電気羊に旅を

「東南アジア一人旅32日」からブログタイトルを変更。東南アジア・中国・ネパール・インドの旅日記あり。南米ネタを公開中

US20ドル札とテロ

2005年03月22日 | 雑感
スコータイWat Sri Chum
7月16日の日記「BKK→シエムリアップ(前編) 」の記事で、

「US20ドルの秘密」の話はビックリだった。

ということを書きました。この秘密について気になってくれた人は、いたんだろうか?いやいない(反語)。

今回は、このことについて。

 文章で書いても全然通じないことなので、記事にする予定は無かったのですが、先日、いろいろなブログのリンクを辿っていて 偶然見つけました。
ブログ「知識の泉 Haru'sトリビア」さんの記事「米20ドル札から9・11が!」を まずは ご覧下さい。

 タイで山田君から実際にお札を折って見せてもらった時は、驚きでした。さらに山田君の話は続く。
(ここのブログのトラバを覗いて見ても書いてありませんでしたが)タワーの両側に見ることができる「AMERICA」と「UNITED」という文字。あの日、タワーに突っ込んだ飛行機は、1機目が「アメリカン航空11便」、2機目が「ユナイテッド航空175便」という事実に皮肉にも一致します。

 上のブログのトラバをたどると、ブログ「お笑い@サプリッ!~楽しくなければBLOGじゃないじゃ~ん!~」さんの記事「20ドルの意味」には、さらに驚く内容が・・・。

 20ドル札とは関係ありませんが、ニューヨークの世界貿易センタービルの住所は
「Q33NY」とのことですが、(例えばWordに)この文字を記入もしくはコピペして、フォントを「Wingdings」に変更すると・・・(実際にやってみてください)。


 予備知識として、六芒星はユダヤ人達が使用した「ダビデの星」です。ユダヤ人は、このテロの黒幕などと噂されています。

↑(2005年8月13日 追記)この住所の話題については ガセのようです。WTCの住所はこれとは違います。コメント参照。

 ただの偶然でしょうが、お札の絵・20という数字・航空機そして住所・・・多くのことが重なるとなると・・・
歴史の悪戯にしては恐ろしい・・・。


 このテロに関しては、被害に遭われた方や遺族など、自分には想像もつかないほどの悲しみだと思います、心からご冥福をお祈りします。

 ただ、「その後」がまた酷い。
アメリカの報復戦争などの惨さについては、自分自身が知りえている情報は少ないので、軽軽しくブログで語るのを避けさせてもらいますが、

 あのテロ行為を「KAMIKAZE」と例え、あの現場を「グランドゼロ」と呼んでいる事、それが気に入らない。

 民間機を使い、民間のビルに突っ込んだ自爆テロと、太平洋戦争時、日本軍によるアメリカの軍事基地への特攻とは根本的に違う。しかもアレは、そもそも奇襲作戦などではない。(真珠湾の真相に関しては、書物などで調べてください)

 「グランドゼロ」は元々は、アメリカ軍により落とされた原子爆弾(広島に落とされたのはウラン235・長崎はプルトニウム239 種類が違うということはどういうことか考えてください)により大被害をもたらした広島・長崎の爆心地をそう呼んでいたものだ。

9.11の現場をそれらと同一の呼称をつける神経が分からない。

US20ドルの秘密を紹介するだけで終わらす予定でしたが、悪い癖がでました・・・。


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歴史的慣性

2005年03月17日 | 雑感
タイのWat Phra Keoの工事看板「歴史的慣性は、惰性へと朽ちていく」
(ハセガワ テムジン747J インストより)

ちょっとかっこいい一節だったので、使ってみた。


 最近の いわゆる「竹島問題」についての韓国・日本政府の対応、ブログを中心としたネット内の反応などを見て、ちょっと書きたくなった・・・。

 2004年1月、オーストラリア シドニーでワーホリをしていて、同じ家に住むシェアメイト2人と焼肉料理屋で飲んでいるときのこと。
 登場人物は、自分と同い歳の日本人(Jとする)、日本に4,5年ほど住んだこともある日本語ペラペラの韓国人女性(Kとする)。

