思考の踏み込み

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前田智徳7

2014-08-04 00:59:26 | 
だが前田智徳はけしてただの近寄り難くて怖い変人などではない。
(広島で育てられ、後にヤンキースでレギュラーにまでなったソリアーノは前田と緒方はおっかなかったと語っていたが…。)



前田はむしろ感情が豊かで責任感が強く、大の甘いモノ好きで、恥ずかしがり屋、そしてお茶目な一面さえある人物である。
(前田はかなりスウィーツ大好きらしく、一時食べ過ぎて奥さんに制限させられたらしい。)



その人間性の一面は92年9月の、有名なエピソードからよくわかる。
有名過ぎる話だが、やはり触れないわけにはいくまい。

その日の先発はチームの大先輩、北別府学。北別府は200勝まであと2つというところまで迫っていた。

"精密機械" 北別府学。シヴい。


1ー0でカープリードの5回裏、前田は守備上の一瞬の判断を誤り、相手にランニングホームランを献上してしまう。
結果はエラーではなかった。
それほど難しい打球だった。

しかし前田にとっては取り返しのつかないミスであった。
大記録を目前にした広島一筋の大投手から勝ちを奪った、そう前田は考えた。

8回表、前田はそれを帳消しにする勝ち越しツーランを放つが北別府に勝ちは付かなかった。

前田は涙を流しながら、ダイヤモンドを一周した。



そして試合後のヒーローインタビューで呼ばれた前田。

だが "自分にその資格はない" と言ってインタビューを拒否。
当然テレビのアナウンサーは狼狽した。
解説の掛布はそのホームランに鳥肌がたったと言った ー 。


こんなに "カッコイイ" 選手は今後果たして出てくるだろうか。


後日、前田はその "涙" の理由について語っている。

「ミスを取り返すべき、6回の打席で自分は凡退した。そのコトに腹が立って泣いたんです。最後にホームランを打ったところで自分のミスは消えない。」

「あの日、自分は負けたんです。」

これほど ー 自分の感情に素直で、それでいてこれほどに己に厳しい男もいまい。そしてこれほどに愛すべき選手はいない。








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