"蒼旻 (そうびん) ハ遥カニ緬 (とお) ク、人事ハ已ムナシ。
感アリ昧アリ。
疇 (たれ) カ其の理ヲ測ラン ー "
ー つまりそれこそが人間に宿命づけられた "葛藤" というべきか。
そう言って淵明は長嘆息し、さらに重ねて嘆息。そして語った。
「魂なんかいなければ、もしくはその影響力がもっと低ければ、わしらはもっと気楽に生物として存在していられたかもしれん。
牛や豚や、犬や猫のようにな。
古今東西、あらゆる支配者、王、独裁者、権力者たちが幾たびも強大な支配力でもって人間の集団を縛ろうとしてきた ー だが、誰一人として "魂" まで拘束する事には未だ成功していない。
"今" の世界の支配者は随分賢くて、その事を強権ではなく、心の操作の研究から進めて実現させようとしているようじゃが、まあ難しいだろう。
なぜなら魂の働きは "心" の働きの範囲外にある故 ー 。」
"心" があっ、と叫んだ。
「なるほど、やはりそういう事なんだろうか。我が活動範囲にあると思われる反応の中で、どうにも身に覚えのない質のモノがあって、その扱いばかりは手に負えぬと ー 半ば諦めておった次第でしたが、今ようやく氷解した心地がする…
ああ、だとすれば!
さきほどその子 ー "感覚" が言っていた言葉もそういう事か!」
「なんじゃ?」
「いえ、貴方が顕われる少し前、その子がその兄 ー "直感" の言葉を話してくれたのです。
彼の兄の曰く、身体と心はある範囲から急に乖離する ー と。」
「ほう。」
「そう、その話は中途になっていて私も気になっていた。だとすれば ー とはどういう事か?ご説明願えまいか。」
"意識" が "心" に請うた。
「いや、ここは "形" に語って貰った方が話が早いかもしれん。形よ、如何。」
「さん候…。」
左様ですな ー 形はそういう意味の事を言った。
天の理は奥深くて窺い知れない。
俗世はとりとめもない。
わかる事わからぬ事あり。
誰にその原理が推し量れようか。
「感士不遇賦并序」より。
感アリ昧アリ。
疇 (たれ) カ其の理ヲ測ラン ー "
ー つまりそれこそが人間に宿命づけられた "葛藤" というべきか。
そう言って淵明は長嘆息し、さらに重ねて嘆息。そして語った。
「魂なんかいなければ、もしくはその影響力がもっと低ければ、わしらはもっと気楽に生物として存在していられたかもしれん。
牛や豚や、犬や猫のようにな。
古今東西、あらゆる支配者、王、独裁者、権力者たちが幾たびも強大な支配力でもって人間の集団を縛ろうとしてきた ー だが、誰一人として "魂" まで拘束する事には未だ成功していない。
"今" の世界の支配者は随分賢くて、その事を強権ではなく、心の操作の研究から進めて実現させようとしているようじゃが、まあ難しいだろう。
なぜなら魂の働きは "心" の働きの範囲外にある故 ー 。」
"心" があっ、と叫んだ。
「なるほど、やはりそういう事なんだろうか。我が活動範囲にあると思われる反応の中で、どうにも身に覚えのない質のモノがあって、その扱いばかりは手に負えぬと ー 半ば諦めておった次第でしたが、今ようやく氷解した心地がする…
ああ、だとすれば!
さきほどその子 ー "感覚" が言っていた言葉もそういう事か!」
「なんじゃ?」
「いえ、貴方が顕われる少し前、その子がその兄 ー "直感" の言葉を話してくれたのです。
彼の兄の曰く、身体と心はある範囲から急に乖離する ー と。」
「ほう。」
「そう、その話は中途になっていて私も気になっていた。だとすれば ー とはどういう事か?ご説明願えまいか。」
"意識" が "心" に請うた。
「いや、ここは "形" に語って貰った方が話が早いかもしれん。形よ、如何。」
「さん候…。」
左様ですな ー 形はそういう意味の事を言った。
天の理は奥深くて窺い知れない。
俗世はとりとめもない。
わかる事わからぬ事あり。
誰にその原理が推し量れようか。
「感士不遇賦并序」より。
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