J;「いや~ 韓国人と話してるとさぁ、戦争で残虐なことしてきたとか、日本は韓国のおかげで経済大国になったとか、うるさいんだよなぁ」
私;「うーん、僕の韓国人の友達にはそんな露骨な事 言う人いませんねぇ」
K;「日本が全然 謝罪しないからいけないんです」
私;「え?」
J;「そうだよぉ 日本も謝ればいいのにさぁ、意地にならずに・・・」
私;「いや、謝ってますよ。宮沢とか村山総理とか・・・(この時 天皇まで謝っているなんて知らなかった)」
K;「そんなことないですよ」
私;「そういうことは、韓国政府やメディアが伝えないんですよ」
K;「(不機嫌そうに)そうでしょうか?」
J;「もう日本も認めればいいのにさぁ。戦争に負けたんだから、自分が悪いって」
私;「(プチ!)悪いから負けたんじゃなくて、あの時点でアメリカより弱かったから負けただけです!負けたから「悪」勝ったほうが「正義」なんて、アメリカ的な考え方そのままじゃないですか!2度の原爆だってただの実験ですよ!(その後、数分の説教 日本の進行の理由なども語る)」
J;「わかった、わかった」
K;「でも、そんなこと他の韓国人にいったら 殴られますよ」
私;「はぁ・・・」
K;「竹島(さすが日本に住んでいただけあって 独島とは言わない)だって韓国の領土です」
私;「はぁ・・・(この時 竹島についての知識は僕には無かった)」


話は変わって
J;「日本の製品ってマネばっかじゃん」
K;「そうですね」
私;「そんなこと無いですよ」
J;「だって、日本人が発明したものなんてほとんどないじゃん」
私;「何 言ってるんですか!CD(コンパクトディスク)・デジカメ・インスタント食品・クォーツ式の腕時計・シャープペンシル・自動改札機・魚群探知機は日本の発明ですよ(←ちなみに ほとんどプロジェクトXで見たやつ)。液晶(の実用化)だって日本じゃなかったかなぁ。」
J;「え・・・そうなの?でも身の回りにあるほど広まって無いじゃん」
私;「(おもいっきり 生活に浸透してるじゃん もういいやこの人・・・)」

 Jさんは、日本人にありがちな典型的な自虐史観であり、普段 すっごく性格のいいKさんも日本の歴史に対しては怪訝な態度、日本が悪い・日本は中国や西洋のマネばっか という考えから離れない。


 韓国にこういう諺があるらしい「泣く子は、もうひとつ餅がもらえる」
日本人は、物を貰うために泣いたりはしないが、もし泣く子がいたら 餅をあげてしまうだろう。
 さらに、(どこかのブログのコメントにもあったが)「AがBを非難するしてるから、Bが悪い」(Aが中国や韓国、Bが日本)と思いがちであり、本当に悪くなくてもいたるところで謝ってしまう。

 昔の自分も完全な自虐史観の持ち主だったが、20歳過ぎくらいからいろいろな書物などを読んで、だんだん真実が見えてきた。
 政治家が国旗や国家に敬意を払うように言っても、日本という国に誇りをもたせない教育やメディアが、このままの状態なら、何を言っても無駄である。
 
 しかし、簡単なことだ、なんの歪曲も捏造もない真実の日本史(とくに近代史)を伝えるだけで、充分 自分が日本人であることに自信がもてる。

 外が何を言おうと、騒ごうと、日本は正しい歴史認識の下、毅然とした態度を示せばいいだけである。
このまま日本の対応が続けば、「惰性」の先に何がまっているか・・・。

 平和とか友好なんて、「真実」を知らずにはありえない。
 旅に出て、日本の文化の高さも再認識できた(外国が低いという意味ではない)し、いろいろな国の人に出会って、楽しさややさしさなどもお互いに享受してきた。友達になれないわけは無い。

