[ネット放送の紹介]
末日聖徒イエス・キリスト教会は昨年12月6日、インターネット(英文lds.org)上に「人種(問題)と神権」(Race and the Priesthood)と題する声明を発表した。1978年に与えられた啓示(黒人に神権を与えないできた制度の廃止宣言)を理解していれば問題ないと思っていたが、米国で、与えられなかった理由(後述)が未だに通用するような風潮が教会で見られたため、それを払拭する目的で発表された。2012年、BYU宗教学のボット教授(Randy L. Bott)が昔の考えをワシントンポスト紙に述べたことや、教会のレッスンなどで旧態依然の見解と理由づけが聞かれることがある現状を変えるためである。以下、声明の一部を翻訳し、引用する。
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声明の骨子・・・ 1.前書き 2.アメリカの人種差別濃厚な文化の中にあった教会 3.制限の解除 3.今日の教会
骨子からも窺えるように、声明は黒人に神権が与えられなかったのは教会を取り巻く文化に影響されて生じた制度であって、神から与えられた啓示に基づくものではなかったことを明らかにしている。
「神権を賦与しなかったことは、ユタ準州で黒人を奴隷として使用することを合法化するのに人種的に劣っているからとした考えに通じていた。1730年代頃から合衆国で広く流布していたある見方によれば、黒人はアベルを殺したカインの血統であるとしていた。この見方を信じた人々は神がカインに与えられたしるしは黒い肌であったと信じた。また、奴隷になったのは、ノアの孫カナンがハムの父に対する無分別に対する二番目の呪いであったと考えられた。」
「カインの呪いはしばしば神権を与えないことと神殿参入禁止の理由づけとして強調された。20世紀の初め、もう一つの説明が広く伝えられることになった。それは、黒人が前世においてサタンとの戦いで雄々しさに欠けていた。そのため、神権と神殿の祝福に与ることができなくなった、というものであった。」
その後、1978年に神権が与えられるようになるのであるが、「そのすぐ後、使徒ブルース・R・マッコンキー長老は新しい「光明と知識」がかつての「限られた理解」を抹消したと述べた。
「今日、教会は黒い肌が神の不興や呪いの徴しであるという理論を受け入れないし、前世での行ないを反映するという考えも取らない。人種間結婚が罪であるとか、黒人種あるいはいずれの人種も他の人種に劣るという考えを拒むものである。今日教会の指導者は過去現在を問わず、あらゆる人種差別に明確に反対する。」
*教会は本声明の歴史的記述に学者たちの研究成果に依拠した点があることを認め、謝意を表する。
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**「カインのしるし」はヘブライ語が「オート」אותとなっていて、意味は「彫る、刻む」という動詞からきたもので、黒い肌を意味してはいない。注解書で黒い肌を意味すると書いたものはない。
Source: Race and the Priesthood
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昇栄への道など有名な著書に預言者の発言が載っていましたから、
なかなか受け入れがたいものがあるのもわかります。
アフリカ系末日聖徒に神権が与えられなかった本当の理由が浸透してゆくと良いですね。
確かに今でも過去の理由を信じている人はいますね。
そういえば、説明がなされていなかったような気がします。研究者や議論に加わっていた意識の高い人たちは承知していても、説明がなかったら前のままの認識がそのまま残っていたのかもしれません。
「奴隷制度と人種差別の社会で黒人に神権が与えられれば彼らが危険な目に合うから神はあえて神権を与えなかった。これは神様の愛である」と
神様の愛なんでしょ?
隣りびとを愛するなど、普遍的な真理は変わりません。そういうことではないでしょうか?
宗教においても実際的、弾力的でなくてはならないと思います。4498
という意見は持ったことがありません。。
ろっくん・R・きっこーまんに勝手に刷り込まれたのかと。
わたしは以下のような意見です。
神の愛は神権が全ての男性に与えられたことです。
http://zionkun-3.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=3676610
Re: 神権に関する啓示 - オムナイ (男性)
2011/10/01 (Sat) 11:51:02
>末日聖徒イエスキリスト教会が黒人に神権を与えなかった理由はなんですか?
黒人を指導者的立場におけない末日聖徒の昔の現状が神権を与えないという啓示になって預言者にもたらされたのでしょう。
近年になって人種差別問題で黒人に神権を与える日が来る事は以前から予想できたことですが、そのタイミングが神様から喜ばしい啓示として与えられたのだと思います。
つまり黒人に神権が与えられなかった理由は当時の人々の間で虐げられていた現状だと言えます。
ろっくん・R・きっこーまんさんに勝手に刷り込まれたのかと。
神権と言う末日聖徒イエス・キリスト教会の教義で根幹をなすものが、「神からの啓示」ではなく、「人間の制度」によるものだった?
もし末日聖徒イエス・キリスト教会がそのように公言するのなら、教会は、「神権」と言う最重要教義に関して、啓示によらず運営していることになります。
私は、この釈明自体が大きな問題だと感じますね。
今の神権組織も、「啓示」じゃなくて「制度」なのでしょうか?
「アフリカ系の男性に神権を与えなかったのは、当時の預言者が得た啓示だった。」からこそ、「新しい啓示によって、すべての男性に神権が与えられるようになった」
この理解の方がよほどすっきりします。
そうでなければ、1978年6月にキンボール大官長が受けた「啓示」の意味がなくなります。
http://docs.com/Z0QB
ただし最近は
啓示ではなく、当時の風習と政治的背景によって。。
と教えているようです。
昔は「啓示」によってと教会書籍にも載っていたように思うのですが。
しかし、思えばアフリカ系男性には与えないとの文書や宣言は目にした事がありませんね。
アフリカ系の方に神権を与えないというもっとも古い記録は、1849年2月13日の「日誌に基づく教会歴史」だそうです。
「前日に新しく使徒に召されたロレンズ・スノーが、アフリカの黒人に救いが及ぶ可能性についてブリガム・ヤングに聞いた時、ヤングは『カインがアベルの命を絶ったので、呪いは彼らの上に留まる。主はカインの末を黒い皮膚で呪い、神権を差し止められた』と答えている。そして、奴隷制度合法化の条令に署名した翌日、1852年2月5日の準州議会で演説した中で、初めて公の席で神権の禁制について声明を発表している」(モルモンフォーラム誌2号沼野治郎氏著)
と言うことで、私たちは生まれてないし、その後フォーラム誌以外に日本語に翻訳されたことはないでしょうし、目にしないのは当然かと思います。
モルモンフォーラムの版権おさえておきます?金もうけにはならないと思いますが。
これがモルモン・オネスティ
「教会は置かれている社会的・文化的コンテキストから常にいろいろな問題に直面し、その都度聖典や教会の伝統と照らし合わせて(対話して)倫理的判断を下してきた。そして従来強力な規範となってきた考え方も根本的に問い直されることが生じ得る。」当ブログ2011/07/20
lds教会も例外ではありません。
「生き残るのは最強の生き物でもなく、最も賢いのでもなく、変化に最もよく対応できるものである。」(クラレンス・ダロー、米弁護士)
It is not the strongest of the species that survive, nor the most intelligent, but the one most responsive to change.’— Clarence Darrow
皮肉と冷笑(cynicism)だけで終わってはどうにもならない。
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