特に理由もなく髪の毛をバッサリと切ってしまった。美容室に行ってから、「今日もいつもぐらいですか?」と聞かれ、その瞬間に、本当に文字通り衝動的に、「今日は短くしちゃおうかな」と口からポロリと出てしまったのだ。今は巨人の清原選手くらい短くなってしまった頭部を触りながら、「やっぱり少し早かったかな…」と後悔している状態。昼間は友人とサッカーの練習に行ったのだが、気温1度の中を坊主頭で動き回るのはやはり辛かった。日曜日はニット帽をかぶって外出する事にシマス。
金曜日は終電前に帰宅して、いつものようにブログでもと思っていたんだけど、ついつい映画を見てしまった。特に期待していたわけでも無いんだが、午前1時頃からブラッド・ピット主演の「トロイ」を見始め、映画が終わったのは3時半頃だった。結論から言うと、期待していたよりは楽しめたのだが、最後の最後でオーランド・ブルームがルール違反の活躍ぶりを披露したのに少し幻滅。あれが無ければ、かなりいい作品だったと思うんだけどなぁ。しかし、キャストは本当に凄かったね。ブラッド・ピットやオーランド・ブルームよりも、キャストのチョイスを凄く楽しみながら見ていた。
映画の中でオーランド・ブルームの兄ヘクターを演じたオーストラリア出身の俳優エリック・バナなんだけど、「ブラック・ホーク・ダウン」で彼を見て以来、僕は彼の虜になってしまい、次回作はまだかと首を長くして待っている。彼が主演した「ハルク」はさすがに見る気がしないんだけど、来年公開予定のスピルバーグ監督の映画(なんでもミュンヘン・オリンピックで発生したイスラエル人選手団殺害事件がテーマになるのだとか)には期待している。数ヶ月前、彼が主演した「チョッパー」というオーストラリア映画を見たんだが、実在する殺人犯マーク・“チョッパー”・リードを演じるために25キロも体重を増やしたという彼の演技はなかなかのもので、これから本格的にブレイクする俳優なのではないだろうか。
ショーン・ビーンやブライアン・コックスといった英国系俳優陣が、脇役ながらも非常にシブい演技を披露していたんだが、僕の一番の驚きはピーター・オトゥールを久方振りに発見した事かな。「ラスト・エンペラー」と長崎オランダ村のCMの印象が強いオトゥールなんだけど、本当に彼を映画の中で見たのは10年ぶりくらいだったので(実際は、多くの映画に出演しているようで、僕が単にそれを知らなかっただけなんだが)、道端で1万円札を拾ったかのような妙にラッキーな気分に浸っていた。「トロイ」をめぐる評価は僕の友人の間でも二分しているんだけど、全体的にはよく出来た映画じゃなかったかなと思う。まだ見て無い方は、ぜひ一度。
今日の「ボストン・グローブ」にはボルチモアの犯罪事情に関する記事が掲載されていたが、予想以上に悪化しているボルチモアの治安にビックリすると同時に、目撃者が次々と殺害されるという異常な事態に不安を隠せずにはいられない。B級アクション映画なんかではよく見られるプロットだけど、現実の世界でも凶悪事件の目撃者が命を狙われる事は、少なくともボルチモアに限っていえば頻繁にあるようだ。ボルチモアは全米でも犯罪発生率が高い場所として知られるが、人口わずか65万の町に約6万の麻薬常用者が住むといわれ、先月だけで31人が殺害されている(ピッタリ1日1人の計算になる)。
今日の「ボストン・グローブ」の記事がスポットライトを当てた部分というのが、ボルチモアの社会に浸透しつつある「沈黙のルール」というもので、たとえばマフィア犯罪が今でも絶えないイタリアのシチリアやカンパニア、カラブリアなんかでは「オメルタ」という独自のルールの存在が有名だが、ワシントンからそれほど遠くないボルチモアでも一般市民が「オメルタ」の影に怯え始めているようだ。メリーランド州検事局スタッフは、州内で発生する殺人事件関連の裁判で証言を行おうとする目撃者らに対する嫌がらせや暴力事件は非常に高い確率で発生しており、なんと全体の95パーセントに達するのだという。ボルチモアで発生する殺人事件の半数以上が麻薬絡みのもので、目撃者に対する嫌がらせも組織ぐるみで行われている模様。
昨年、ボルチモア市内のアパートに複数の賊が押し入り、就寝中の女性や彼女の子供達に銃を突きつける事件が発生している。賊は彼女に対し、彼女の婚約者が裁判所で殺人事件に関する証言を行った場合、みなを殺すと警告し、何もせずに去っていった。昨年4月には殺人事件を目撃した17歳の少年が検察側に裁判で証言を行うと約束した直後に誘拐され、数日後に頭部を銃で撃ちぬかれた状態で発見されている。最近だけでも、裁判で証言を行ったり、行おうとした目撃者ら5人が何者かによって銃撃されており、そのうちの2人は死亡している。ボストンでも2004年に発生した殺人事件に関する裁判の3分の2が、同様の嫌がらせで進展しない状態らしいが、ボルチモアの状況はボストンよりもはるかに酷いもののようだ。