 必要なのは「真実」を知ることと、違いを認める「寛容さ」だ。


 最近の時事問題などは、これら↓のブログの過去1ヶ月を読むと、いろいろ見えなかったものが見えてきます。
 もちろん 盲目的に信用するのではなく、これらの情報から 真実を精査する目を常に持ちつづけ考えることが必要だと思う。
ぼやきくっくり
あんた何様?
殿下さま沸騰の日々『てめーらなめんなよっ!』
Irregular Expression
アジアの真実
コリアン・ザ・サード

トコロ変わればマックも変わる

2005年03月12日 | 雑感
ジャカルタのマックにて
 上の写真は、インドネシア、ジャカルタのマクドナルドのメニューを撮影したもの。
 東南アジア各国を廻るんだから、それぞれの国のマックを撮影し、同じハンバーガーの値段なんか比較すると面白いんじゃないか、そう思っていたが、この写真以降 撮影していない。というのは、いくらコンデジとはいえマックの中で写真を撮るのは、恥ずかしかったから。めんどくさかったのもあるけど。

 下手な写真で申し訳ないですがメニューを見てもらうと、ここインドネシアのマックでは、スパゲティがある。結構人気があるらしく、店内で食べている人が結構いる。
 値段は、100RP(ルピア)=約1.3円として

ジュース+スパゲティ ;10,364RP(約135円)
ジュース+ポテト+スパゲティ ;18,364RP(約240円)
フライドチキン2つ ;12,546RP(約160円)

 安いねぇ・・・。オーストラリアでは、貧乏ワーホリとして節約生活を続けていたけど、アジアに来てからは、躊躇することはない。

 オーストラリアは、湿度が高くないのか、暑さがうっとうしいとは感じなかった(ほとんど汗かかない)。対して アジアに来てからは、ジーパンなんて履けない。汗もにじみ出てくる。
 だから、エアコンの効いているマックは、散策の合間や観光が終わった夕方など、ちょっと小腹が空いたり(屋台メシだけじゃ足りない)、ちょっとジュースを飲みたいなという時(ミロ飲むのが好き)に ちょくちょく利用した。
 それとトイレが綺麗だという理由も大きい。どこのマックも掃除が行き届いているし、洗面(ハンドソープ付)があるので手も洗える。

 タイのアユタヤのマックに入ったら、メニューに「サムライ ポーク バーガー」と書いてある。試しに注文すると、それは日本でいう「テリヤキバーガー」だった。
 日本には、アップルパイとミートパイがあるが それは無くて、代わりにタロイモパイ・コーンパイ・パイナップルパイがあった。
 日本で「トリビアの泉」で紹介されたらしいが、バンコクのマックのドナルドの人形が合掌しているのは知らなかった。ネット上ではあちこちで見つけることができます、写真はこちら

 オーストラリアのビックマックは、周りに厚紙がわっか状に巻いてあって崩れないようにしてあったけど、上下を押さえずに それを外すとグシャッと無残にも崩れ去ります。あまりおいしそうでないクッキーやベーグルなんかも売っていた。
 あまり割安感のないオーストラリアのマックですが、40¢(約30円)でソフトクリームが買えます。貧乏ワーホリにはありがたかったぁ。日本にはなぜないんだろう?ドリンクのシェイクが 他の国で見たことがなかったがその代わりなんだろうか。

 昔 1週間沖縄を旅行した時、ゴーヤバーガーなるものがあった。もちろん食べたけど。
我が街 名古屋も、なにかご当地メニュー出さないのかなぁ。味噌カツバーガー(こってり)・手羽先バーガー(骨付 食べづらい)・天むすバーガー(バーガーかどうか疑問)・名古屋コーチンバーガー(高い)。
 味噌カツバーガーなんて結構現実的だと思うけど。

 世界中に広がっているマック。それぞれの違いが 各国、お国柄・地域柄が出てておもしろいです。

 いつも僕が楽しみに読ませてもらっているブログにマックのことが書かれている記事をちょっと紹介させてもらいます。

新加坡まったり紀行
 シンガポールの謎の「天ぷらバーガー」です。まう さん 曰く 中身は大きなチキンナゲットとのこと。日本にもチキンタツタというハンバーガーがありますが、それとも違うのかな?

