若生のり子=誰でもポエットでアーティスト

文字さえ書ければ、ポエット
感覚次第で、何でもアート
日日を豊かに遊び心

犬を餓死させるアートについての若生のり子の見解 

2008-01-31 | Dogs
「犬を餓死させるアート」について、数人の方々から、以下と同様の質問をいただきましたので、若生のもう少し突っ込んだ見解を述べたいと思います。

<アーティストさんの中には「あれはアートだ」と言ってる人もいるのでしょうか?>

このご質問は、大変シビアーなご質問で、「アートとは何か」というのと同義だと思われます。
アーティストが、「これが自分のアートです。」として提示(展示)した場合、
それがどんなものであっても、他者が、「いいえそれはアートではない」とはいえません。
表現とはそういうものです。

壁に飾って倦怠的な日常に寄与するインテリアとしてのアートは、
もうとおの昔(100年も前)に終わっています。(ピカソ)

生ぬるい煮え切らない繰り返しの日常に対して、荒々しく爆弾を投げかけること(比喩)もアートの一つのやることと思っています。

絵葉書のような旧態依然とした陳腐な自然模倣の絵空事のアートや、

可もなく不可もない人畜無害の安っぽいアートや、

作者自身の深部を通過しない上っ面だけのアートや、

セレブといわれる人種のリビングに飾るコジャレたインテリアのアート、

等などが散乱して、幅を利かしている今日的情況では、

公序良俗に反しても、非常識でも、多少残酷でも、リアリティがあるアートに、
わたくしは感じますし、信じられます。そういう表現が、ひとつのアートの真摯なあり方だと思います。
(良く知られているところでは古くは、ボッシュ、ゴヤ)

アートは、商品ではありません
アートはアーティスト(表現者)の世界に対する内面の格闘です。

昨今の非常にキツイ世界情況にあって、表現者として上述のようなアートを「イージーに造ってはいられない」と考えるのが現在を生きる良心的なアーティストの本当のところだと、わたくしは考えます。

ただ今回の場合は、人間にとって身近なペットである犬という生体を使って、自由を束縛し、食事も与えないで、徐々に死に至たる経過を見せると言う犬にとっては拷問以上の非常に残酷な展示だったので、何もかも承知の上で、わたくしは「これはアートではない、虐待以外のナニモノでもない」と言い切りました。

今後、これはアーティストとしては少々リスクがあると考えています。

なぜなら、コトはさておいても、何事にも組しない「表現の自由がある」ことを知っているからです。

作者の意図がどこにあるのかコンセプトをはっきり知りたいと思っています。

逆説的な言い方になりますが。(誤解のないように注意して読んでいただきたいのですが。)

Guillermo Habacuc Vargas氏がこの残酷な展示をやったコトが、世界中に波紋を投げかけ、世論が持ち上がり、「餓死さすことがアートか?」とか、「アートが生体を使う場合の基準はどこにあるのか?」とかが一挙に浮上し、アーティストもアートなんて考えたこともない方にも、一様にこの問題に向き合う契機を与え得たということは言えます。

これ以降は、怒りを顕にした我われ一人一人にこのことに対するスタンス(処し方)が問われるのですから、そういう意味では、氏の展示は負の功績大といわざるをえません。

本屋の店先には、必ず見られる、凡百のうわべだけの可愛いさだけを売り物にした犬、猫、動物の写真集やイラスト集がうず高く詰まれていますが、それらよりは、氏がやったことは、残酷ではあっても、現在の動物の置かれている現実を象徴しているとわたくしは考えます。

誤解を恐れずにもう一度繰り返します。 それらよりは(人間の一過性の癒しになるためにかれらが、使役、消費されている見本です)、氏がやったことは、残酷以外ナニモノでもありませんが、ことの負の本質は突いていると思います。


もう一つのご質問

<生体を使うアートについて、アート世界ではどのような位置づけになっているのか知りたいです。> について

これはわたくしも分かりませんでしたので、2~3の友人のアーティストに聞きましたが、やはりはっきりしませんでした。
判り次第お知らせ致します。が、大方の意見は、位置づけなどないのではないかということでした。

今日本では30万~40万ぐらいの犬、猫が年間、人間の身勝手で殺されているという現実がありますし、そしてどれだけの数の彼らが日々虐待を受けているかは数字に表れていませんが、想像に難くないと思います。

たくさんのボランティアの方々が、身も心も金も呈してそういう現実に悪戦苦闘して彼等に救いの手を投げかけていらっしゃいます。

その中のお一人が直子さん、まー君ご夫妻です。 
ご夫妻は、ご自分たちの全生活、人生をかけて、犬、猫(ペット)と人間がよりよく共生できる世界を目指して、日々救い出した犬のお世話をしながら闘っていらっしゃいます。

まだ日本の法律では、ペットは物扱いで、人間と同じ生き物として見なされていません。 日本は、まだまだ動物後進国です。

故、この事が、彼らを守る法律作りになっていくことの先駆けの運動となることを切に願ってやみません。



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いずれ (レオンの親父@泥酔中)
2008-02-01 23:22:37
裁きが訪れる事でしょう!、このワンちゃんはキリストの再来なのではないでしょうか?我が身をもつて人(俗世界)の愚かさを「悔い改めよ!」と訴えているかのようにもみえます。

このワンちゃんが、我々に警告をしているのだとも思って仕方が無い・・・
返信する
サクリファイス (武蔵の母ことワコウ)
2008-02-02 10:41:09
レオンの親父@泥酔中さん

人間の愚かさの為に彼(彼女)をいけにえにさせられることは、あまりにも非情です。

強者が無抵抗の弱者に自由を奪って、寄ってたかってなぶり殺しにしたのですから。
返信する
負の功績ですか。。。 (博美&まりん)
2008-02-05 15:50:24
ワコウさん、こんにちは。そういう事ならアートですね。。。
自らの死を持って強烈なメッセージを残すというのは、キリスト教的なものにも繋がりますね。
この写真の神々しくも安らかな顔、胸が苦しくなります。
全ての人類に告ぐ、己の罪を悔い改めよ。
自分がどんなに可愛がっても幸せを与えていると思うのは傲慢である。
。。。それが言いたいのですかね。
。。。泣けてきますね。
まぁ、このアーティストがそこまで考えているのかどうかは疑問ですが。。。
まりんよ、お前は幸せか??(TT)
返信する
負の功績ですか。。。2 (博美&まりん)
2008-02-05 17:11:12
それならそれで、我々はその「アート」から己の傲慢を悔い改めるべく日々精進しますが、この”アーティスト”さんには、生き物を拷問&見殺しにした罪を償ってもらいたいですね。
ペットの現状を風刺するなら、この犬を殺した罪状は殺人罪が適当かと思われますがいかがでしょうか?
返信する

コメントを投稿