昨年秋、ボルチモアの街中では「ストップ・スニッチング(密告なんてしないように)」というタイトルのDVDが販売され、警察関係者らの怒りをかっている。これはボルチモアのゲットーで生活する黒人達の日常を描いたドキュメンタリー作品という触れ込みなのだが、インタビューに答える形で数人の男性が警察などへの協力を警告するメッセージを発しており、検察や警察に協力した者は間違いなく殺されると語った男性もいた。このDVDにはNBAデンバー・ナゲッツのカルメロ・アンソニー(ボルチモア出身)も数分間出演しており、アンソニーの横にいる男性が「警察への協力者は頭を撃ち抜かれて死ぬ事になる」と発言した事もあり(アンソニー自身はほとんど発言していない)、このNBAのスター選手は激しく非難されている。
メリーランド州当局では、事件の目撃者や証言を行う人物を保護するための法制化をすすめているようだ。メリーランド州知事によって提案された法案は現場の警察官や検事からも支持されており、目撃者らに嫌がらせを行ったものを重犯罪で起訴し、最高で20年の懲役刑を下すというものである。組織犯罪が絡んだ裁判には証言者と出廷する者が極端に少ない事から、判事による判断で証言者らは裁判所とは別の場所で証言を行う事も可能になるかもしれない。DVDの話を再びするまでもなく、ボルチモアでは「沈黙の文化」か確実に浸透しているようだが、司法当局はできるだけ早いうちにアクションを起こすべきだろう。ナポリのようになってしまっては、本当に後戻りすることは困難だから。
先週のなかば、僕はアマゾンで2冊の本を購入したのだが、今日の夕方になって自宅に郵送されてきた。明日から時間を見つけて少しずつ読んでいきたいんだけど、南カリフォルニア大学の社会学教授が書いた「恐怖の文化」という本は、ある友人から薦められていたもので、僕もテーマには凄く興味がある。これは、アメリカ人の中に潜む「恐怖感」を分析している本なんだけど、恐怖の対象というのはテロや戦争だけでなく、年金から体脂肪率まで非常に幅が広いのだ。あくまでも私見だけど、多くのアメリカ人はビン・ラディンよりも体脂肪率、カフェイン入りコーヒー、アバークロンビーの新しいシャツを買い損ねないだろうかといった事を心配している。心配性の国民と恐怖感をあおるメディア報道-これはアメリカの歴史そのものでもある。
金曜日は終電前に帰宅して、いつものようにブログでもと思っていたんだけど、ついつい映画を見てしまった。特に期待していたわけでも無いんだが、午前1時頃からブラッド・ピット主演の「トロイ」を見始め、映画が終わったのは3時半頃だった。結論から言うと、期待していたよりは楽しめたのだが、最後の最後でオーランド・ブルームがルール違反の活躍ぶりを披露したのに少し幻滅。あれが無ければ、かなりいい作品だったと思うんだけどなぁ。しかし、キャストは本当に凄かったね。ブラッド・ピットやオーランド・ブルームよりも、キャストのチョイスを凄く楽しみながら見ていた。
映画の中でオーランド・ブルームの兄ヘクターを演じたオーストラリア出身の俳優エリック・バナなんだけど、「ブラック・ホーク・ダウン」で彼を見て以来、僕は彼の虜になってしまい、次回作はまだかと首を長くして待っている。彼が主演した「ハルク」はさすがに見る気がしないんだけど、来年公開予定のスピルバーグ監督の映画(なんでもミュンヘン・オリンピックで発生したイスラエル人選手団殺害事件がテーマになるのだとか)には期待している。数ヶ月前、彼が主演した「チョッパー」というオーストラリア映画を見たんだが、実在する殺人犯マーク・“チョッパー”・リードを演じるために25キロも体重を増やしたという彼の演技はなかなかのもので、これから本格的にブレイクする俳優なのではないだろうか。
ショーン・ビーンやブライアン・コックスといった英国系俳優陣が、脇役ながらも非常にシブい演技を披露していたんだが、僕の一番の驚きはピーター・オトゥールを久方振りに発見した事かな。「ラスト・エンペラー」と長崎オランダ村のCMの印象が強いオトゥールなんだけど、本当に彼を映画の中で見たのは10年ぶりくらいだったので(実際は、多くの映画に出演しているようで、僕が単にそれを知らなかっただけなんだが)、道端で1万円札を拾ったかのような妙にラッキーな気分に浸っていた。「トロイ」をめぐる評価は僕の友人の間でも二分しているんだけど、全体的にはよく出来た映画じゃなかったかなと思う。まだ見て無い方は、ぜひ一度。