ニューヨークの遊び方
 アメリカ、ニューヨークのマクドナルド。店内にビルの模型などがあって楽しそうです。毎日ニューヨークのさまざまな楽しい情報更新してて、凄すぎます。

カメラと一緒にパリでお散歩☆
 フランスのマクドナルド。マックを紹介した記事ではないんですが、いい感じの写真なので。海が見えるマックっていいなぁ。
 このブログの作者のパパさんは、いつもは一眼デジカメですが このときは コンパクトカメラ(ちょっと特殊だけど)。コンパクトカメラでこんな綺麗な写真をとれるなんて、やはりカメラよりも「腕」や「センス」が大事なんだなぁ・・・としみじみ。

(余談) 
 昔、会社の同僚 女の子5人組が、沖縄に行って帰ってきたとき、
「沖縄料理 どうだった?」と尋ねると「えー (食べてもいないのに)沖縄料理なんてまずいじゃーん、イタリア料理の店とかマックで食べたよ」とのこと・・・_| ̄|○
 長期旅行で たまに行くならまだしも、2泊3日の旅行で ご当地料理を食べず、どこにでもある店に行くなんて・・・。こんな人達とは絶対に一緒に旅行したくない。

大沢たかお版「深夜特急」に憧れて

2005年03月06日 | 雑感
インド バラナシ

大沢たかお主演による「劇的紀行 深夜特急」という作品がある。言うまでもなく小説「深夜特急」の映像化作品である。

「劇的紀行 深夜特急'96~熱風アジア編~」(平成8年12月8日放映)
「劇的紀行 深夜特急'97~西へ!ユーラシア編~ 」(平成9年7月3日放映)
「劇的紀行 深夜特急'98~飛光よ!ヨーロッパ編~ 」(平成10年1月6日放映)

詳しくは番組ホームページ

 小説を読んでいくうち、かつてテレビドラマをやっていたのを思い出し、レンタルビデオ店で借りて三作品を一挙に見た。

 放映当時 作品の冒頭だけチラッと見た記憶がある。それは作者でもあり主人公の沢木耕太郎のインタビュー。確かこんなことを言っていた、「一応 私の原作はあるが、それに縛られず 大沢たかおさんに自由な旅をして欲しい」と。
 確かに見てみると 原作にないエピソードや行っていない土地が出てくる。タイではアユタヤに足を伸ばし(あの仏像の頭が木に埋もれているところに行ってはいるがあまりにも扱いがあっさり)たり、恋人が突然会いに来たり(まだ自分は小説でそこまで読んでないが)。
 ヨーロッパ編の最中にJTB(だったっけ?)の宣伝が入っていたことを考えると、スポンサーサイドの要求もあるのだろうか。

 沢木氏が旅をした20年ほど前とはアジアはだいぶ様変わりしただろうが、映像により受ける印象は強い、こういうところを沢木氏は旅をしたのか、宿はこんなところだったのか、など。特に「ユーラシア編」はイイ。自分があこがれる旅というのは、こういうものだ。

 主人公を演じる 大沢たかお の 魅力も大きい。第一部の彼は どこにでもいそうな普通の日本の青年と言う印象。しかし回を重ねるごとに どんどん「旅人の顔」になっていくのが見ていてよくわかる。
 特にパキスタンかな、バスの上でマントのようなものを羽織って風にふかれるシーンや、砂漠(?)から何人かがバスに向かって走っていくシーンなどなど、とにかくかっこいい。

