郵政民営化についてあらためて・・・

2007年02月21日 | Weblog
   USTR代表:郵政民営化でWTO提訴を示唆
【ワシントン木村旬】米通商代表部(USTR)のシュワブ代表は14日、下院歳入委員会で証言し、日本の郵政民営化で外資系金融機関などが競争上不利な立場に立たされるなら、世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えを示した。米政府高官が民営化問題でWTO提訴の可能性に言及したのは初めて。
同代表は「民営化後の会社が不当に有利にならなければ、民営化は問題がない」と指摘しつつも、民営化の行方について「極めて注意深く監視し、必要なら法的措置を探る」と述べた。
郵政民営化委員会は民営化で発足する「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式上場前の事業拡大を認める方針を示したが、米生命保険協会などは先月末、「外資系などとの対等な競争条件を確保できず、WTOの協定違反」と反対を表明した。同代表の発言は、ブッシュ政権の求心力が低下する中、日本に強硬な姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。 (毎日新聞 2007年2月15日 11時58分)


というわけで、郵政民営化について今更ながら、疑問が沸き起こりまくりなので、ネットをうろうろしていたら、以下をみつけたので、引用貼り付け。

◆◆◆◆

「郵政改革」の真相を明かす一通の手紙。
アメリカの郵政は国営が基本だ。なのに何故、日本に民営化を迫るのか?
郵政民営化は誰のためか?何のための解散・総選挙か?小泉純一郎首相と竹中平蔵のコンビはいう。「小さな政府をつくる。郵政改革はその第一歩だ。この改革なくして日本の明日はない」
騙されてはいけない。真相を暴露する手紙が、参院の特別委員会で披露された。宛名は竹中平蔵。差出人は前アメリカ通商代表部のボス、ロバート・ゼーリック(現国務副長官)だ。
日付は二〇〇四年十月四日。竹中が経済財政担当に加えて、郵政民営化担当大臣を兼務することになった時点だ。
この手紙を民主党の櫻井充が読み上げた。全文を読んでみたいと思い、翌日、新聞五紙を見たがゼーリックの「ゼ」の字も出ていない。完全無視。人を介してコピーを入手した。全文を引きたいところだが、紙幅の関係で要約する。

 -竹中さん、オメデトウございます。金融大臣としてよいお仕事をされた。それが新しい任務を招きました。この任務を小泉首相が貴方に託したことは、われわれにとって心強い。貴方に前と同様の決意とリーダーシップを期待します。
 保険、銀行、速配業務において、競争条件を完全に平等にすることは、私たちにとって根本的に重要です。郵貯と簡保を、民間とイコールフッティング(同じ条件)にすること、すなわち民間と同様の税制・セーフティネットを義務化し、政府保証を廃止するよう望みます。ついては以下の点で、貴方を後押しいたします。

 ①民営化の開始(〇七年)から、郵貯・簡保業務に(民間と同様に現行の)
  保険業法、銀行法を適用すること。
 ②競争条件の完全な平等が実現するまで、郵貯・簡保に新商品や商品の見直
  しは認めてはならないこと。
 ③新しい郵貯・簡保は相互扶助による利益を得てはならないこと。
 ④民営化の過程において、いかなる新たな特典も郵便局に与えてはならない
  こと。
 ⑤その過程は常に透明なものにし、関係団体(筆者註、アメリカの業者を含む)
  に意見を表明する機会を与え、これを決定要因とすること。

この間題について、今日まで私たちの政府が行った対話を高く評価します。貴方がこの新たな挑戦に取りかかる時に、私が助けになるなら、遠慮なくおっしゃって下さい……末尾に手書きで「Takenaka-San」と呼びかけ、次のように結ぶ。

