ちょっと硬い本を読み始めるとすぐに嫌気がさして読みやすい本に逃避してしまう。「うたう警官」(角川春樹事務所)は「警官の血」でハマった佐々木譲の警察小説。「うたう」は内部告発することのようだ。
美人婦警が殺された。道警本部は元恋人である刑事の津久井のしわざと断定し、指名手配。危険であるため射殺も許可すると通達を出した。しかし、この津久井は実は道警本部の裏金問題で道議会の証人喚問を翌日にひかえていた・・・・。そう、この小説は警察の裏金問題を背景に組織の腐敗と隠ぺい体質をえぐったものであった。
ああ、私は勘違いしていた。裏金を作ったのは表立って支出できない使途(情報提供者への謝礼など)に使われていたのだと思っていた。そうではないのだ。情報提供者に支払ったと見せかけて、プールし、管理職のふところに入っていたのだ。そして十分な活動費が支払われないため刑事が自腹を切って捜査をすることになり、借金をこさえて麻薬の横流しをしたりするようになるのだ。(この小説の話だけど)。ここらへんは「警官の血」とあわせて読むとよくわかる。
ひどい、ひどすぎる。そして、この小説では本部のキャリア組が郡司警部に罪をすべて被せてうやむやに終着させようとしていたのに、部下であった津久井刑事が議会で証言することになったのであわててそれを阻止しようとしているのだ。
おお、原田さんとは「太田総理」に出てた人だ。北芝さんもちょっと違ってるぞ。現場の警官は苦労しているのだから裏金くらい許されるっていうんじゃなくて、裏金が作られるために現場にお金がまわってこなくなるのだ。捜査員がピーピーいって借金をしたりしてるのに署長だの本部長だのが愛人に貢いでいてもいいのか?裏金問題っていうのはそういうものだったんだ。そして、多分、警察だけじゃなくて、官公庁や地方の組織でもそのような問題が大なり小なりあったのだろうと思う。やっぱりそこを正してからでなきゃ、信頼もへったくれもあったものじゃない。
あの時、原田さんが「カードを持ってる」とおっしゃってたのはつまりそこの使途の部分のことだったのかな?やれやれ・・・・
美人婦警が殺された。道警本部は元恋人である刑事の津久井のしわざと断定し、指名手配。危険であるため射殺も許可すると通達を出した。しかし、この津久井は実は道警本部の裏金問題で道議会の証人喚問を翌日にひかえていた・・・・。そう、この小説は警察の裏金問題を背景に組織の腐敗と隠ぺい体質をえぐったものであった。
「札幌には、定年したあとに競走馬を買った署長がいたな。どこかの署長は、歴代、定年後は必ず札幌に御殿みたいなうちを建てている。いくらなんでもひどすぎないかという話は、方々で出ていた。警察庁に戻ったとき、こっちで作った女に銀座で店をやらせたのは誰だった?」
ああ、私は勘違いしていた。裏金を作ったのは表立って支出できない使途(情報提供者への謝礼など)に使われていたのだと思っていた。そうではないのだ。情報提供者に支払ったと見せかけて、プールし、管理職のふところに入っていたのだ。そして十分な活動費が支払われないため刑事が自腹を切って捜査をすることになり、借金をこさえて麻薬の横流しをしたりするようになるのだ。(この小説の話だけど)。ここらへんは「警官の血」とあわせて読むとよくわかる。
刑事課であれ、生活安全課であれ、所轄署のベテラン捜査員たちは、長い年月をかけて管轄地域にひそかにそのエス(情報提供者)を育てる。何か事件が起こり、警察官には見えない社会の情報が欲しいとき、エスが役に立つ。刑事たちは、自分のエスにときおり取り締まりの情報などを教えて借りを返す。本来ならエスとの関係維持のために捜査協力費が支出されることになっているが、それは建前だ。捜査協力費は、副署長以下が管理する裏金の原資となる。刑事たちは架空の協力者の領収書を作って会計課に渡すが、金が下りてくることはない。そのため、エスを維持する費用の捻出に、無理をする警察官も出てくる。郡司警部は、その典型だった。彼は、拳銃摘発の実績を上げるために、覚醒剤の密売買にまで手を染めて金を作っていたのだ。
ひどい、ひどすぎる。そして、この小説では本部のキャリア組が郡司警部に罪をすべて被せてうやむやに終着させようとしていたのに、部下であった津久井刑事が議会で証言することになったのであわててそれを阻止しようとしているのだ。
「おまえさんは、津久井が証言することをどう思う?うたうことだと思うか?道警の警官としてもってのほかのことか?許せないか?」
テストされているようだ。新宮は言葉を選びながら答えた。
「この二年間、あの郡司警部事件以来、組織は変わるべきだと思うようになりました。裏金を作り、報償費の不正流用問題は、すっきりさせるべきです」
佐伯が訊いた。
「釧路方面本部長だった原田さんの告発はどう思う?あれは『うたった』ことになるか。それとも、警官としてとるべき正しい態度か」
「正しいことだと思います」
「おれも、そう思う」
町田が言った。
「現場の警官で原田さんを悪く言う人はいないでしょう」
おお、原田さんとは「太田総理」に出てた人だ。北芝さんもちょっと違ってるぞ。現場の警官は苦労しているのだから裏金くらい許されるっていうんじゃなくて、裏金が作られるために現場にお金がまわってこなくなるのだ。捜査員がピーピーいって借金をしたりしてるのに署長だの本部長だのが愛人に貢いでいてもいいのか?裏金問題っていうのはそういうものだったんだ。そして、多分、警察だけじゃなくて、官公庁や地方の組織でもそのような問題が大なり小なりあったのだろうと思う。やっぱりそこを正してからでなきゃ、信頼もへったくれもあったものじゃない。
あの時、原田さんが「カードを持ってる」とおっしゃってたのはつまりそこの使途の部分のことだったのかな?やれやれ・・・・