 作品には多くのメイキング映像が含まれているが、それがまた魅力的だ。大沢氏を含む撮影隊も少ない予算の中、贅沢とは程遠い環境。久しぶりの豪華な食事にカメラマンに愚痴をいうシーンなんかもおもしろい(苦労を共にしているスタッフと仲がいい証拠)。
 大沢氏が 歯を磨くシーンでペットボトルに口をつけないように(口から離して)、水を口に入れているところなど あー それ分かるぅ と妙に共感。

 ヨーロッパ編では、突然 彼女の松嶋菜々子が登場。いくらなんでもアポ無しで大使館で待ち伏せという演出はやりすぎの感があるが・・・。その後スポンサーだろうかJTB(←確か)による大沢たかお の旅とは対照的な豪華なイタリア旅行の話が挿入される・・・。あんな綺麗な彼女がいたら僕だったら1年以上も旅にはいかないだろう。

 大抵 テレビの旅行番組は旅行会社がスポンサーで自分にとっては全然魅力を感じない番組が多い。インド・パキスタンのあたりなどは ほとんどその対象ではない。
 猿岩石などの(二人)旅は、あまりにも極端だが、バックパッカー的な旅の番組がもっと増えて欲しい。ちなみに猿岩石は二人旅として撮影していても、どうせカメラマンもいるし、いくらかのフォローや脚色があるんでしょ とどうしても穿った見方をしてしまうが、この「劇的紀行 深夜特急」という作品は、ドラマであるという潔さがあり、観ていて気持ちがいい。

 ネットを廻っていると、沢木氏のようにアジアを横断している人をよく見かけるが、その旅行記を読むと 単純に凄いなぁと。自分の中ではインドを旅してなければバッパーとは認められないんじゃないかというのがあって、ちょろっとアジアを旅しただけの自分が恥ずかしくもある。

 オーストアラリアにワーホリとしていく前に、もしこの作品に出会っていたら、もっと違う旅になっていたに違いない。

(余談)
大沢たかおの事が好きになり、調子に乗って映画「スカイハイ」も見てみた(釈由美子好きというのもあるが)。やはりかっこいい。しかも「黒い」。マンガ「DEATH NOTE」の主人公くらい「黒い」よ。

まだ映画版「世界の中心で、愛をさけぶ」(青年期は森山未来)は見てないなぁ。
ドラマ版は最終回だけみたけど、あれウルル(エアーズロック)の設定で行ったところって、違う場所だね。岩の感じからしてキングスキャニオンだと思う。


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「深夜特急」というスタンス

2005年03月02日 | 雑感
シンガポール駅 僕がこの本を手にしたのは、オーストラリアを出国する2日前。シドニーの紀伊国屋で、9ドル(約720円)という日本で買うのと1.8倍もする値段で購入した。

 東南アジアに行こうと具体的に決めたのは、一ヶ月前だったが、各都市にある古本屋で探しても「2巻 マレー半島・シンガポール編」は見つからなかった。

以前から、この小説の存在は知っていたし、何年か前にスペシャルでテレビドラマをやっていたのも覚えている。しかし、元来小説というものをほとんど読まない性格だったし、自分にとって「海外を旅をする」というのは全く遠い存在で興味がなかった。


ハジャイ駅 しかし、「地球の歩き方 東南アジア編」のマレー鉄道についてかかれている記事でこの本のことを紹介してあり、ぜひシンガポールに着く前に読んでみたくなった。

2巻の物語は、タイの上空、これから降り立つ国に期待を膨らませている場面から始まる。
 実は、この本を読むのは、これから自分がシンガポールからマレー鉄道を使いバンコクまで北上していく際の観光の参考にする為でもあったが、作者はほとんど観光地を廻らずスルーしていく。
 主人公がアジアから入ってヨーロッパまで行くことは知っていたが、「深夜特急」というタイトルからして、ほとんどを鉄道で旅をするものばかり思っていたが、マレーシアくらいから車でシンガポールに入ってしまうし、飛行機にも簡単に乗ってしまう。(香港→バンコク シンガポール→カルカッタ)。


