ネパール・インドなど街中を歩いていると、ある男が近づいてきて
「ハッパ」とか「チョコ」などと耳元でささやいてくることがある。
別名そう呼ばれているが、彼らは、つまりマリファナ(大麻)を売っているのだ。
沢木耕太郎著「深夜特急」では、「ガンジャ(葉)」「ハシシ(樹脂)」としてよく登場する。
それらの国においてマリファナが合法か非合法かは知らないが、
アジアを旅するバックパッカーなら路上で何度か耳にしたことがあるだろう。
安宿などで、時々この「ハッパ」を購入した日本人などに会うことがある。
「あそこの町のハッパは安かった」とか「あそこは質が良かった」とか。
いろいろ「武勇伝」を聞かされることがある。
実際 旅先で会った日本人と同室に泊まった際に、隣で吸っていたのを見たこともある。
紙巻タバコと同じ要領で、茶色いハッパを白い紙で包み 火を付けて吸う。
アジアのハッパは安い、
質の良し悪しはあるだろうが その快感はクセになる人もいるようだ。
バンコクに発つのを翌日に控えたインド・コルカタ最後の夜。
僕は、独り迷っていた。
チベット・ネパール・インド…それまで通ってきた国々で人々が嗜んでいるのを見てきた。
バンコクに行ったら もう手に入らないかもしれない…。
日本では尚更だ、もし手に入ったとしても高価であろう…。
インド…、ここは産地として有名だ。
そうだ やはり今 買うしかない。
思い立った僕は、小雨の降る中、同室の日本人と一緒に売り場へと向かった。
キョロキョロとしている僕を見かけて何人かのインド人が声をかけてくる。
案内された店は、何種類かの葉っぱを売っていた。
一応 ランクがあるらしく四種類の中の上から二番目に高いものを量り売りで購入。
小さな透明なビニールの袋に入れてもらう。ちゃんと熱で袋を軽く溶かし密閉してくれた。
しかしこれでは まさしくニュースなどで観る「空港で押収された大麻」である…。
日本に入国する際に、変に怪しまれないように、黄色いカレー粉も同様の袋につめてもらい購入。
抱き合わせるようにして新聞紙に包みカバンの奥に詰め込んだ。
心配していた日本の空港では、それらを入れたカバンを開けず、ジャージなどをつめた袋だけを開けさせられただけ。
なんともあっけない。そんなんでいいのかよ。
帰国してから数日後、僕の誕生日だった。
祝うというほどでもないが、今でも親は家族の誕生日にはケーキを買って一緒に食べることになっている。
ここで、僕はインドで葉っぱを買ってきたことを家族にカミングアウトする。
今まで行った国々で作り方を見てきた。そしてインターネットでも予習もした。
不思議そうに見る家族をよそに台所へ。
鍋でお湯を沸かし、タイミングを見計らい葉っぱと牛乳を投入。
小さ目のグラスに注ぐと雰囲気がでる。
あぁ~ 美味しかったインド風ミルクティー「チャイ」
カルダモンとかジンジャーとか入れてもいいみたい。
この味、クセになります。