一見、この二語の発音からはおよそ想像しにくいが、bishop という英語の語源はギリシャ語エピスコポスἐπίσκοποςであることを今日確かめた。初めすぐには気付かなかったが、よく見ると音声学的にあり得ることである。
順を追って見ると、bishop は古英語で biscop (c の上に点)、ラテン語で episcop-(us), 更に遡ってギリシャ語になると episkopos, 意味はoverseer (epi, upon, over + skopos, watcher) となってつながるのである。
音声学的に見れば、[h]と[k](ラテン語cの綴りは[k]と発音)はそれほど遠くなく、語末の –us は脱落している。そして[p]が[b] に変化したものである。(註 [h]は声門摩擦音、[k]はすぐ隣の軟口蓋音。)
そして、意味の上でも全く同じで「上から視る者」、すなわち「監督」である。カタカナ語「ビショップ」はバラの花の名についていたり、チェスの駒としてあるが、一般的にはほとんど見られない語彙である。
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バラの一種「ザ・ビショップ」
ビショップの語源はギリシア語の『episkopos』
『監督する人』という意味らしいです
カトリックでは『司教』
英国国教会(聖公会)では『主教』
プロテスタントでは『監督』と呼ぶそうです(ブログ Antique Rose Garden の主宰者)
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私も少々言語学もかじりましたものですごく
興味があります。
ソシュールや比較言語学などかじった程度ですが。
これは歴史音声学的および比較言語学的な側面での考察でしょうか?
さらにギリシャ語およびそれよりも古い特徴をもつサンスクリット語 根幹部分としては
インドヨーロッパ語族における共通祖語あたりも考えてみるととても面白いかもしれません。
聖書ギリシャ語ですと個人的にはこの書籍を所有しております。
Greek English Interlinear new testament
isbn 10: 0-8423-4584-7
新約ギリシャ語辞典
監督という用語ですが私はどうしても郊外で電気工事をしているNTTの技術者というイメージが思い浮かんでしまいます。
カトリックの司教などとの対比ですとモルモンのビショップと微妙に地位がずれてしまい
モルモンの監督を束ねるより上位の地域職員がそれにあたりそのあたりお互いにわからないと混乱するかもしれません
原語の意味を確かめるのは、翻訳上正確を期するために必要な作業であると思います。現行訳がずれていれば改訂が求められ、正しければ現行で良いわけです。
私は、この「監督」に戻す件は、翻訳される側の国語を尊重するのが原則である、という立場です。安易に音訳に頼ってはならないと危惧します。言葉の与えるイメージは確かに大きな問題ですが、教会というコミュニティで適切な概念に定着していくという面もあります。(今lds教会でアダルトという語が一部ヤングアダルト、シングルアダルトなどと使われていますが、世の「アダルト」のニュアンスを感じる人はいないと思います。私はこのアダルトを年齢層の名前に使っていることこそ改めるべきであると考えます)。