旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

中山道紀行25 福島宿~上松宿~倉本集落

2013-08-29 | 中山道紀行

「福島宿」 09:00
 福島関所から第25日目をスタート、谷間の木曽福島は残暑厳しい中にも川風で涼しい。
福島宿の中心、上町商店街には旧い遺構は少ない。本陣跡には木曽町支所が建っている。

本陣跡近くに木曽の銘酒七笑酒造、酒蔵は街道筋の華だ。
この先左手に折れて坂を登ると、街道情緒残る上ノ段地区となる。

袖卯建や千本格子の家、なまこ壁の蔵、用水や水場、上ノ段地区は宿場の面影を留める。

通り過ぎた宿場との違いは、レストランやビストロなどビジネスに利用されている点だ。

左右左左右と直角に折れ、最後に深い沢を渡る、なんとも込み入った宿場の出入口。

「御嶽遥拝所」 10:30
 福島宿を出ると再び深い谷、R19と中央本線だけが木曽川に連れ添って蛇行していく。
途中中山道は旧道となってR19を左手に離れ、山中に入ると御嶽遥拝所が現れる。

谷底を行く中山道だから、木曽路で御嶽山を拝するのは鳥居峠を除くとここだけだ。
なるほど支流の谷がちょうど御嶽山の頂の方向に切れ込んでいる訳だ。
西からの旅人はここを目的地として御嶽山参りとしたそうだ。

「木曽の桟」 11:00
 沓掛一里塚跡を過ぎ、木曽川の谷が狭隘になった場所に木曽の桟が残る。
断崖絶壁で命懸けの難所であったこの地に、尾張藩が石垣を築き桟橋をかけた木曽の桟。
対岸からこの名残の石垣を望む。「桟や命をからむ蔦かづら」と芭蕉の句碑が建つ。

「上松宿」 11:40
 2km程R19を進めてから右へと旧道を入ると上松市街地。上松宿は十王橋が北入口だ。

 

江戸方の枡方を左に折れると出桁造りの民家が何軒か並び、宿場町の面影を残している。
とは言え、本陣跡・脇本陣跡は見つからない。

立派な山門を構える王林院の並び辺りなのだが。京方の枡方近くに上松一里塚跡が残る。

「寝覚め床」 12:30~14:00
 寝覚集落には古びた越前屋旅館と民宿たせやが並ぶ。立場茶屋であったところだ。
この2軒の間を下っていくと名勝寝覚の床に出る。

 

越前屋旅館は名物寿命そばで有名だったそうだ。
「そば白く、薬味は青く入れ物は、赤いせいろに黄なる黒文字」十返舎一九が謳っている。
越前屋はR19沿いに新しい店を出している。 "寿命そば" と "五平餅" が美味しい。

寝覚の床は巨大な花崗岩が木曽川の激流に刻まれてできた自然の彫刻で、
木曽八景に数えられる景勝地だ。

「小野の滝」 14:30
 寝覚の床を過ぎて暫くすると中央本線の鉄橋下に、これまた木曽八景のひとつ小野の滝。
安藤広重の上松宿には、この滝が描かれている。

 

R19を木曽川に沿って南下する。木曽の谷は深い。
頭上で木立ちがカサカサすると思ったら猿の親子が木々を渡って遊んでいた。
小野の滝から程なく荻原集落に入る。集落への登り口に荻原一里塚跡がある。

  

「倉本集落」 15:30
 荻原、立町の集落を過ぎて南下する。対岸へ渡る吊り橋も現役の静かな谷間の風景だ。
上松宿から次の須原宿までは12.6kmと長い。便宜上JR駅のある倉本集落をゴールとする。 
「福島宿」から「上松宿」を経て倉本集落までは17.6kmの距離。
福島宿内と寝覚の床に長居をした関係で、約6時間30分の行程となった。



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