旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

梅の香漂うときわ路を往く 常磐線を完乗!

2020-03-28 | 呑み鉄放浪記

 東北地方太平洋沖地震から9年の歳月を経て、3月14日、常磐線が全線開通した。祝。
復旧の翌週、梅の香にも誘われて、ときわ路いわき路を吞み抜けることにした。

早朝のちょっと肌寒い上野駅、霞がかかったような青空が春を実感させます。

常磐線の起点は日暮里、東北本線から分岐して岩沼で再び合流するまでの343kmを往く。
07:02発の331Mはガラガラ、休日だからか、昨今の事情によるものだろうか。

グリーン車のテーブルを下ろして朝の "一番搾り" を愉しむ。
"えちご舞茸の彩り弁当" って名前だったかな?重いっぱいの野菜たちが肴に良さそうだ。

 徳川斉昭によって創建された「偕楽園」はご存知のとおり梅の庭園として知られる。
なんと100種、3,000本の梅が少しづつ時期をずらしながら訪れる人の目を楽しませます。

何が云いたいかって、映した梅花の種類がまったく分かっていないってこと。
それでも可憐な花弁を点けた枝を眺めながら歩くだけで、なんだか心洗われる様だ。

 梅まつり期間の土日祝日、下り電車だけが停車する偕楽園駅からひとつ先の水戸へ。

短い乗り換え時間だけれど、水戸の御老公にはご挨拶しなければと途中下車してみる。
それにしても、ペデストリアンデッキから見渡す水戸駅前は寂しいことになっている。

 水戸からいわきへ向かう2番手ランナーはなんと10編成、こんなに需要があるのか。
この間約1時間30分、車窓に太平洋が広がるのかと思いきや、意外と野の中山の中。

 県境を挟んで磯原海岸と勿来海岸を眺め、常磐炭鉱後を擦り抜けたらほどなくいわき。
駅前から真っすぐ南へ4ブロック進むと、築150年の古民家に卯建が上がっている。
今日は天井を支える梁が見事な「旬菜厨房だんだん」の掘りこたつ席で一杯です。

天栄村は松崎酒造の "特別純米廣戸川" は、福島県産の酒造好適米・夢の香で醸す。
ふんわり優しいバナナのような香り、すっきりした飲み口は食中酒に最適だね。
海鮮丼にのった新鮮な刺身と、天ぷらを肴にゆっくりと愉しみたい。

〆に程よく冷えたコシのある蕎麦をズズっと啜った頃、いわき行き675Mの発車10分前。

小走りに駅に戻って、上野東京ラインでもお目に掛かれるタイプの5両編成に乗車。
いよいよこの先、故郷を離れていた方々や関係者が待望していた復旧区間になる。

富岡駅からは太平洋が望める。そして忙しく動き回る大型ダンプと重機たち。
今も槌音響く防潮堤が完成すると、ここから海は見えなくなるかもしれない。
大野、双葉辺りでは、車窓から見える人の気配がしない家々に心が痛む。

 壮大な「相馬野馬追」が繰り広げられる原ノ町には、仙台から2両編成が迎えに来た。
馴染みのない、緑と赤のラインが鮮やかな車両がこの旅のアンカーを担ってくれる。

快適に飛ばして1時間、岩沼で東北本線と合流し、梅香に誘われた常磐線の旅は終わる。
吞み人をホームに残し、列車はこのまま杜の都仙台までもうひと走り旅を続ける。

常磐線 日暮里~岩沼 343.1km 完乗

ビューティフル エネルギー / 甲斐バンド 1980



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。