IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

蹴球的火曜日

2005-02-22 15:54:45 | ニュース
いよいよです。待ちに待ったサッカー欧州チャンピオンズリーグのトーナメント戦が明日から始まるということもあって、おそらく今夜は眠れない夜を過ごす事になるのだろう。試合はアメリカでも生中継され、こちらの時間だと午後3時前にキックオフとなる。明日の試合、ライブで見るのは少し厳しいけど、自宅近くのスポーツバーでは午後7時から再放送してくれるので、絶対に行こうと思う。会社勤めをしている友人の中には、明日は仕事を午後3時ごろで切り上げて帰宅する予定の者が何人かいるようで、7時からの再放送にあわせてスポーツバーに集合する計画となっている。

ドイツ南部での滞在経験があるため、僕のひいきのクラブはバイエルン・ミュンヘンなのだが、まわりの友人からは地味ながらも勝ち続けるバイエルンを応援する僕は変態呼ばわりされている。たしかにマンチェスター・ユナイテッドやレアル・マドリッドと比べれば、世界的な人気を博すスター選手はほとんどいないし、クラブ人気を計るバロメーターに選手のルックスというカテゴリーがあるとすれば、バイエルンその時点で絶望的ですらある。ずいぶんと前にサイモン・クーパーというイギリスのジャーナリストが、「ローター・マテウス(90年代にバイエルンとドイツ代表で主将を務めた名選手)がブラジル人で不細工なルックスじゃなかったら、彼はおそらく世界的に愛される選手になっていただろう」と記事の中で語っているが、僕もそれには同感だ。

明日の試合、バイエルンの本拠地オリンピア・シュタディオンでアーセナルを迎えるのだが、客観的に考えてもバイエルンが幾分か優勢ではないかなと思う。僕はテレビで観戦するし、それで大満足なのだ。僕はバイエルンのチャンピオンズリーグでの試合をオリンピア・シュタディオンで2回観戦しているのだが、どれも結果的にハッピーエンディングを迎えれなかった。98年のボルシア・ドルトムント戦は、眠気を誘うゲーム内容のままドローで終わり、翌週のアウェーで負けている。2000年のレアル・マドリッド戦では2-1で勝ち、UFOの目撃よりも貴重だとされるカーステン・ヤンカーのゴールまでも見れたのに、アウェーゲームとの得失点差でトーナメントを去っている。今回はどうなるんだろうか?

バイエルンとアーセナル、言い換えればドイツとイングランドの戦いでもある。2001年9月にオリンピア・シュタディオンで行われたドイツ対イングランドの国際親善試合は、イングランドが大勝しているのだが、お約束どおり試合後に暴れだしたイングランドのファンによってミュンヘン中央駅周辺のホテルやバーが破壊されている。僕の知り合いがこの地域でバーを経営していたが、暴徒化するフーリガンのニュース映像を見た瞬間、思わず目がテンになってしまった。テレビに映っているフーリガンが暴れていたのは、その知り合いの店だったのだ。明日の試合後のミュンヘンの様子が今から気になるけど、何はともあれバイエルンの勝利を信じて寝ることにしよう。

欧州歴訪中のブッシュ大統領は月曜日、米欧同盟の重要性をとなえ、中東の民主化やイランの核開発問題、ロシアでの民主主義の垂体に対して欧米諸国が協力してアクションを起こすべきだと語った。欧州諸国との関係改善を図る意味もある今回の歴訪の1日目、ブッシュ大統領はフランスのシラク大統領と正餐をともにした。シラク大統領は2003年のイラク戦争で、アメリカを厳しく批判したリーダーの1人でもある。

大統領2期目で初めてのヨーロッパ訪問の初日の晩にシラク大統領と食事をする事について、ブッシュ大統領は「シラク大統領との関係が私個人にとっても、アメリカにとっても非常に重要だからだ」と語っている。シラク大統領はフランスとアメリカは「同じ価値観と理想」を200年間にわたって守り抜いてきたと語り、アメリカとの関係改善を間接的に示唆している。両者の関係改善はこれからという段階で、「関係が強まれば、シラク大統領をテキサスの牧場に招待する可能性もあるのですか」と尋ねられたブッシュ大統領は、具体的なコメントを避けている。レバノンで発生したハリリ元首相暗殺事件に関しては、ブッシュ大統領とシラク大統領との間で共通の認識が出来上がっており、レバノンからのシリア軍の即時撤退をあらためて要求した。また、国連主導による暗殺事件の捜査活動に両国が支援していく事を打ち出している。

ブッシュ大統領はこれからドイツとスロバキアを訪問するが、それぞれの国でドイツのシュレーダー首相とロシアのプーティン大統領と会談を行う予定だ。シュレーダー首相とプーティン大統領はシラク首相同様、イラク戦争におけるアメリカの外交政策に断固として反対してきており、ブッシュ大統領がどのように関係改善を図っていくのかが注目される。ブッシュ大統領はプーティン大統領に対して、ロシアで顕著に見られる民主化の後退について懸念を示す模様だが、プーティンにしてみれば「お前には言われたくないよ」といった感じではないだろうか?

2月21日は大統領記念日(ジョージ・ワシントンの誕生日である2月22日とエイブラハム・リンカーンの誕生日である2月12日が元々の由来)でアメリカは祝日であったが、大統領記念日を前にして行われた意識調査では、意外に初代大統領ワシントンの評価が低かった事が判明している。何世代にもわたって、全国の学校ではワシントンが「建国の父」として子供達に伝えられてきたが、メリーランド州のワシントン大学が実施した意識調査では、ワシントンではなくリンカーンが「歴代最高の大統領」に選ばれている。

数日前にはCNNやギャロップも同様の調査を実施し、1位に輝いたのはレーガン大統領であった。ワシントン大学の調査では、ワシントン大統領は7位となっており、同大学で歴史学を教えるテッド・ウィドマー教授は時間の経過とともにワシントンの功績が忘れ去られていく事を危惧している。アメリカ建国の父とさえ呼ばれるワシントン大統領も、わずか2パーセントの差とはいえ、現職のブッシュ大統領に負けてしまっているのだ。今回の調査では、回答者となった若者の多くがワシントンに対して大ざっぱな知識しかない事も判明している。

「最も偉大な大統領」に選ばれたリンカーンの下には、レーガン、ルーズベルト、ケネディ、クリントン、ブッシュ(現大統領)が続き、ようやくワシントンが7位にランクインしている。独立戦争の際、ワシントンが大陸軍を率いてイギリス軍と戦った事を知っていた回答者は全体の46パーセントにしか過ぎなかった。こういった状況に対して、ある教育団体のスタッフはAP通信の取材に対して、「最近の学校教育では、計算や読み書きがより重要視され、歴史や社会を学ぶ時間が減ってきているためだ」、とコメントしている。なんだか、日本と似てますなぁ。こんな事書いている僕だって、日本の首相で誰がベストかを選べって言われたら、何も言えないだろうからなぁ…。