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1969年レナード・アリントン(末日聖徒の著名な経済学者、後に教会歴史家) が50人の著名なモルモンに聞いて作成したリストがある。それによると当時考えられた末日聖徒の知識人トップテンは次のとおりである。最近ネット版デゼレトニューズが改めて取り上げていた。(人物説明の半分は沼野に文責。)

1 B.H.ロバーツ(B.H.Roberts 1857-1933)
デゼレト大学(現ユタ大)主席卒業。「末日聖徒イエスキリスト教会概史」を著す。BofMについて客観的立場から考察。また、科学に理解を示す立場から超保守主義的立場に立つ教会指導者と対峙、論争を繰り広げた。

2 オルソン・プラット(Orson Pratt 1811-1881)
数学、天文学、哲学に関心を持った。教会初期の知的な末日聖徒の筆頭としてよくあげられる人物である。

3 ジョセフ・スミス(Joseph Smith, Jr. 1805-1844)
教育は受けていなかったが、当時の人、例えばジョン・テイラーも、またモルモン書を彼の著と見る現代の研究者の中にも実は彼が大変知性の高い人物であったと認める人が出始めている。

4 スターリング・M・マクマリン (Sterling M. McMurrin 1914-1996)
南加大学で哲学博士号を得、ユタ大学教授の時ケネディ大統領の下で合衆国教育局長を務めた。教会では非正統的な見解を持ち問題視された。教会を時に牽制、時に弁護した知識人の筆頭。マッケイ大管長と親交があった。

5 ジェームズ・E・タルメージ(James E. Talmage 1862-1933)
ブリガムヤングアカデミー(現BYU)で学んだ後、ジョンズホプキンス大学に進んでいる。教会から委嘱され「基督・イエス」、「信仰箇条の研究」を書いた。地質学者で科学に理解を示した。ロバーツを継いで科学派を代表、論陣を張った。

6 ジョン・A・ウィッツオー(John A. Widtsoe 1872-1952)
ハーバード大学を優等で卒業、ドイツのゲッチンゲン大学で博士号取得。後にユタ大学学長。福音に関する質疑応答欄を担当し、多数の福音関連の書物を著した。

7 ローエル・L・ベニオン(Lowell L. Bennion 1910-1996)
ユタ大学卒後、ストラスブルグ大学で博士号取得。ユタ大学に宗教研究所を設立。奥行きと深みのある筆致で福音に関する書籍(教科書を含む)を多数著している。

8 ヒュー・W・ニブレー (Hugh W. Nibley 1910 – 2005)
カリフォルニア大学(バークレー)で博士号取得。数多くの言語特に古代語に通じ、BYUの教授としてモルモン擁護の立場から夥しい研究書、論文を著した。在職当時、影響力が大きかった。

9 パーレー・P・プラット (Parley P. Pratt 1807 – 1857)
英国に伝道中、教会の新聞ミレニャル・スターを編集。彼は詩作、教義の解説で知られた。

10 E.E.エリックセン(E.Ericksen 1882 – 1967)
シカゴ大学で博士号(哲学、政治経済)取得。ユタ大学で約30年間哲学学部主任。

上記のリストについて異論や基準について疑問があげられると思うが、一代前の一つの視点として興味深い。特に4位にジョセフ・スミスがあがっていることを意外に感じ、違和感を覚える人も多いと思う。しかし、最近研究者の間で彼の知性を高く評価する人が少なからずいることも事実である。

さて、その後の知性ある末日聖徒について異論・疑義を承知で、私なりに短いリストを追加してみると次のようになる。(順不同。なおブッシュマン以外はいずれも亡くなっている)。

Henry Eyring ユタ大学化学教授 斯界でノーベル賞相当の賞を授与されている。
Leonard Arrington 教会史を公開するきっかけを作った。研究者の間で尊敬されている。
Truman G. Madsen BYUに宗教・哲学・キリスト教の学者を招いて宗教間交流を推進。
Eliza R. Snow 教会初期の女性詩人。女性を代表する知識人として知られる。
Richard L. Bushman 教会史を研究者の立場から取り上げ、教会内外で知られる。
Fawn Brodie D.O.マッケイ大管長の姪。研究書としてJS伝記を書いた。

日本ではどんな人物が知性ある教会員として認められるだろうか。今頭にうかぶ例としては佐藤龍猪(さとうたつい 1899 - 1996)がいる。東北帝国大学を出てモルモン書の昭和訳を行った人である。息子の泰生氏は、父は科学者の態度で真理と対峙し、また随分哲学的な傾向も見られたと述べている。その他の人物については2,30年後立派なリストが日本にも現れることを期待したい。 

Top 10 LDS ‘Intellectuals’http://www.deseretnews.com/top/168/1552/Top-10-LDS-6Intellectuals7-BH-Roberts.html

Who are Mormon intellectuals? Top ten list only a beginning.http://www.deseretnews.com/article/700145044/Who-are-Mormon-intellectuals-Top-ten-list-only-a-beginning.html?s_cid=t_share 


コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
ZOO的追加リスト (ZOO)
2011-09-07 22:12:42
Juanita Brooks(1898-1989)末日聖徒の歴史家、作家。専門はアメリカ西部とモルモンの歴史についてである。「メドウ山の虐殺」の著者。

Esther Eggertsen Peterson (1906-1997) エスター・ピーターソンはケネディ、ジョソン、カーター政権の一員として女性の地位向上に尽力した。アメリカ合衆国における文民向けの最高位の勲章である大統領自由勲章を授けられた。
 
 
 
女性2名 (NJ)
2011-09-08 07:21:49
追加リスト、ありがとうございます。Esther E. Peterson について知りませんでした。
 
 
 
言って欲しい?? ()
2011-09-14 13:12:45
>日本ではどんな人物が知性ある教会員として認められるだろうか。


それやーなんと言っても、NJさんじゃないですか!!

日本における、モルモン教研究の第一人者!!

ただ・・・おしいのは、・・・まだ生きてる・・・って事かな??
それと、教会の要職についてない・・・。


ところで、24日の講演会、ブログで発表しないんですか?

ネット関連の人が来たら困る??
ま、それは有りますね・・・。
 
 
 
冷やかされても (NJ)
2011-09-14 22:20:35
ありがとうっ、豚さん!でも私は10人に入りそうもないことはもちろん(只の語学教師)、教会内外で知られるほどの者ではないのです。

24日の講演は、発表のタイミングを逸してしまいました。というか、教会内の催しであってこのサイトに書いたものかどうか判断しかねました。(24日、中国における米国籍lds教会、中国のキリスト教会、中国の学生、対日感情などについて、茨木ステークセンターで話す予定のこと。)
 
 
 
重要な事は? ()
2011-09-15 10:12:34
重要な事は、3度続けて書くんですね?(笑)

NJさんの講演会が、ワードの主催で行われるって事に意義があるのかと思ってます。

 
 
 
お恥ずかし (NJ)
2011-09-15 21:32:49
いえいえ、中国にいてコメント掲載がすっきりいかなかったため、3度も同じことを書く仕儀になってしまったのでした。気がついてすぐ削除しようとしましたが、やはり中国の別のところでてきばきできなかったため、帰国後のこの時間になったというわけです。・・恥ずかしい。

講演会の意義、そのようにとらえていただいてありがたいです。よい機会になればいいのですが。
 
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