目が覚めると車の中で一人だけになっていた。時計は夜の12:30AM。周りを見るとどうやら日本でいうところの高速道路のサービスステーションのようなところだ。
降りると一人に声を掛けられる。車の乗客の一人だ。コーヒーを買うといいと言われたが、缶のジュースを買いテーブルに座る。そこには赤い服を着たさっきの女の子がエスティー(冷たい紅茶)を飲んでいる。このこは英語がある程度しゃべれる。これで少し安心した。
次に、車に乗ったときは隣に座ってくれ積極的に話し掛けてくれた。そしてここから、白い布をカバンから取り出し言った「I play from now. I am slim.」いったい何を言い出すんだ!?と思って見ていると白いズボンのようなものをはき頭にも白い布を巻く。そして、なめらかな動作でお祈りをしだした。そこでやっと解った。playでなくpray、slimでなくMuslim(イスラム教)だ。それは2,3分で終わった。メッカに祈っているのか?ときくとアッラーに祈っているとの事。こういう時は方角はどうでもいい(仕方が無い)ようだ。
再び寝てしまい、起きると外は明るくなっていた。そこには自分が思い描いていたジャワ島の風景があった。ヤシの木が生い茂り、遠くには朝もやがかかる山々が見える。ときどき段々畑も顔を出している。民家の屋根は途中で勾配が変わる独特な形状、いたるところに店があり売っているものは、ジュース・たばこ・果物そして扇風機なども・・・。走っているバイク・車は日本製が多く、実際のところ貧しいという印象を受けない。全く異国の地だがどこか郷愁にかられる。
朝、再びトイレ兼食事休憩。自分と同じ後部座席に座るもう一人の男に連れられ、朝食を取ることに。ご飯を皿に取り、幾つかの具をその上にかけていく、セルフサービスのようだ。自分もそれを真似する。料金は後払い。欲張って多くの種類を少しずつとってしまったが、おそらく一種類いくらの計算だろう。エスティーと合わせ6,000RP。
女の子も同じテーブルに座る。男の名前は、アグース、女の子はニケンという。実はアグースもほんの少しだけ英語が出来る事がわかった。それにしてもジョグジャカルタに到着するのは、7:00AMのはずだった。今はその時間をとうに過ぎている。聞くとどうやらスクールホリデー(今日から?)に入ったらしい。それで昨日の夜中、渋滞で全く車が進まなかったんだ。
再び車が走るが相変わらずの暴走運転。運転手は前にいる車はすべて抜きたくなる人のようだ。物凄いスピードで数々の車を抜いていく。抜こうとする時、対向車がくると待ちきれず前の車とぶつかる寸前の距離になる。ハラハラする。
会話が途切れると、すぐにとなりのニケンがいろいろな話題を持ちかけてきてくれる。インドネシアで宇多田の曲がカバーされていたり、昔 東京ラブストーリー・ゴーゴーファイブやウルトラマンなどをTVで見ていたとか、以前 ポルトガル人のボーイフレンドがいたとか・・・。
あるところで横道に入りすごーく田舎の家でアグースが降りた。
それからしばらくするとニケンがここはもうジョグジャだという。今は12:00PM、結局19時間のバスの旅となってしまった。途中からニケンと会話できたし、ジャワ島の風景などを見ることが出来た。このバスを選択した(電車じゃなくて)ことは良かったと思う。ここKARNIA HOTELでお別れ。
中に入ると中年のおばさんがいる。英語が達者で聞き取りやすい。バスルーム無しが30,000RP(くらい)、バスルーム付きが50,000RPとのこと。(料金の書いた紙を指し出せれた、何種類か値段の違う料金表を持っていて、宿泊する人の顔を見て判断してるに違いない)
部屋を見せてもらう。安いほうはベットが二つ。高いほうはなぜかダブルベット。共同のトイレはやはり うーん・・・といった感じ。ジャカルタでのトイレとシャワーで少し懲りていたので、バスルーム付きの部屋にした。しかし、朝食付きといっていたがいらないというと45,000RPとのこと。とりあえず2泊泊まるので90,000RPになる。すると朝食はフリーにしてあげるといいだす。ようわからん。
オーストラリアで一度もシングルルームにとまったことが無かった。少しリッチな気分だ。すぐにシャワーを浴びる。そして、さっきレセプションでもらったツアーのチラシを見て、BOROBUDUR・SUNRISE-PRAMBANAN(8hours)5:00AM出発・35,000RPのツアーに明日行くことに決める。レセプションのおばさんのところで申し込めるらしい。この人はかなり親切だ。
外に出ると、ここの宿の主人だろうか、ランチをここで食べろと10m程歩いたCafe兼インターネット屋に誘導される。そういえばハラへってるしいいか。
ここである主人が出迎えて、同じテーブルに座り、日本人と分かって知ってる日本語をいろいろ言ってくる。とりあえず、ごはんに野菜をボイルしたものをのっけた料理(名前忘れた)とミックスジュース(10,000RP)を食べる。この男も英語がある程度話せいろいろ聞いてくる。
食べ終わるといいギャラリーがあるというので、と言って細い路地に連れて行こうとする。興味が無いと言って断ろうとしたが、ここの路地がすごくいい雰囲気だったのでついていくことに。
3分程歩いて到着。別のニコニコした男が出てきて、ここのギャラリーの絵の説明をしだす。紅茶まで出してくる。いい絵が2,3枚あったが、今この絵を書く実演をするから見ていけと言うが断った(実演をやらせてお客に絵を買わせようとする。日本人はこういうのにやられやすい)。それでも安くする安くすると何度も言うが、こういう ホテル・カフェ・ギャラリーがグルになって観光客を連れ込み物を売ろうとする根性がきにくわない。いくら100円にまで下がろうが絶対に買わない。
店をでるとカフェの男は「俺の力で凄く安くすることが出来るから戻ろう」なんて言い出す。無視して歩いていると、さっきカフェで「次はどこに行くか?」「バリか?」などと聞いて「今まだ迷ってるんだ」という会話をしてしまったせいで、オフィスが近いから「今からバリ行きのチケット買いに行こう」といいだす。今度はツアーオフィスともグルか!この男まちがいなくコミッションを貰っているんだろう。今決めたくないとあしらって自分はマリオボロ通りへ歩いた。
ここもとにかく凄い人。バイク・バジャイ・車。店がたくさん並んでいるが購買意欲は全く湧かない。
あるサンダルに目が止まり、店の男が50,000RPという。ふんっと言って立ち去ると、うしろで20,000RPとあっという間に半額以下の値段を言っていた。そこらじゅうからバイオハザードのように日本語で「こんにちは」とか、なぜか「あなた」などと声をかけてくる。「日本人ですか?」と言われて「NO」と答えようものなら日本人だとばれてしまう。ある時「アニョハセヨ」と言われた時は振り返って「俺は日本人だ!」と叫びたくなった。
いろいろうろちょろして宿に帰ろうとすると、さっきのカフェの男が店の前で自分を見つけ、また「バリ島のチケットを今から取りに行こう!」と言ってきた。ここで急激にバリ島に行ってもいいかなぁと傾きかけていた気持ちが吹っ飛んだ。「もう絶対いかねえよ!」大きく「NO!!」と言ってホテルに入った。
19時間のバス移動、観光地としてのジョグジャの町の熱気、宿に帰ったらどっと疲れが出たようだ、夕方5:30PMくらいだったがこのまま寝てしまった。。一度、11:30PM頃 目が覚めたが、朝の目覚ましをセットし再び寝た。
明日はジャワ島に来た真の目的、ボロブドゥール・ブランバナン遺跡に行けるんだ。