『令和の民俗学』汐留一郎

日本のグランドデザインを考える

東西の王国 四国と陸奥

2018-06-28 10:27:01 | 日記
岩手県の面積は四国四県に匹敵する。
どちらも山深いが山海の珍味が豊富で
自然環境豊かな土地である。

四国程の地域の多様性はないが岩手も
独立国のような挙措を垣間見る事がある。

人口減、過疎に悩ませる土地であるが、
その民度の高さは東日本大震災で証明される
ことになった。

四国の住民も同様で威勢のいい本土連中を嫌って
大学は高知から愛媛大学に進学するなど
島内で完結する場合も少なくない。

島嶼諸島なら進学を希望すれば
島を離れるのだが
四国には国としてのボリュームがあり
人を留まらせる魅力がある。
それはホッとするとか安堵の気持ちとか
17〜18歳特有の複雑な心情かもしれない。

そしてそれは教養がある、金儲けがうまいとかいう
現代の基準から判断されるのではなく
ひとの素直さに由来するものかと思う。

井伏鱒二の最高傑作と言われる
「へんろう宿」
遍路を宿泊させる宿で宿主が
親の無い子どもの面倒をみているという
短編であるが情感豊かで読後
心が暖かくなる小説である。

明治以来、四国は台湾に帝国大学が出来ても
四国には無く
国防という地政学的な視点からも
置いてきぼりにされ遅れた土地と見られていた。

しかし、弘法大師が山野を跋渉した時代より
1000年以上、全国から人が集まり
それにより各国の文化がもたらされ
民衆レベルで住民を成長させる事になった。

実は四国は瀬戸内海の島伝いだけではなく
紀伊の国や宇和から豊後と船便でも
アクセスはそう難しいものでなく
我々の先入観からは気付かない文化の
つまりは人の交流があったのである。

最新の画像もっと見る