『令和の民俗学』汐留一郎

日本のグランドデザインを考える

帰天

2021-02-28 21:04:00 | 日記
2020年5月20日 イエズス会総長であったアドロフォニコラス神父が昇天したという。ミサはコロナ禍により関係者のみで行われYouTubeで配信された。

イエズス会では深い信仰と実践、いかなる職種も理解できる広い教養が必要とされ、多国籍の言語が必須。司祭なら神学と哲学の学究が求められる。

アドルフォニコラス神父やって来た日本という国、太平洋戦争で敗戦国となり日本人が新しい世界観を渇望した時代、神父は使命感を持ち来日する。
上智大学で教鞭を取る時間、日本は高度経済成長を経験し一区切りついた所で、彼はその軸足をフィリピンに移す。その後も日本に基盤を置くが、発展途上国から来日した移民への対応に尽力している。1998年には教皇庁と対立、喧嘩もできる人物でもある。


日本が戦後焼け野原となり、餓死者が出るような時代、強い使命感を持ち最果ての国へやってきた。どんな気持ちであったであろうか。
航空運賃はバカ高く、エアメールが通信手段の主役であった時代。
その後、日本は高度経済成長、バブル期を経験するのだが、この国をどのように見つめ続けたであろうか。
「最近は国が安定し豊かになった日本にはお願いしてもあまり来てくれない。やはりもっと困った国に行ってしまうようだ」

振り返ればイエズス会の総長まで務めたニコラス神父に薫陶を受けた主に上智大学の学生は幸運であったと思う。人は出来る事なら感受性豊かな10代のうちに当代一流の人物に接していただきたい。その後の人生のスタンダードになる。なかには覚醒し大いに成長する人物もいたりする。

邂逅、一期一会か元より決定されていた出逢いか。神のみぞ如ることではあるが、誰もがその出逢いを大切にしていただきたいと思う。

ニコラス司祭、おそらく日本に来た最後の大物宣教師。フランシスコザビエルより始まるひとつの到達点。



最新の画像もっと見る