「貴方は立派な仕事をされました。困難な挑戦の中で進歩を実現された。新たな責務における達成と幸運を祈念いたします。貴方と仕事をするのを楽しみにしております」
手紙が読み上げられる問、議場から「へぇー」とか「ホォー」の驚嘆しきり。その間、当の竹中は居心地悪そうに、しきりに手で顔を撫でまわす。
毎年十月、アメリカ通商代表部は日本政府に 「年次改革要望書」を突き付ける。毎年三月、代表部はその成果を議会に報告する。議会のさらなる要望を受けて、代表部は日本を督励・監視する。日本の「諸カイカク」は、そのシナリオに沿って行われて来た。
まさに手紙は郵政民営化担当大臣・竹中を督励する内容だ。櫻井充議員(民主党)は訊く。

 櫻井「竹中大臣、貴方はこれまでアメリカの要人と民営化について話し合った
    ことはありますか」
 竹中「いや、一度もございません」

 ならばと、櫻井はこの手紙を読み上げた。

手紙は郵便・窓口についてはほとんど触れない。郵貯・簡保についてのみアレコレと指示する。狙いは明らかだ。
郵貯・簡保に貯えられた三百四十兆円 - 日本人の最後の貯金、それが狙いだ。手紙はそれを露骨に物語る。
 すでに商法改正は、株式交換による会社の買収・合併を可能にしている。これまた例のシナリオに従った。それによって株式時価総額の大きい会社は、小さい会社を容易に買収・合併できる。日本の株式時価総額は、アメリカの格付け会社によって不当に低く抑えられている。格付け会社はアメリカ大手資本の「別働隊」だ。ために株式時価総額における日米の比率は一対八だ。

三菱東京銀行の中堅社員がいう。
「ウチの株式時価総額は四兆円かそこらです。くらべてシティバンクは三十兆円。TOBを仕掛けられたら、ひとたまりもない」
 郵貯・簡保を民営化させ、郵貯銀行と保険会社とする。これをゼーリックいうところの「完全な競争原理」に晒せばどうなるか。
アメリカの大手資本が併呑する。櫻井もいう。
「これが乗っ取られるのではないか。すでにアメリカの大手資本が、ゴールドマン・サックスでしたかな、一兆円の資金を準備したとも聞いている」
 元郵政相・自見庄三郎(山崎派)は衆院の採決に先立ち、反対の「撤文」を全議員に配布した。
「財政赤字に苦しむアメリカは、日本の郵政民営化に期待する。
三百四十兆円の郵貯・簡保資金は、アメリカによる日本買い占め資金に回す結果となるのだ」
 つまりは国民の資産三百四十兆円をアメリカに売り渡す法案だ、というのだ。どうあっても民営化するなら、郵貯銀行、保険会社につき、事前に防衛策を講じる必要がある。修正案に盛り込もうとする主張もあったが、小泉・竹中のコンビが最後までこれを拒否した。理由はくだんの手紙で明らかだ。ボスの指示とあれば拒めない。

堀内光雄が配布した文書がある。
説明に訪れた竹中とのやり取りが記してある。

 堀内「この法案にはビジョンが出ていない。結果はどうなる、それが出ていな
    い。」
 竹中「そうなんですよね。」
 堀内「そこが問題なんです。」
 竹中「これはわれわれとしても大変悩ましいものがあるんですが、それをお決め
    になるのは次の経営者なんですね。その経営者を差し置いて、われわれ政
    治家や役人がビジネス・モデルをつくるのは、若干、恥じらうところがあ
    ります。」
 堀内「それはちょっと違うのでは?改革というのは、目標とするところの姿を
    示すことに意義があると思うんです。革命は、やればできるといってアト
    のことは示さない。革命になったら困るんですよ……。」

 郵貯銀行、保険会社の未来は経営者が決める。後は野となれ山となれ。これでは革命でもなければ改革ですらない。郵政を国営とするアメリカが、なぜ日本には民営化を望んで圧力を加えるのか。事は郵便や窓口の話ではない。そんなことはアメリカにとってはどうでもいい。