今日の「ボストン・グローブ」にはボルチモアの犯罪事情に関する記事が掲載されていたが、予想以上に悪化しているボルチモアの治安にビックリすると同時に、目撃者が次々と殺害されるという異常な事態に不安を隠せずにはいられない。B級アクション映画なんかではよく見られるプロットだけど、現実の世界でも凶悪事件の目撃者が命を狙われる事は、少なくともボルチモアに限っていえば頻繁にあるようだ。ボルチモアは全米でも犯罪発生率が高い場所として知られるが、人口わずか65万の町に約6万の麻薬常用者が住むといわれ、先月だけで31人が殺害されている(ピッタリ1日1人の計算になる)。
今日の「ボストン・グローブ」の記事がスポットライトを当てた部分というのが、ボルチモアの社会に浸透しつつある「沈黙のルール」というもので、たとえばマフィア犯罪が今でも絶えないイタリアのシチリアやカンパニア、カラブリアなんかでは「オメルタ」という独自のルールの存在が有名だが、ワシントンからそれほど遠くないボルチモアでも一般市民が「オメルタ」の影に怯え始めているようだ。メリーランド州検事局スタッフは、州内で発生する殺人事件関連の裁判で証言を行おうとする目撃者らに対する嫌がらせや暴力事件は非常に高い確率で発生しており、なんと全体の95パーセントに達するのだという。ボルチモアで発生する殺人事件の半数以上が麻薬絡みのもので、目撃者に対する嫌がらせも組織ぐるみで行われている模様。
昨年、ボルチモア市内のアパートに複数の賊が押し入り、就寝中の女性や彼女の子供達に銃を突きつける事件が発生している。賊は彼女に対し、彼女の婚約者が裁判所で殺人事件に関する証言を行った場合、みなを殺すと警告し、何もせずに去っていった。昨年4月には殺人事件を目撃した17歳の少年が検察側に裁判で証言を行うと約束した直後に誘拐され、数日後に頭部を銃で撃ちぬかれた状態で発見されている。最近だけでも、裁判で証言を行ったり、行おうとした目撃者ら5人が何者かによって銃撃されており、そのうちの2人は死亡している。ボストンでも2004年に発生した殺人事件に関する裁判の3分の2が、同様の嫌がらせで進展しない状態らしいが、ボルチモアの状況はボストンよりもはるかに酷いもののようだ。
昨年秋、ボルチモアの街中では「ストップ・スニッチング(密告なんてしないように)」というタイトルのDVDが販売され、警察関係者らの怒りをかっている。これはボルチモアのゲットーで生活する黒人達の日常を描いたドキュメンタリー作品という触れ込みなのだが、インタビューに答える形で数人の男性が警察などへの協力を警告するメッセージを発しており、検察や警察に協力した者は間違いなく殺されると語った男性もいた。このDVDにはNBAデンバー・ナゲッツのカルメロ・アンソニー(ボルチモア出身)も数分間出演しており、アンソニーの横にいる男性が「警察への協力者は頭を撃ち抜かれて死ぬ事になる」と発言した事もあり(アンソニー自身はほとんど発言していない)、このNBAのスター選手は激しく非難されている。
メリーランド州当局では、事件の目撃者や証言を行う人物を保護するための法制化をすすめているようだ。メリーランド州知事によって提案された法案は現場の警察官や検事からも支持されており、目撃者らに嫌がらせを行ったものを重犯罪で起訴し、最高で20年の懲役刑を下すというものである。組織犯罪が絡んだ裁判には証言者と出廷する者が極端に少ない事から、判事による判断で証言者らは裁判所とは別の場所で証言を行う事も可能になるかもしれない。DVDの話を再びするまでもなく、ボルチモアでは「沈黙の文化」か確実に浸透しているようだが、司法当局はできるだけ早いうちにアクションを起こすべきだろう。ナポリのようになってしまっては、本当に後戻りすることは困難だから。
先週のなかば、僕はアマゾンで2冊の本を購入したのだが、今日の夕方になって自宅に郵送されてきた。明日から時間を見つけて少しずつ読んでいきたいんだけど、南カリフォルニア大学の社会学教授が書いた「恐怖の文化」という本は、ある友人から薦められていたもので、僕もテーマには凄く興味がある。これは、アメリカ人の中に潜む「恐怖感」を分析している本なんだけど、恐怖の対象というのはテロや戦争だけでなく、年金から体脂肪率まで非常に幅が広いのだ。あくまでも私見だけど、多くのアメリカ人はビン・ラディンよりも体脂肪率、カフェイン入りコーヒー、アバークロンビーの新しいシャツを買い損ねないだろうかといった事を心配している。心配性の国民と恐怖感をあおるメディア報道-これはアメリカの歴史そのものでもある。