御用学者

2006年02月05日 | Weblog
水俣病の第一号患者が発症したのは、正式には昭和31年であるとされている。戦前ではなかったかと言う説もあるぐらいだ。当時、チッソの排出した有機水銀がその原因であると最初に発見し、発表したのは、地元熊本大学医学部の研究チームで、昭和34年のことである。同じ年の11月12日、厚生省食品衛生調査会常任委員会は水俣病の原因は魚介類に含まれる有機水銀であるとの結論を厚生大臣に答申している。そして、政府は、なんと翌日に委員会を解散させている。その代わりにアミン説を主張する清浦東工大教授など、チッソの排水原因説を否定するメンバーによる水俣病研究連絡協議会という別組織をわざわざ作っている。(後に解散)。 しかも、同じ昭和34年にチッソ付属病院の細川教授が工場の排水をネコに与えて、水俣病と同じ症状を確認したが、その事実は、政府が水俣病の原因がチッソの工場廃液であると正式に認める昭和43年まで伏せられていた。第一号患者の発生から、実に12年の月日が経っていたのだ。

           

― 米国のBSE対策をどう見るか。
「米国は飼料に対する規制が不完全なままだ。畜産国を自任するのなら、なぜ
 飼料規制を徹底してBSEを完全に駆逐する努力をしないのか理解できない
 。食の安全を第一に考えるのなら、真剣にやるはずだ。米国にはプリオンの
 専門家がたくさんいる。しかし、BSE対策の専門家会議に出てくるのは、
 最近、プリオンの分野に参入してきたような畑違いの人間ばかりで不思議
 だ。」
― 米国産牛肉は安全と言っていいのか。
「分からない。・・・略・・・感染者が出ても5年や10年はまったく分からない。
 感染者が発症して問題が顕在化するのは数十年先。今、安全だと言っている。無責任に何でも言える。」
― あなた自身は米国産牛肉を食べるか。
「私の年齢では感染しても発症するまで生きていないだろうから食べても平気
 だ。状況を理解した上で食べたい人は食べればいい。」
― あなたは食品安全委員会プリオン専門調査会の委員だが、一年以上前から
  審議の欠席を続けている。なぜか。
「初めから輸入再開の結論が決まっており、誰かが決めた筋道通りに物事が進めら
 れていくと感じた。意見を言っても反映されず、出席する意味がない。科学的議
 論をする場のはずなのに、安全委の委員の中には科学者ではなく食肉業界の代表のような人もいる。BSE問題に関する限り、信頼される機関になるには組織を
解体してゼロから出直すしかない。」

1月18日の地元紙による品川森一氏(前動物衛生研究所プリオン病研究センター長)へのインタビュー記事より。

          

この国の政府は学ぶことを知らないのか。
熊本県が認定が必要としている水俣病患者数は、2004年度で3万4千人。政府が正式に認定しているのは、わずか2000人である。