ブードゥー教徒とサッチャー教徒

2007年02月20日 | Weblog
ブードゥーとは、カリブ海の島国ハイチなどで信仰されている「ブードゥー教」のことだ。キリスト教と西アフリカの宗教が合体してできたこの宗教では、呪術を使って人を苦しめたり殺したりできると考えられており、パパブッシュは「減税すれば税収が増えるという主張は、呪いをかければ人は死ぬと言っているのと同じで、根拠がないまやかしだ」という意味で、レーガンの経済政策を「ブードゥー的だ」と非難した。

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先般、政府与党は、税制改正大綱で法人税減税初年度4500億円、平年度6000億円の方針を決めた。経済成長を支援するためだと言う。だが、上場企業の3分の1は無借金で金がじゃぶじゃぶだ。そこに金を上積みして、どうしようと言うのか。
企業業績が絶好調なら、本来、還元すべきは、企業から雇用者への報酬のはずだが、こちらのルートは目詰まりのままだ。その家計に対しては、定率減税の廃止が決まっている。そうなると、余裕の企業に対する減税と苦しい家計への増税という奇妙な組み合わせになる。
安倍政権は「成長部門の強化」というレトリックを使っているが、「企業減税を優先すれば税収が増える」というおまじないは、米レーガン政権で登場した「ラッファー曲線」を思い起こさせる。1980年代前半、レーガンは供給サイドの経済学を唱えるラッファーの口車に乗り、企業減税を繰り返した結果、後々財政赤字の拡大に苦しんだ。レーガンの負の遺産を継いだ父ブッシュは、供給サイド経済学を「ブードゥー経済学」と言って忌み嫌ったのだ。
財政赤字も「高成長が達成されれば」ほとんど消える、といいことずくめ。肝心なのはどうすれば高成長を達成できるかだが、それについては「政府が旗をふるからイノベーションは成功する」と言うのみだ。信じるものは救われる。まさしく「ブードゥー」であり、天国のシュンペーターも首をかしげているに違いない。 (週刊東洋経済1/13日号より)

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山谷えり子安倍内閣教育再生特別補佐官 「日本の教育改革はサッチャーに学べ」

サッチャー政権は落ちぶれていく英国経済を食い止めようと、同時に彼女個人の名声のために、国家予算を産業や金融の方へ注ぎ込んだ。それはあくまで、産業の上に立つ者、ビジネスの上に立つ者を助けるためであって、彼女にとって、労働者階級なんか眼中になかった。社会や国家の末端の機能が円滑に動かなければ、経済全体が円滑に機能しないことを、この女性首相は学ばなかったらしい。人件費を削ること、人格の土台である教育費を削ること、あらゆる働く場所を削ることで、英国経済の立て直しを試みようとして貧富の差を拡大し、結局は、無能で、犯罪者の増大する国家を作ってしまった。
― その後、労働党のトニー・ブレアが「education education education」と訴え、登場する。 (『イギリス人はおかしい』高尾慶子著より)

統一教会だけではなく、ブードゥー教や、サッチャー教にも我が国の政治は侵食されている。
日本は大変な状態である。