東京救急協会の上級救命講習に行ってきました。
救急車が現場に到着するまでに概ね6~7分掛かっているそうです。この間にどのような手当てを受けるかで生存率が大きく変わってくるそうです。
で、もしそのような現場に行き当たったら、野次馬ではなくて助ける側に加わろうかと。
【ご注意】
以下の内容は東京救命協会主催の講習におけるものです。詳細は各都道府県の消防署にお問い合わせ下さい。
講習はみっちり8時間、朝から夕方までお昼と休憩時間を除いて缶詰です。講習内容は以下の通り。
- 心肺蘇生
- AED(自動体外式除細動器)の使用方法
- 気道異物除去
- 止血法
- 外傷の応急手当
- 傷病者管理
- 搬送法
私が受講した上級救命講習以外にも、もっとお手軽で必要充分な知識を与えてくれる普通救命講習というものもあります。違いは講習内容で、普通救命講習は上記の上4つを教えてくれます(講習時間は3時間)。
その他、講習内容の詳細は東京都救急協会「講習種別と講習内容」を参照してください。
講習の進行は、講義→実技の繰り返しです。教わったことは人形または人間(講習参加者)で試してみます。どちらかというと実技の時間のほうが長いです。これは実際に使えないと意味がない、という考え方によるもののようです。
講習内容の中には想像していたものと異なることがありました。
心肺蘇生のひとつに「胸骨圧迫」という行為があります。これはいわゆる「心臓マッサージ」なのですが、救命講習の中では心臓マッサージと呼びません。理由はいろいろあるようなのですが、実際の行為に合わせた呼び方になっています。心臓マッサージというと左胸を押したりする印象がありますが、実際には胸の真ん中(乳頭と乳頭を結ぶ線の真ん中)を押します。
また、人工呼吸は被救命者の口に直接行うと思っていました。しかし、これもマウスピースを付けて直接被救命者に触れないようになっています。これは感染症を予防するためで、救命者が救命行為で危険にさらされることが無いようにするためです。人工呼吸以外でも感染症にかかるような被救命者に直接触れる行為(例えば出血した血液に触れる)は絶対にしないようにと指導されました。被救命者に近づく前に周囲の安全を確認するなど、まず第一に救命者の安全確保がなされた上で救命行為を行うようになっていました。被救命者のために救命者自身を危険にさらす必要はない、との考え方のようです。
参加者はお話を聞いた中では教育関係(特に幼稚園・保育園やPTA)の方が多いようでした。スポーツ団体やスポーツ関連産業の方、デパートなどの流通業の方もいらっしゃいました。皆さん、職場(または職場近く)にAEDが置いてあるようです。変わったところでは某公営ギャンブル場の方もいらっしゃいました。場内でケンカが多いそうで、救命や応急手当ての必要性を感じたそうです。
正直なところ思いつきで参加を決めたのですが、参加してみて大変参考になり有意義な講習でした。具合の悪そうな人や倒れている人を見掛けて気になったことがある方は、是非とも参加してみてください。
【余談】
実は救命講習を受けるまで「もし被救命者が死亡したり障害が残ったら責任が問われる可能性があるのか・・・」と心配でした。米国には「善きサマリア人の法」というものがあり、重過失がなければ責任は問われません。日本にはそのような法律はないのですが、過去の事例で責任が問われた例はないそうです。少し安心しました。でも、より安心して・勇気をもって救命にあたれるよう立法化が望ましいと思います。もちろん、責任に問われた事例がない・立法化されたからといって、注意すべき事項を疎かにするような行為は慎むべきであることは言うまでもありません。