ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

ロシア流仕事の流儀

2013年11月09日 | 日記
 12月1日は生徒の日本語能力試験です。
隣の県のチェラビンスクやエカテリンブルグからも受験者が集まるちょっとしたお祭りです。
この本番の試験の前に、模擬試験をしようとエレーナ先生が言い出しました。
去年分の試験があるからということです。

 私は賛成したのです。けれど生徒に発表するまえにどうしてもこの目で去年の試験を見、今までしたものと被っていないか、本当に級分試験はあるのか、全部あるのか確かめておきたかったのです。もう一年ロシアに住み着いた私は、経験から、それからでないと生徒には公表できない危険性を感じていたのです。

 そしてエレーナ先生のところへ確認しに行ったら、案の定、問題勃発です。私の予想をはるかに上回り試験自体がないのです。「保管してたはずなんだけど…」とはエレーナ先生談。「ルドミーラ校長先生のところにあると思う」というエレーナ先生の発言はもうまったく当てになりません。そのまま部屋を辞し、翌日もう一度確認してみると、やっぱりない、とのことです。「どうしますか?」と聞くと「大学から取り寄せる」という信憑性に欠ける答えが返ってきました。

 私はやっぱり自分の勘は間違ってなかったのだと思い、もうこの模擬試験はなくなるのだろうから、一切生徒に言うまいと思いました。

 ロシアに住んでいると徐々にロシア式のやり方がわかってきます。当然、日本と比べると緩やかです。期限は遅れるのが当たり前、言づけは忘れられていることが多々あります。できるものならさっさと自分で行い、最後の確認をもらうくらいに思っていることが一番仕事がはかどります。ロシアでの仕事の流儀は、とにかく周りを当てにしないことです。

ねずみ

2013年11月09日 | 日記
 小屋に引っ越した次の日の朝、朝ごはんを食べていたらゴミ箱がカサコソいいます。
何気なく近づいて見て、ごみ箱を少しずらしたらシュッシュッと黒いものが目の前をよぎりました。
さっそくゴキブリが出たなと思い、古い小屋だったので仕方ないだろうと驚きもしませんでした。
 
 その日の夜、ユーリャと二人で仕事後の一杯をしているとまたゴミ箱がカサコソいいます。
「なんかいるね」といい、またゴミ箱に近づき、少しずらした途端、ゴキブリよりも大きい黒い塊が飛び出してきました。思わずキャーと悲鳴をあげ、ユーリャと二人でソファーの上にのぼり抱き合っていました。
 今のは明らかにネズミです。

 上司に言ったら「ジェリーだね」と喜んでいました。
違う同僚に言ったら「ネズミは放っておくとどんどん増殖し大きくなり仕舞には洋服も食べられてしまう」といいました。
 さっそくお世話係の丸々太ったスベータがネズミ取り用の強力接着剤をざくざく切った段ボールにぬりつけてあらゆる四隅におきました。

 その日の夜、仕事から帰りいつもの日課のお疲れ様会をしていると、洗面所からキーッというネズミのなき声が聞こえました。見ると罠にかかって動けなくなっているのです。ディズニーのアニメに出てくるような小っちゃくて可愛いネズミが動けなくなっていす姿は不憫で仕方がありません。
 外へ行きお箸でどうにかはがし逃がしました。
 もう毎晩こんなことはしたくない、とユーリャも私も思案顔でした。

 次の日の夜、またネズミが現れました。昨日のジェリーとは違うネズミです。
だけど今度のジェリーは罠にはかかりませんでした。ユーリャも私も安堵しました。

 どうやら洗面所の穴から出はいりしているらしいと推し量り、ユーリャは粘土を買ってきました。穴を埋める作戦です。掃除婦のヴェーラに言ったら「猫を飼ったらいい」との真面目なアドバイスです。

 さっそくルドミーラ校長先生からの猫を飼ってもいい許可をもらい、一度はロシアで猫を飼うことを本気で思い舞い上がった私たちですが、これも日本に連れて帰るときなどいろいろと問題があることが浮上ししばし棚上げです。それにあの最後のジェリーが現れて以来、パタッとネズミは出現しなくなったのです。

 今でもカサコソと音がするとドキッとしますが、ジェリーたちもこの家には対していいものがないばかりか異国育ちの変な二人がいるということがわかって無駄な足労は控えたのかもしれません。





引っ越し

2013年11月09日 | 日記
 実はユーリャと私は一か月前に、引っ越しました。
引っ越し先は学校内のてっきり花壇用の小屋だと思っていた一軒家です。
窓から学校が見え、通勤時間30秒です。
 あまりの近さにショックを覚え、当初は上司に不満をぶちまけていました。
私があまりにも「小屋」を連発したものだからとうとう上司も「こやこやこやこやこやこやこやこやと言うけれど小屋ではありません」と怒っていました。

 キッチンとバスとユーリャと私の部屋のある小さな小屋です。
もう1年もロシアにいるとロシアのやり方もだんだんわかってきて、もうこれ以上何も言わないほうが得策とか、ここはもう一度確認しておこうとか、確認するまで動かないでおこうとかそういうことがわかってきます。家のことでは相当悩まされましたが、このたびも学校との交渉にはまんまと負け、結局は言いなり通り引っ越すことになったのです。

 ところが引っ越すと、これがけっこう快適で、なんといっても通勤時間がないというのは楽なもので朝行って用事を済まし、夕飯を取りに家に帰り、夜遅くまで学校に残ってもバスの心配をしなくていいという利点がたくさんありました。ユーリャと私は性格が悪いのでけっこう快適さを感じていることは上司には黙っていようということにしています。