ハジャイ車内 ちなみにタイトルの由来は、自分が帰国し購入した1巻の冒頭に記されている。

「ミッドナイト・エキスプレスとは、トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの間の隠語である。脱獄することを、ミッドナイト・エキスプレスに乗る、と言ったのだ。」

 なるほど、これで納得した。2巻の終盤、主人公がシンガポールの安宿のベッドで天井のヤモリを眼で追いながら、旅に出た本当の動機を思い返しているシーン・・・

 「それより、私には未来を失うという「刑」の執行を猶予してもらうことの方がはるかに重要だった。執行猶予。恐らく、私がこの旅で望んだものはそれだった。」
 「多分、私は回避しかったのだ。決定的な局面に立たされ、選択することで何かが固定してしまうことを恐れたのだ。逃げたといってもいい。」

 自分がどこかで思っていた気持ちをこの一節は言い表わしていた。主人公と自分はほぼ同じ年齢であり、会社を辞めて、長期の旅に出たというところも同じ。おなじ境遇の旅人は作中の主人公の心情にみごとにシンクロさせられるだろう。
 この文章以降、ミッドナイトエクスプレスに乗り旅をしている作者に、のめりこむ事になる。


ホアランポーン駅 主人公は、終始ほとんど観光というものをしていない。小説内で描かれていることの大部分が克明な人物描写である。
 彼のスタンスは、観光地をスポット的に繋いでいくのではなく、気が向いた場所へ向かい その土地の人々と接することである。だから主人公はガイドブックの類のものはもっておらず、おおきな地図3つ(4つだったかな?)だけである。

 主人公は、カンボジアには行っていないが、もし彼がシェムリアップに行ったとしても、アンコールには行かない気がする。いや、彼のことだから、年老いたトゥクトゥクドライバーに声を掛けられ、

「クメールの遺跡か・・・悪くない」

などと言って 行くかもしれない。

ホアランポーン駅 帰国してすぐに1巻から買い読みふけるわけだが、実は現在5巻の中盤まででストップしてしまっている。
 地中海にさしかかり、どうも作者の旅のテンションが下がっているし、たしか劇中でも語っているが、「旅の感動がすさんできている」からだと思う。彼が旅をしてから小説を書くまでかなりの年月(10年くらいだったはず)が経っており、また何度かヨーロッパに足を運んで取材しなおしているらしい(小説を書き上げるのに6年を要している)。どうも文章から旅の「わくわく感」が伝わってこない。

 敢えて、苦言をするなら、マカオのカジノでの描写があまりにも具体的過ぎ(大小大小なんて覚えれるわけ無い)でリアリティが無いのと、バンコクの空港を出た際に、一門無しの主人公が 英泰辞書をもっている学生に辞書を指差しながら会話するところや、李賀の一節を読んだ直後 窓の外を見ると蛍がまっていたり・・・、どうも都合が良すぎる場面が多々ある。


ホアランポーン駅 この本の内容が完全なノンフィクションと決めつけた場合 いくつか疑問点が出てくるが、そんなことはどうでもいい。他人に読ませる小説、いくつかの脚色があるのは当たり前だ。作中のさまざまな描写は、実際にその土地を旅した青年 沢木耕太郎 だからこそ描けたものだ。
 この本は、長期の旅をしたことのない人が読めば、旅という行動を起こさせるには充分魅力的だし、旅の経験がある人は、主人公に自分を重ね、旅の郷愁に浸れること間違いない。とにかく文章が魅力的であり大変おもしろい。
 深夜特急の一巻にあたる分の初出は1986年、もう20年も前の作品だ。しかし今でも売れ続けており、多くの旅人のバイブル的存在であるのは納得である。


 うーん、一気に書き上げたけど、文章が支離滅裂ですいません・・・。本当はもっと書きたいことあるけど 今回はこの辺で。
 
 今、ヤクルトの古田さんも「深夜特急」を読み始めているらしいですよ。古田さんのブログはこちら

coyote(コヨーテ)No.8 特集・沢木耕太郎「深夜特急ノート」旅がはじまる時

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