「正札附根元草摺」
右近丈の五郎と笑三郎丈の舞鶴がいい形で二畳台に乗って登場する。
五月人形のように若々しく力強い五郎の右近丈が復帰されてなにより!
笑三郎丈の舞鶴もクドキはしっぽりとみせてくれて
五郎との引き合いも錦絵のような古風な佇まいで
お二人とも初役とのことであるが、きっちりとした品格が好ましかった。
「通し狂言 夏祭浪花鑑」
海老蔵丈の団七を拝見するのは3度目だが、昨年と比べても格段に進化していて
近い将来、団七といえば海老蔵丈で観たい!となることを予感させられた。
と同時に団七が海老蔵丈なら義平次は中車丈でということにもなりそう。
とにかくお二人のイキが合っていてすごく良かった。
本水を使っての長町裏の場、
ざんばら髪に緋の褌姿、背中の彫り物が不動明王の海老蔵丈がただただ美しい!
中車丈の義平次もこの方ならではという独特の味わいがある!
私はこの「夏祭浪花鑑」、釣舟三婦のかっこいいじいさんキャラに惚れている。
左團次丈の三婦は包容力と色気があって、女房おつぎの右之助丈もその三婦に心底惚れぬいている感じが良く出ている。
高齢者になっても柄は違うが総絞りの浴衣でおそろいなんてうらやましい限り(笑)
琴浦の右近丈が惚れ惚れするくらいきれい!
また磯之丞の門之助丈がつっころばしを見事に演じていてさすが!
そして何と言っても吉弥丈のお梶が絶品!
世話女房でも色気があって、なにより男伊達の妻である気質がみえる。
ちょっと心配になったのはお辰の玉三郎丈
お辰の気概が伝わってこなかった。
お疲れが出ておられるのではないか???
昼夜のご出演に加えて、さぞかし熱心に後進の指導にあたられていらっしゃるのでは?
玉三郎丈の薫陶よろしく、昼の部の全体の芝居がとても締まっていて良いのでそんな印象をもった。
鱸の洗いは久しぶりで堪能させてもらった。