読書と追憶

主に読んだ本の備忘録です。

芥川賞と直木賞

2008-01-14 13:55:35 | 本の感想
 あさって16日に芥川賞と直木賞が発表されるらしいがほとんど興味はない。だってつまんないもん。
 芥川賞候補で読んでみようかなと思うのは「カツラ美容室別室」「ワンちゃん」だけで、直木賞候補では「私の男」「警官の血」だけだ。テレビで有力候補とされてたのもその4作品だったけど、それは偶然の一致です。ホントだって。
 というわけで「赤朽ち葉家」でハマった桜庭一樹「私の男」を早速アマゾンで注文した。体調が悪いときにはあまりコッテリした小説を読むと寝込んでしまうのだけど、今はまあ大丈夫そうだし。ついでに「青年のための読書クラブ」も注文。桜庭一樹オフィシャルサイトを見たら冒頭立ち読みができるようになっていて、
一九八〇年代後半において、閉ざされた乙女の楽園たる聖マリアナ学園を、外の世界に吹き荒れるバブルの金色の風がとつぜん襲ったことは、後の正史には残されぬ暗黒の珍事件である。

などと書いてある。これはおもしろくなりそうです。私はこういう電撃文庫ぽいのが好きだ。ところで桜庭一樹って女性だったのね

 最近は文芸誌を全然買ってない。読むと眩暈がしてくるからだ。「こういう小説を読解できるようにならないといけないのか!」と思うと暗澹としてくることもある。
 2006年6月号の「文學界」を書店で買ったのは、その時たまたま「世界は村上春樹をどう読むか」という見出しが目にとまったからだけど、これ、まるで駅前デパートで必要に迫られて長靴を買おうとしたら「ああ、レインシューズはうちには置いてありません。」と言われたときみたいにとりつく島もない。この号には「第102回文學界新人賞発表」作品が掲載されていた。木村紅美 「風化する女」
 れい子さんは、一人ぼっちで死んでいた。

冒頭から死んでるし。なんで殺すんだよ!かわいそうじゃないか。それで[島田雅彦奨励賞]とかの澁谷ヨシユキ「バードメン」は読む気もしなかった。きっと、「ぼくは飛べるんだ~」とか言って羽をつけてビルから飛び降りる話に違いない。暗澹とする。「私は村上春樹も『文學界』も純文学も、もういらんわ」と思った。この号で唯一すらすらと読めたのが、伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」だったのでそれが2006年度上半期の芥川賞を受賞したときは「なるほど」と思った。とにかくすらすら読めないとどうしょうもない。

 最近読んだのは久保寺健彦「みなさん、さようなら」(幻冬舎)1月6日の朝日新聞の書評(斎藤美奈子)がおもしろそうだったからだ。最近は書評さえ読んでもよくわかんないことがあって、よほど脳が老化してきているのだろうと思う。斎藤美奈子さんの書評は安心して読めるし、食堂の食品サンプルみたいにカラフルだ。
箱庭を壊すゴジラの気概ってどういうことだろう。最近ゴジラが流行っているのか?確かに最後がうまく行きすぎだという気もするが、主人公が相当アブナイ雰囲気なのであれ以上悲惨なことがあったら読めなくなる。「ブラック・ジャック・キッド」の方も是非読んでみよう。

「電車賃を貸してくれ」
「ああ、駄目駄目。規則なんだから」
「ヒーさんが死にそうなんだ、いいから貸せ!」
 駅員にしてみればわけが分らなかっただろうが、おれの剣幕に驚いたのか、あわてて1000円札を差し出した。切符を買い、改札に走る。自動改札の入り方が分らずにおたおたしていたら、後ろにいたおじいさんが教えてくれた。

 ああ、目に浮かぶような感動的なシーンだ。絶対、この本映画化されるね。このシーンが感動的だということがわからない人は2ちゃんねるのヒッキー板を覗いてから読むといいと思う。