ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

ある日曜日の朝

2015年02月18日 | 日記
 日曜日、墨絵の先生に誘われて対岸の街へ行きました。
そこには日本文化のコミュニティーがあり、今回のテーマは墨絵だそうです。
墨絵の先生直々のお出迎えがあり、タクシーで1時間かけてカマ川の橋をわたり向こう岸にあるザカムスクの街まで行きます。

 墨絵の先生は名前をセルゲイさんといい、いつもお金の話をしている面白い人です。典型的なロシア人男性を代表するポーカーフェイスで一度も笑ったところを見たことがありません。

 対岸ではマリアが待っていてくれました。マリアはセルゲイさんの友達で小学校で日本語を教えています。セルゲイさんはいつもマリアのことを日本語が下手という意味で「悪い先生」と言ってからかっています。

 マリアは私たちのためにレストランを予約しておいてくれました。
日本文化コミュニティーへ行く前の腹ごしらえです。
ロシア料理専門のレストランです。白を基調としたつくりで可愛らしい雰囲気です。
料理はコースになっていてオードブルのサラダが運ばれてきました。

 すると立ち上がったマリアは突如、歌いだしたのです。
レストラン中に響き渡る大きな歌声です。一曲目が終わると二曲目三曲目と続きます。
およそ日本ではおこらないであろうマリアの奇矯な振る舞いに対して、セルゲイさんは何事も起こっていないかのごとく黙々と食べ続けるだけです。

 マリアのお披露目は終盤を迎えてi-phoneの音楽も付き始めました。
ロシア男には珍しくいつも穏やかに微笑んでいるビーチャの顔からも一切の笑顔が消え、いよいよ本格的になってきたマリアの独壇場に、男二人は寡黙に食べ続けるだけでした。

 後でビーチャに尋ねたところ、「居心地が悪かった」ということで、ビーチャの言葉でおさらいすると、

 今日、ザカムスクへ いきました。
 レストランへ いきました。
 マリアさんが うたいはじめました。
 セルゲイさんとビーチャは ポーカーフェイスしました。