旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

夏がくれば 思い出す ♪

2021-06-02 | 日記・エッセイ・コラム

 昭和の時代、信州の子どもたちの最大のイベントは海水浴だった。
吞み人が育った長野市から直江津までは75キロ、もちろん上信越道も北陸新幹線もなかったからね。
電気機関車が牽くすし詰めの客車列車で信越線を2時間半揺られる。
或いは、父の運転するコロナでR18を往くなら、果てしない渋滞に我慢する。憧れの海は遠かったのだ。

県境を越えると行程も半ば、左手に仰ぎ見るように妙高山(2,454 m)が夏の雲を突き抜けて聳えている。
列車のときは "冷凍みかん" を頬張りながら、車のときは "焼きとうもろこし" をかじりながら見上げたっけ。
海水浴の思い出に山?って不思議に思うでしょう、でも賛同いただける同郷の方、多いんじゃないかな。

さて、直江津からは北陸線に乗り換える。あの頃はまだ蒸気機関車。車なら左折してR18からR8へ。
西へ転じると北陸線もR8もほどなく谷浜海岸へ抜ける郷津のトンネルに潜り込む。
はるか遠くに感じる出口の光点が次第に大きくなる、っと少年の期待ははち切れんばかりに膨らむ。
一瞬、フラッシュを焚かれたように目が眩む、窓から潮の香りがなだれ込む、青がキラり煌めくのだ。

シンデレラサマー / 石川優子 1981
     



最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (miyukiroku)
2021-06-02 20:24:26
こんばんは
フォローありがとうございます。
旅の話などがいいなぁとご訪問させていただいてます。
うちは、日々の暮らしが多いブログですが
またどうぞよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (呑み人)
2021-06-02 21:25:41
@miyukiroku みゆきろく 様
メッセージありがとうございます。
何気ない風景、空、花の写真、ステキですね。
癒されています。
返信する
kencyanです、 (knsw0805)
2021-06-03 06:32:58
呑み人さん、おはようございます、長野市ご出身ですか?長野県は温暖の差が激しいですが、素晴らしいところですね。まさか移住して住むとは思ってなかったですが、良いところです。
返信する
Unknown (呑み人)
2021-06-04 19:54:44
@knsw0805 kencyan さん、こんばんは。
今頃の信州はいいですね。
先日、軽井沢を走りました。
後日、書いてみようと思います。
返信する
夏が来れば思い出す♪ (顎鬚仙人)
2021-06-12 10:23:52
いつも小粋な文と写真を、つば飲み込みながら拝見させていただいております。
私が育ったのは太平洋沿岸でしたが、生まれたのは母の実家の佐久でした。小学生の夏休みは、常磐線と信越線をほぼ一日かけて乗り継ぎやってきた信州の夏は、涼しく楽しい思い出をいっぱい残してくれました。毎年のことなので佐久でも友達ができ、浅間の噴煙を見ながら夢中で遊んだことを思い出しました。もう70年も前の話になってしまいましたが。
返信する
Unknown (呑み人)
2021-06-12 12:24:46
顎鬚仙人 様
こんにちは。ステキな夏の思い出ですね。
川遊びをしたり、カブト虫やクワガタを採ったり、
そんな従兄弟さんやお友達はお元気でしょうか。
コメントありがとうございます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。