起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

営業関係の監査2

2005-11-22 04:26:28 | 監査
今回は、残高確認の差異調整です。

営業関係でいうと、「売掛金」の残高確認を行います。
残高確認とは、得意先に売掛金の金額を書面で問合せをして、間違っていないかどうかの回答をしてもらうことです。
この書面のことを「残高確認状」といいます。

なお、金額に差異があるからといって、「売掛金」の金額が間違っているとは限りません。
通常、売上は出荷日、仕入は入荷日に計上されるのでズレが発生することがあるからです。
たとえば、100万円の製品を3/31に宅急便で送り、相手先に4/1に届いたとします。
そうすると、3/31に売上を計上しますが、相手先は4/1に仕入計上しているはずです。
この場合、100万円の残高確認をすると、回答は0円です。

このような差異の内容を会社の担当者に調査してもらって内容の合理性を確かめる手続が、「残高確認の差異調整」です。

上記のような差異の場合、問題はありませんが、時々問題となる事例が出てきます。


たとえば、次のようなものがあります。

製品が一部壊れていて値引をすることになっている場合
→ 値引分を相手先は差し引いて回答してくるはずです。
  期末に値引処理をしておくべきですから、修正(売上の減額)が必要です。

回答額が多い場合
→ 売上計上漏れの可能性があります。
  受注・出荷指示・出荷などの内部統制上の欠陥がある可能性があります。
  これらのどこかの段階で牽制機能が働いていない可能性があるからです。
  修正(売上の増額)も必要ですが、内部統制上の問題点を指摘する必要もあります。

その他、差異の内容をヒアリングしていると色々問題点が出てくる可能性があります。
このようにして、売掛金の実在性を確かめるのです。


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営業関係の監査

2005-11-22 00:42:45 | 監査
今日は、日帰りで東京出張でした。
仙台では車で移動することが多かったのであまり気づいていませんでしたが、もう冬ですね。東京では電車の移動だったので寒さがひとしおでした。

今回は、営業関係の監査です。
具体的には、

・滞留債権の調査
・決算日後の売上修正の調査
・残高確認の差異調整

などです。

具体的にどんなことをやっているのか書いてみたいと思います。
監査にご興味ある方は、読んでみてください。


・滞留債権の調査
滞留債権とは、一般的には回収予定日を過ぎても入金のない債権のことをいいます。
たとえば、通常の決済基準が「末締め翌末払」の場合
1月10日に出荷した製品は、1月31日に請求書を作成し、2月28日に払ってもらいます。
したがって、1月末の残高は2月末にはゼロになっているわけです。
ただし、1,2日遅れることはよくある話です(たとえば末日が休日の場合や、金融機関の営業時間後に入金した場合など)。しかし、どんなに遅くとも3月末にはゼロになっているはずです。

取引先が何百件とある場合、いちいちすべての得意先の回収状況を見ていては日が暮れてしまうので、
会社から「月別」「得意先別」の期首残高、回収金額、売上金額、期末残高のデータをもらって、アクセスでデータを加工し、3ヶ月間動きのない得意先がないかをチェックします。

エクセルではなくアクセスを使うのは、得意先が期中に増減するからです。
アクセスなら、得意先コードに関連付けを行って各月を並べることが簡単にできます。

このようにしてピックアップした得意先の状況について、会社の担当者になぜ滞留しているのか、いつ回収できるのかをヒアリングし、回収可能性を検討するのです。


・決算日後の売上修正の調査
会社は予定していた売上が達成できない場合に、いわゆる「押込み販売」をすることがあります。
「押込み販売」とは、得意先に無理やり製品を引き取らせることですが、後に返品されることも少なくありません。また、無理して作った製品は不良品が多くなり、返品されるといったこともないわけではありません。
このような、決算日後に生じる返品や値引は、本来売上として計上できないものも含まれますから、そのようなものは売上の修正をしてもらう必要があります。

具体的には、期末日後生じた返品や値引の内容をヒアリングします。
通常内部統制が有効に機能している会社は、返品や値引を行う際には担当者の判断だけではなく何らかの申請書を提出し、しかるべき人が決裁を行っています。
そこで、決算日後に作成した申請書を閲覧して怪しいものがないかをチェックするのです。


・残高確認の差異調整
長くなってきましたので、残高確認の差異調整についてはまたの機会に書いてみたいと思います。

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