 それかあらぬか参院で法案が否決された翌日、ウォール・ストリート・ジャーナルは書いた。
「これでわれわれが待ち望んだ三兆ドルは、しばらくの間お預けだ。しかし小泉は頑張るだろう」
この新聞はアメリカ大手資本の「広報紙」だ。それがはからずもアメリカの本音をあらわにした。

ブレア首相の皮肉

「郵政」の名に隠れているが、今国会の本質は「金融国会」だった。
竹中が金融担当を経て経済財政担当を兼務しながら郵政民営化担当大臣に就いたこと自体が、それを示している。
郵貯・簡保三百四十兆円の扱いが、アメリカにとっても、その意を受けた小泉・竹中にとっても、文字通り「本丸の本丸」だった。
郵便・窓口など二の次、三の次だ。
アメリカは官民一体となった「金融攻勢」を仕掛けて来ている。郵貯・簡保三百四十兆円の行方は金融に大きな変化をもたらす。ましてこれが乗っ取られるとなれば、なおさらだ。
郵貯・簡保三百四十兆円は、うち二百兆円を財務官僚が運用し、一説にはすでに百兆円が不良債権化しているとされる。
百兆円の国債を発行してこれを身奇麗にする。
キレイにした三百四十兆円を民営化して、ハゲタカの前に晒す。これが旧長銀よろしく買収された場合、百兆円の日本国債はアメリカの手に落ちる。日本の公的機関が抱える米国債は七十五兆円とされる。アメリカにすればお釣りが来る。アメリカは日本に米国債を売らせない。永遠に塩漬けとする。一方、日本国債を大量に売ればどうなるか。暴落は必至。切羽詰まればアメリカは何でもやる。
 国債とは国民からの借金だ。百兆円の借金は、いずれは税金で賄うしかない。とどのつまりは国民の負担となる。八兆円を注ぎ込んだ旧長銀の買収事件と同様だ。ハゲタカのリップルウッドは十億円の投資で一兆円の利益を上げた。これの再現にならないとは限らない。首相は櫻井に答えた。
「外国の資金が入って来る。結構なことじゃないですか。私は外資歓迎論です。棲井さん、いい加減、島国根性は捨ててもらいたい」
 外資歓迎? 日本にカネはダブついている。それが塩漬けになってまわらない。これをまわすようにする政策こそが急務だ。それを首相はやろうとしない。ひたすら 「官のものを民へ流す」 と叫ぶだけで、実行が伴わない。第一、郵貯・簡保のカネは「官のもの」ではなく「民のもの」 だ。
 たしかに郵貯・簡保の「カネの出」について問題はある。財政投融資を廃止するなり(事実そう決められた)、カネの出を厳重管理すれば足りる。
「カネの入り」 はきわめて健全なものだ。偽名による多重口座の問題もあるが、「名寄せ」をする等して、これまた厳重管理すれは足りる。ひっくるめて 「カネの出入り」を健全管理することは可能だ。これを民営化して大手外資の攻撃に晒するのは、たらいの水ごと赤児を流すに似ている。
 ちなみにイギリスは郵便貯金を国営としている。ニュージーランドは民営化して外資に乗っ取られ、慌てて郵貯を国営に戻した。ドイツの国営化は失敗、Uターンを始めている。分割したドイツポストとドイツポストバンクを再び統合させる等混乱が続いている。アメリカの郵政は国営を基本とする。
だから最近、イギリスのブレア首相は訪れた笹森消・連合会長に皮肉った。
「日本だけが逆行しているようですね」
日本人の最後の貯金を「お預け」としたのは、反対派議員の職を賭けた蹶起(けっき)だ。その彼らをいまや首相は「刺客」を放って追い詰める。メディアも「守旧派」として冷ややかに扱う。話が全く逆だ。善玉と悪玉を取り違えてはいけない。(堤堯 東大法学部卒、文藝春秋編集長、出版総局長、常務を経て退社)

 ― Let's Blow! 毒吐き@てっく さんより