有する措置を講ずること。
 □特定建築材料を掻き落とし、切断、又は破砕により除去する場合
 □特定建築材料の除去を行う場所(作業場)を他の場所から隔離し、作業場の出入口に前室を設置すること。
 □作業場を負圧に保ち、作業場の排気に日本工業規格Z八一二二に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること。
 □除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。
 □特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理すること。
 □特定建築材料を掻き落とし、切断、又は破砕により除去する場合以外
 □特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。
 □除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。
 □特定建築材料の除去後、養生を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理すること。
 □特定建築材料を囲い込み、又は封じ込めるに当たつては、当該特定建築材料の劣化状態及び下地との接着状態を確認し、劣化が著しい場合、又は下地との接着が不良な場合は、当該特定建築材料を除去すること。

(3)特定粉じん排出等作業の実施の届出(法第18条の15、則第10条の4、則様式第3の4)。
届出先(法第18条の15第1項、則第10条の4第1項、則様式第3の4)
 □都道府県知事
届出期間(法第18条の15第1項、第2項、則第10条の4第1項、則様式第3の4)
 □特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前まで(災害その他非常の事態の発生により特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合は適用除外。ただし、速やかな届出を要する)
届出事項(法第18条の15第1項)
 □氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 □特定工事の場所
 □特定粉じん排出等作業の種類
 □特定粉じん排出等作業の実施の期間
 □特定粉じん排出等作業の対象となる建築物その他の工作物の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積
 □特定粉じん排出等作業の方法
添付書類(法第18条の15第3項、則第10条の4第2項)
 □特定粉じん排出等作業の対象となる建築物の概要、配置図及び付近の状況
 □特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要
 □注文者の氏名又は名称
 □届出をする者の現場責任者の氏名及び連絡場所
 □下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所

(4)作業基準の遵守義務と作業基準適合命令等(法第18条の17、第18条の18、第18条の19)
 特定工事を施工する者は、その特定工事における特定粉じん排出等作業について、作業基準を遵守することが求められているとともに、都道府県知事は、特定工事を施工する者がその特定工事における特定粉じん排出等作業について特定粉じん排出等作業基準(法第18条の14、則第16条の4、則別表第7。3(2)参照)を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて当該特定粉じん排出等作業について作業基準に従うべきことを命じ、又は当該特定粉じん排出等作業の一時停止を命ずることができる、とされています。
 また、その際、特定工事の注文者は、当該特定工事を施工する者に対し、施工方法、工期等について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない、とされています。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく指定疾病の認定に係る医学的判定の結果について
「土壌環境施策に関するあり方懇談会」の開催(第6回)について
漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査における生分解性素材の漂流ボトル放流調査の実施について
鴨下環境大臣の「気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)及び京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)閣僚級会合」への出席について

経済産業省
『「中小企業等CO2排出量削減制度」(いわゆる「国内CDM制度」)に関する論点整理及びモデル事業の評価等(案)』の公表について

国土交通省
国土審議会第7回水資源開発分科会の開催について

厚生労働省
「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」及び「特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱」についての労働政策審議会からの答申について

【判例ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「12月3日から12月9日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.12.9
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「12月3日から12月9日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.12.9