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晴れぬ視界:ヨコスカ・米原子力空母配備-2 

2008-09-25 | 時事問題
 ◇米兵犯罪多発…悲しみ消えぬ遺族
 ◇謝罪繰り返す米側--「良き隣人」となるか
 
在日米軍は「良き隣人」を自称する。横須賀市で生まれ育ち、米軍基地が身近にあったタクシー運転手、真田修一さん(58)=葉山町=にとっても、あの日まではそうだった。

 06年1月3日昼。「チーママが死んじゃった」。おいの電話で、同市に住む派遣社員の姉、佐藤好重さん(当時56歳)の事件を知った。出勤途中の早朝、黒人米水兵(同21歳)に金を要求され、殴るけるの暴行を受けて命を奪われた。約2カ月前に日本政府が原子力空母受け入れを表明したばかりだった。

 米兵向けの飲食店が集まるドブ板通りにも出入りしていた。叔母は基地に配属された米兵と結婚し、米本土に渡った。そんな真田さんにとって事件前は「空母配備で街が潤うかな、という感覚しかなかった」。だが今、黒人の乗客に覚える嫌悪感は否定できない。米兵住宅も多い市北部の追浜地区を仕事場にしているが、「基地さえなければ」とさえ思う。

 事件に絡み、佐藤さんの内縁の夫が米兵と国に賠償を求めた訴訟の口頭弁論が10日、横浜地裁であった。夫は「5月に服役中の刑務所での出張尋問があり、元米兵を見たが、反省の言葉はなかった。愛する妻が無残に殺され悔しさが募る。米軍基地がある限り、私のような被害者は出る」と涙声で訴えた。

 12月の次回弁論では、沖縄市長が米兵犯罪の実態を証言する。在日米軍再編に伴い、米軍にとって県内の重要度が増す一方、米兵による犯罪増加が懸念される。

 警察庁や県警などによると、06年に刑法犯として検挙された在日米軍関係者は145人。殺人や強盗など凶悪・粗暴犯は35人だった。うち県内は13人、沖縄は17人、両県で全国の9割近くを占める。

 佐藤さんの事件後も米兵犯罪は続き、今年3月には横須賀市でタクシー運転手が殺害された。発生のたびに米側は謝罪と再発防止の誓いを繰り返す。真田さんは変化を感じ取れない。「いずれ帰国する米兵は『旅の恥はかき捨て』と思っているのでは」。米原子力空母「ジョージ・ワシントン」の乗組員約5700人の中には初来日の米兵も多い。

毎日新聞