サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

Nostalgical Parade/Emerald

2014-09-14 | アルバム感想








誰もが認める晴れた日に 冷や汗かいて倒れてる
運ばれるのは 静かな白い部屋
すべて勘違いだったこと 白状させる   (フラニーの像意)













ナカノヨウスケ率いるEmeraldのファースト・アルバム「Nostalgical Parade」、
これがファーストにして際立った傑作になっていてこの頃よく聴いているアルバムの一つになってます
美しく流麗なメロディ、純朴な雰囲気、思いっきり酸いも甘いも吸い込んで歌ってるボーカルに
それを益々カタルシス満点に昇華させる抜群のアンサンブル・・・と
個人的には(曲数が少なめな事を除けば)非の打ちどころのない作品かなあ、って聴いてて感じますね。

そもそも私はナカノヨウスケの歌声とあの悲しみが80%ぐらいを占めている感情の乗せ方が好きで
ある種彼の歌の虜の一人と言っても過言ではありません
例えちょっと明るい事を歌っていても、
自然と切ない気持ちにもなる
あの表現技法に堪らなく惚れ込んでいる人間としてはそれがこんなにも瑞々しい形で磨き上げられた事に歓びを感じざるを得ません
繊細な気持ち、消え入りそうな感情、胸を締め付ける最低限の温かさ・・・
ペーパーバッグランチボックスとはメンバーも音楽のフォルムも多少変わりましたけど
そういう中でも光っている「ナカノヨウスケらしい切実さ」に今作でもまた胸打たれてしまったのでした


この作品は歌い手ナカノヨウスケの前身バンドであるペーパーバッグランチボックスとはやや表現方法が変わってます
ポエトリーリーディングを取り入れたり全体的にシックで達観したような作中観の楽曲が多い
言い換えれば「大人になった」とも取れると思いますが
その「大人になった」感触のロックサウンドがやたらに格好良く響くアルバムになってると私的に思うんですね
ちょっと不思議で感傷的な世界の幕開けを飾る落ち着いたロックナンバーである表題曲「Nostalgical Parade」の心地良さから
小気味良いポエトリーパートが光る「Brush」はバンド名も歌詞に組み込む“楽しさ”が好感触の一曲
個人的にシングルの時点で大好きだった「フラニーの像意」は今作でも随一に人間の抱える複雑な心情を掘り下げた名曲
そしてライトなポップさが新機軸だと思える「Cryin'Climbing」はその収まりの良いメロディを聴いてるだけでイイ気分に浸れる楽曲
浮遊感と幻想的なフレーバーがこのバンドのポテンシャルを大いに感じさせる美メロの境地「TONIGHT」、
実質ラストの「ふれたい光」は英単語と日本語の組み合わせが歯切れが良く切実でもあるポップソング・・・と
純粋に様々なパターンの楽曲が点在していて
今までのディープな部分を保ったまま、
ちょっと聴きやすく触れやすくあまり根詰めずに自由に楽しんでいる印象のロックでありポップミュージックという感触があって
それは間違いなくエメラルドならではの感触だなあ、って個人的につくづく思う訳です
(勿論ペーパーバッグランチボックスにはペーパーバッグランチボックスならではの感触があった訳ですが)。

より自由に、フラットに、原点に立ち返って無邪気に楽しんでいる音楽ファンとしてのナカノさんが垣間見れるアルバム
ちょっと成長したというかあの時代を経たからこその達観している雰囲気がまた個人的には気持ち的に泣けてイイんですよね
今作で初めてナカノヨウスケの音楽に触れる方もいるとは思いますが
是非さかのぼって過去の音源も聴いて欲しいですね
そういう様々なドラマを経験した末に出された音楽だ、っていう事実がよく分かると思うので。
全体的に粗さがなく、シックで、大人びていて、良質で、それでいて彼特有の切なさも点在していて・・・っていう
ある種の理想にも近いクオリティのファーストアルバムに仕上がってるなと最終的には思いました

実質インタールードを含めなければ7曲のフルアルバムなので、
今後是非ガッツリと10~12曲ぐらいのフルアルバムを作って欲しいですね
この音楽的な幅広さと表現力があればきっと更なる傑作が出来上がると思うので
そう確信させるくらいにはこのバンドの可能性を感じさせてくれたアルバムでした
ナカノさん、いいですよ。ほんと。


そんな中でもキャッチーさを携えて光っているのが「Summer Youth」という曲。


大人になることは 忘れてゆくこと
それでも心に 残っていること


この曲は初めて聴いた時からすぐ好きになった曲で
それは音源で聴いても変わりませんでした
煌びやかで雰囲気たっぷりなギターサウンド、夏の匂い満点のアンサンブルに
ナカノヨウスケの切なさ滲むボーカルが乗っかって絶妙なカタルシスを生んでいます
こう・・・胸の奥のモヤモヤに触れてくれるような曲というか、歌声の時点で悲しみが伝わって来るというか
基本的に感情を抑えてシックに振舞っている曲も多い今作に於いて最強のアクセントとして響いている楽曲ですね
この曲が真ん中に居座っている事でアルバム全体も引き締まった感触もしていて配地の面でも良かったです
本当に煌びやかなギターのアレンジと彼の歌が相乗効果で映えている曲なので
良かったら入口にして欲しいな、と
もう一度ライブで聴く為にまたライブに参加したいと思ってます。

「音を楽しむ」ことに立ち返りつつ、大人になった格好良い姿を見せつつ、
それまでの悲しみや痛みもちゃんと伝わって来るような塩梅が実に素敵な作品でした。
純粋にポップ/ロックのアルバムとしても秀逸だと思ってるので彼の表現が最低限は受け入れられていけばいいと願いつつ。
人間の繊細な気持ちだったり儚さだったり、美しい部分がしっかりと伝わって来るような傑作でした。
これからまた聴き込むと思います。

ああそう、あとエメラルドってバンド名は今になって思うとピッタリだなあ、と
本当に宝石のような音楽だって思うので。うん。
















探してるのは ずっと求めてるのは
ここで いつだって探してるのは
正気になっても覚めぬもの   (フラニーの像意)






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