IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

祝ペイトリオッツ優勝

2005-02-07 16:27:33 | ニュース
今日も1日適度に暖かかったが、何を思ったか友人の車でダレス空港近くまで行き、サバーブの空気を十分に堪能してきた。自宅のあるアーリントンから車で20分も走れば、フェアファックス郡に入るのだが、今年からこの辺りでもサッカーの試合をする予定なので、どんな所か見学に行ってきたのだ。我が家の周りは60年代東欧風とでも形容したくなるような個性の無い高層ビルが建ち並んでいて、ニューヨークほどでないにしろ騒がしい場所でもあるのだが、郊外でこんなに別の生活が存在するとは知らなかった。森に囲まれた場所では新築の一軒家が多く並び、都市部とは比べものにならない数の公園がある。ショッピングモールなんかもあるけれど、都会の喧騒は全く感じない。みんな郊外に移るために頑張って働くわけが分かった気がした。

「サバーバン・ライフへようこそ」と、車を運転する友人は皮肉交じりに言ったが、郊外での生活に憧れる人は僕を含めて少なくないようだ。この友人が家族と共にダレス空港近くの新興住宅地に引っ越してきたのが約7年前。当時は周辺に何もなく、文字通り木々に囲まれた生活環境だったらしい。しかし、ワシントン郊外の住宅建設がブームとなると、あっという間に彼の家の周辺には新たな区画が毎月のように建設されていった。僕らが車を止めてサッカーボールを軽く蹴った公園の横では車道の拡張工事が急ピッチで進められていた。周辺では交通渋滞が深刻な問題になっているんだとか。ワシントンの地下鉄が将来的にダレス空港周辺まで拡張される見通しで、これからも郊外人気は続きそうだ。

ブッシュ政権は月曜日に議会に対して2006年度予算案を提出するが、歴史上最高額となる約260兆円の予算が組まれるにもかかわらず、幾つかの予算は大幅に削減される見通しだ。生活保護者に配られる食糧配給券や農業助成金、低所得者用の医療扶助制度、公営住宅関連予算などが予算削減の対象になっている。ちなみに、2006年度の国防費は日本円で約42兆円に達するようで、今年度のものより5パーセント増加している。予算案は月曜日に議会に提出されるが、今まで連邦予算の恩恵に浴してきた利益団体や、それらの団体で中心的役割を果たす議員らからはすでに反対の声があがっている。

なかでも農業関連の利益団体は非常に規模の大きなものとして知られ、ブッシュ政権の予算削減案を「不公平でその場しのぎの政策」と強く非難している。全米の農家は、米や綿、トウモロコシなどの生産推進のため、これまでに年間1兆6000億円近くの助成金を与えられてきた。しかし、助成金制度が廃止された場合、大規模農業がさかんなカリフォルニア州などではビジネスとしての農業が継続できない農家が続出する恐れがあると警鐘を鳴らしている。

また、食料や医療面で生活保護を受ける者への政府援助が大幅にカットされる模様だが、これらの低所得層は選挙において、票数でも献金でも共和党にほとんど貢献していないと冷静に分析する声もある。しかし、低所得者層への支援が大幅に減らされた場合、低所得層が貧しさから抜け出す事がさらに困難になり、結果として景気の後退を生み出す原因にもなりかねない。ブッシュ政権は今後10年間で低所得層に対する医療扶助金を約6兆円削減する考えだが、各州の知事らはすでに反対する構えを見せている。ブッシュ政権は各州が医療費を不当に高騰させたと批判を展開しているが、それぞれの州では低所得者扶助のためには国からの支援が不可欠との意見が圧倒的で、お互いの思惑は平行線をたどっている。

ダラス・モーニングニュース紙の調査が明らかにしたところによると、スポーツで名声を得たり完璧な肉体を求める高校生達は、親やコーチらが全く気付かないうちにステロイド剤を簡単に入手し使用しているようだ。筋肉をつけるために錠剤や皮下注射でステロイドを体内に注入する高校生達だが、同時にステロイド剤のもたらす副作用にも悩まされているようで、バイアグラや排卵誘発剤も併用している。

ステロイド剤の副作用は様々で、肝機能障害や、腫瘍、性的不能、極度の憂鬱状態を引き起こす可能性がある。テキサス州の高校でフットーボールのコーチを務めるマイク・ロング氏は、高校生の間でのステロイド使用がこの10年で再び活発化していると語る。ある学区では先週になって9名の高校生がステロイドを使用した事実が発覚したが、このような発覚自体が極めて異例の事である。高校生によるステロイド使用は10年以上にわたって全国でリサーチが続けられてきたが、モーニングニュース紙の取材に答えた多くのコーチや学校関係者らはステロイド使用を深刻な問題として意識していない。

ダラス・モーニングニュース紙の4ヶ月にわたる調査で判明した事実として、警察当局はステロイドよりも麻薬やアルコール問題を優先する傾向があるため、なかなか取り締まりに動かないとの事。また、10代のステロイド使用者の多くが意外にも運動選手ではなく、クラスでの注目を浴びたいという虚栄心をもつ一般の学生だったようだ。ステロイドに関しては様々な議論が繰り返されているけど、幾つかの資料を見ながら僕が感じたのは、アルコールよりもはるかに危険な代物ではないかという事。広範囲に蔓延する前に、行政が何らかの手を打つべきではと感じるのだが。

グルジアの首相が友人宅で「ガス中毒」により死亡したニュース、少し前のブログでも取り上げたけど、やはり謀殺論が浮上してきている。最近選挙があったウクライナ同様、グルジアを巡ってはアメリカとロシアがそれぞれ影響力を競い合っているとされるが、死亡したズワニア首相やサーカシビリ大統領は親米派とされている。6日付のシドニー・モーニングヘラルド紙は警察関係者の話として、ズワニア首相が自殺を図ったのだと報じている。しかし、AP通信のジム・ハインツ記者はトビリシからのレポートで、首相の死亡原因とされているガス中毒に疑問を投げかけている。旧ソ連経済の崩壊により、グルジアでは10年以上前にガス暖房サービスがほとんど機能しなくなっているからだ。このため、グルジアでのガス中毒死は極めて珍しいのだという。真実はいかに?

昨年10月のレッドソックスのワールドシリーズ優勝に引き続き、今日はニューイングランド・ペイトリオッツがスーパーボールを制しました。めでたしx100。僕がワシントンにやってくる直前の3年前、ボストンの友人からトム・ブレイディ(ペイトリオッツのクォーターバック)のバブルヘッド人形をもらったのだが、試合終了をテレビで確認して間も無く、僕は本棚の隅に置いてあるブレイディのバブルヘッドをを拝みに行った。悲しい事に、人形の表面はホコリだらけ…。最後に人形を拭いたのが去年のスーパーボール優勝の日だったから、1年間も手をつけていなかった事になる。これからは定期的に拭く事にしようと決心したものの、この正確だけに次回はいつの事やら。少なくとも、来年のこの時期に再び人形を拝む機会がやってくる事だけは祈っておこう。