IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

予想通りの勝利

2005-02-23 15:57:25 | ニュース
昨日の公約(?)どおり、不眠症に悩まされながらも夕方になって自宅近くのスポーツバーに直行した。もちろん、欧州チャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン対アーセナルの試合を見るためである。俳優のケビンコスナーやウサマ・ビンラディンを含む世界中のアーセナルファンには申し訳ないが、イングランドでしか勝てない「井の中の蛙」にバイエルンが負けるとはこれっぽっちも思っていなかった。イングランドのビッグチームとしては少ない予算をやりくりして有能な若手選手を買い集めたベンゲル監督のマネージメントには尊敬の念さえ抱くけど、それでも負ける気は一切しなかった。仕事のためライブでは見れなかったのだが、ホームでの3-1の勝利には凄く喜んでいる。2週間後にロンドンで行われるアウェーだって、普段どおりにやれば問題は無いだろう。

今日の試合、左サイドバックにフランス人のビシェンテ・リザラスの姿があった。1年前にバイエルンを退団したこのベテラン選手はフランスのマルセイユに移籍したが、新しく監督に就任したフィリップ・トルシエとそりが合わず、最近になってバイエルンに復帰していた。会った事が無いので何とも言えないが、僕のイメージの中でトルシエは権威主義の塊にしか見えず、リザラスがそういった事を一番嫌う選手である事も興味深い。過去にはバイエルンのロッカールームで絶対的なリーダーであったローター・マテウスを殴った事もあれば、ほとんどのバスク系選手が過激派に対して払っていた「革命税」を拒否した事でも知られる。趣味以上の腕前を持つサーフィンの影響か、ボヘミアン的生き方を実践するリザラスとトルシエは水と油のような関係だったのかもしれない。

年齢を考えれば、リザラスの現役生活の終焉はすでにカウントダウンが始まっているんだろうけど、最後の最後までリザラスらしさを出し続けて欲しい。できる事ならバイエルンで現役生活を終えて欲しいぐらいだが、それは本人やコーチの考える事。僕はこれからも、2年前と変わることなくリザラスのプレーを楽しみたいと思ってる。何人かのベテラン選手が抜け、新しい選手がピッチで自分をアピールしようとする姿を見ていると、バイエルンのハングリーさは本質的には変わっていないことに気が付く。10年前にはベッカム以上の人気者だったメメット・ショルの薄くなった頭部を見ると、時代の流れを感じずにはいられないものの、バイエルンにはこれからも汗臭さが伝わってくるような演歌系フットボールを続けてほしい。

いきなりのニュースで僕もビックリしたのだが、ブッシュを狙ったテロ計画があったらしい。サウジアラビアで拘束されていたアメリカ人男性が22日にバージニア州アレキサンドリアの地方裁判所に出廷し、ブッシュ大統領暗殺計画に加担した容疑で正式に起訴された。ワシントン近郊のフォールスチャーチに住む23歳のアーメッド・アブ・アリは、ブッシュ大統領暗殺計画を企てた事や、テロリストへの援助など6件で起訴されており、有罪が確定した場合には最長で80年の懲役刑に科せられる可能性がある。

現時点で、アブ・アリ容疑者の保釈は認められていない。アブ・アリ容疑者はテロリストである疑いをかけられて、最近まで20ヶ月にわたりサウジアラビア当局に拘束されていた。法廷にはアブ・アリ容疑者の無罪を主張する弁護士や支持者ら40人の姿もあった。アブ・アリ容疑者の弁護士をつとめるエドーワード・マクマホン氏はメディアの取材に対して、公正な裁判でアブ・アリ容疑者の無罪を証明したいとコメントしている。アメリカ政府の調べでは、アブ・アリ容疑者は2002年9月から2003年6月の間、仲間達とブッシュ大統領の暗殺計画を練っていた模様で、路上で大統領を銃撃するか自動車爆弾を用いるかといった細かな部分まで計画は進んでいたのだという。

この時期、アブ・アリ容疑者はサウジアラビアに滞在しており、現地の仲間に対してアルカイダへの興味を語っていたとされる。彼のサウジアラビア滞在中の住まいの提供者が、実はアルカイダと密接な関係があったとも政府は指摘している。2003年6月、捜査当局はフォールスチャーチにある容疑者の自宅を家宅捜索しており、その際にはアルカイダ幹部が書いた本やキリスト教徒らに対する聖戦を唱えたビデオテープなどが押収されている。アブ・アリ容疑者は2003年5月にサウジアラビアのリヤドで発生した爆弾テロ事件の容疑者の1人として逮捕されているが、彼の家族はアメリカがサウジ当局に身柄の拘束を依頼したと主張しており、アブ・アリ容疑者の扱いを巡り家族とアメリカ政府の間では裁判沙汰が起きている。また、アブ・アリ容疑者がサウジアラビア拘束されている期間中、頻繁に拷問を受けていたという情報もある。

以前にも紹介したサマーズ学長に関する話のフォローアップ。ハーバード大学のローレンス・サマーズ学長による先月の女性蔑視発言は、他の大学の女性教授らを激怒させるものであったが、最近になって今まで沈黙を貫いていたハーバード大学の教職員らからも辞任を求める声があがりはじめている。ボストンで先月開かれたセミナーで、サマーズ学長は理数系の分野に女性教授の数が少ないのは遺伝的な問題かもしれないと発言し、憤慨した女性教授らがセミナーを退席する一幕もあった。

学術界、メディアともに発言を問題視したため、サマーズ学長はセミナーのトランスクリプト公開に同意したが、ハーバード大学の一部の教授らはサマーズ学長に対する不信任投票の実施も計画しており、事態が収集する気配は全く無い。サマーズ学長は公式の場ですでに何度も謝罪を行っているが、ハーバード大学にある学生新聞「ハーバード・クリムゾン」が行った調査では、アンケートに協力した280名の教職員の32パーセントが学長の辞任を強く求めている。また38パーセントの回答者が、投票が行われれば「不信任」を選ぶだろうと答えている。

サマーズ学長は火曜日に500人の教職員らと2時間にわたる話し合いを行い、現時点での不信任投票は回避された模様だ。しかし、3月15日には再び同様の会合が予定されており、ここで不信任投票が実施される可能性も消えてはいない。会合が開かれた校舎の周りでは学長の辞任を求める学生らがプラカードを手にしてデモを行っている。サマーズ学長の辞任を求める声が強い中、ハーバード大学の同窓会メンバーらは学長の支持を表明し、メールで支持を訴える署名活動を展開している。またサマーズ学長は理事会からの支持も得ているとされ、学長の辞任を巡る騒ぎは少し複雑化しそうな気配もある。

サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手が記者会見を開いて、常日頃から噂されているステロイドなどの薬物使用を否定している。過去にサンフランシスコの新聞が、ボンズが連邦大陪審で薬物を「知らずに」服用したと証言したと報じているが、ボンズは否定している。ロイター通信によると、何度も繰り返される薬物疑惑の質問に対して、「なんで同じ事を何回も聞くんだ」と苛立ちを露にする光景も見られたのだという。さらに、自分が黒人だから疑惑の対象になりやすいとの持論を展開したそうだが、僕は彼が薬物を使っていない事を本当に祈っている。人種カードを切り出したボンズに薬物の陽性反応がでた場合、必ず人種間のしこりってやつが出てくるからだ。好きな選手ではないけど、薬物を使っていない事を祈らずにはいられない。