deodorant CITY

2006年04月15日 | Weblog
英和辞典 [ deodorant ]の前方一致での検索結果 1件

de・o・dor・ant
━━ a., n.防臭の; ...

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日本を訪れた外国人が感歎することがある。デパートやホテルなどのトイレの清潔さとハイテクの塊とも言えるウォシュレットの存在だ。また、日本人は清潔好きで、現在、スーパーやコンビ二等にもあらゆる殺菌剤や消臭剤が売られている。春から夏にかけてそういう商品のCMも大量に流される。
臭うものを嫌い、異物を隠すことに血なまこになっているかのようだ。

先日、東京高裁は、オウム真理教麻原彰晃被告に訴訟能力があると判断し、弁護側が期限内に控訴趣意書を提出していないことを理由に、控訴を棄却した。2004年の一審での死刑判決が確定する公算が大きくなった。多分、裁判所は麻原に新しい何かを語らせるより、なるべく早く、彼をくびき殺したいのだろう。そして、多くの人間がそれで当然だと思っている。麻原という悪臭を放つ異物をなるべく早く消し去り、この世を臭いのしない清潔な状態にしたいと思っている。今、麻原の死刑執行に反対する意見を述べることには勇気がいる。かてて加えて、麻原の子供が小学校へ入学することを自治体から拒否されたり、入試に合格しても大学当局が入学を拒否することもあたかも当然だという世間の雰囲気さえある。本来なら、例え、親が犯罪者であろうが、その子供には何の罪も無く、教育を受ける権利がある。それが法の下の平等であり、近代主義であるはずだ。
しかし、現実には、悪臭を放っていた麻原の子供もきっと悪臭を放つだろうと決め付け、その存在を消臭したくてたまらない、そんな世の中に私たちは、今住んでいないか。

先月には、橋の下で暮らしていた60歳の男性ホームレスを10代の少年たちが焼き殺すと言う痛ましい事件があった。彼ら自身が地域や、学校で異臭を放つ異物として扱われていたのだろうか。そして、自分たちより、さらに異臭を放つ存在としてのホームレスを焼き殺したのだろうか。人が人を異物として消臭する。人が人を異物として抹殺する。

昨年、郵政民営化に反対した人は異物であるかのように扱われた。
2003年、イラクをボランティアとして訪れた人間は異物としてバッシングされた。
来年、教育現場で愛国心を教えない教師は異物として、消し去られるだろう。
いずれ憲法改正に反対する人間も異端児扱いされる時代が来るかもしれない。

私たちは、そんな街に、国に住んでいる。
deodorant CITY
それをファシズムの入り口と言えば言いすぎだろうか。