細かいことのようだけれどと教会の友人TY氏から次のような質問を受けた。最後の晩餐(聖餐の制定)において、ルカによる福音書22: 17-20節に先ず杯から飲み、次いでパンを食べるとあるがこれはどうしてか?その後に杯が再びきて、結局「杯-パン-杯」の形が記述されている。
この宿題に対するわたしの回答:
新約聖書の本文研究に詳しいイングリス師によれば、並行記事を記したマルコ14:22-25、マタイ26:26-29、コリント前11:23-25はいずれも「パン-杯」の順で書かれ、ルカだけが「杯」に始まっていて長い本文(テキスト)と呼ばれている。他の古代写本ペシッタ(シリア語訳)やシナイ写本、また教父テルトリアヌスの記録も「パン-杯」の順で食する場面が描かれている(David Inglis, “Tricky New Testament Textual Issues” )。
この個所に関連して、カトリックの著名な学者レイモンド・ブラウンはユダヤ教の過越し祭ではまず葡萄酒の杯から飲んで、次いで種入れぬパンを食べる点に注目する。また、別の研究者Fr. Jefferson Bennitは、ルカ22:15-18は過越しの食事を祝う場面で、19-20節が聖餐式の制定を描いていると言う。
[こんな描き方も。写実的でよい。Jon McNaughton 画]
ただ、異なる見解・主張や反論もあってこの問題は簡単ではない。また新たな聖書研究の深い森に分け入った感じがしている。
Sources:
https://sites.google.com/site/inglisonmarcion/Home/luke/luke-22-17-20
http://vatikos.wordpress.com/2013/02/01/luke-22-14-20-last-supper-of-jesus/
http://en.wikipedia.org/wiki/Last_Supper
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調べてみるとユダヤ教の過越し祭では葡萄酒を食事を挟んで計4回飲むのだとか。
つまり、パンが先か葡萄酒が先かではなくルカでは前の葡萄酒の飲んだ場面を入れてあっただけかもしれません。
なのでパンの後にも葡萄酒を飲む場面があるのでしょう。
あるいはルカの記録は福音書では新しいとされますから、過越であれば。。と推量したのかもです。
われわれの知らない当時の、現地の習慣や慣例があって一筋縄ではいかないと感じました。