ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

教師をして嬉しいこと。

2014年09月24日 | 日記
今期から15名の高校生グループを担当し始めました。
今日は6回目の授業だったのですが、授業の最後にひらがなかるたをさせました。
すると一人の男の子だけ一枚もかるたが取れないのです。

彼は見るからに内向的で、普段から笑わず、口数が少なく、まず口を動かしなさい、と言って日本語のフレーズをリピートさせようとしても言わずにノートばかり見ています。
授業後、私は彼を呼び、ひらがなのプリントを渡すから家でやってきなさいと言いました。
すると彼は、自分は英語とチェコ語を勉強しているので日本語まで手が回らないと言いました。
それを話す彼の英語があまりにも流暢だったので「上手だね」と褒めました。
「チェコ語もやってるの」と聞くと「チェコに旅行した」という答えが返ってきました。
「だれと旅行したの」と聞くと「一人で」と言ったあとに「一人で旅行するのは語学の向上につながってとてもいいのだ」というようなことを言います。
17歳にもならない彼が一人でチェコを旅行するというのは、普段の彼の表情から見ても家庭に何か事情があるのかなと思いました。
「一人で旅行するなんてすごいね」と返すと彼は自分の夢を語りだしたのです。自分は、ヨーロッパと同じレベルの教育を受けたい、だからどうしてもチェコで勉強したい、そのためにはチェコ語が必要である、だから今から勉強しているのだと。

そして日本語も昨日の夜に勉強したと言ってノートを見せてくれました。
それを見た私は「そんなに英語が上手でチェコ語もできるなら、日本語だって絶対できるよ」と言いました。

二人で会話をしたとき、彼の笑った顔を初めてみました。
そして私は今、確信しています。彼は絶対に次の授業の時にはひらがなを全部覚えてくるはずだと。




小魚の群れ

2014年09月24日 | 日記
 ロシアの学校は、小中高一貫の公立学校での教育です。
私立はめったになく建てるのと維持費に非常にお金がかかるとは同僚談です。
私の学校にも6歳からの日本で言うところの小学校1年生からのちびっ子たちがうようよと廊下を歩いています。
私は密かに『小魚の群れ』と呼んでいます。
昼食の時間になると、よく響く声で統制を取りしまる担任の先生に連れられ列をなして食堂に入ってくるからです。

 小魚の群れたちは真っ白で絵に描いたような西洋のお人形の顔をしています。
初めは見慣れる子供たちに驚き摩訶不思議なものをみるような気持ちで彼らも見つめたものです。
今ではすっかり慣れ、古今東西、万国共通の賑やかさを持つ彼らを日本語の授業を取っている彼らに限っては密かに『吸血鬼』とも呼んでいます。

 先日も彼らの授業の後は、ほんの3人ばかりの授業でも、パワー全開で接してくる彼らに対して
どうにか集中力を切らさないように気をくばり、ノートに書きとらせ、「好きなもの」の絵を描かせ、互いに質問させ、喧嘩の仲裁をし、
最後に日本からの抹茶飴を与えと終わったあとは体力消耗著しいです。
おまけに風邪などひいていると声や喉にまで影響し、無邪気な力でとことんまで相手のパワーと気力と体力を奪い取る彼らはまさに『吸血鬼』なのです。













ウラルの風邪とトリッキーと達観

2014年09月19日 | 日記
 前回のブログに風邪に気を付けてなんて書いていたのに、まんまと風邪に飲み込まれてしまいました。
あの用心はなんだったのーというほどあっけなく風邪にかかり日本から持ってきたパブロンを飲む週末です。

 この季節の変わり目の9月はロシア人も半数以上が風邪にかかります。一昨日20度あった気候が昨日は6度に下がり、今日は零度というような土地です。もともと人間の体質に合わない地に無理して住み着いているものだから、風邪を引くのは当たり前、この土地2年目の新参者の私がどんなに気を付けたって風邪にやられてしまうもの。毎年決まって体調を崩すことにも慣れてしまったこの地に人々は、2週間、下手をすれば1っか月と続く病気には慣れっこです。私も2年目の経験者なので、去年のようには慌てず達観し、今日は一日引きこもって司馬遼太郎の『ロシアについて』を読みふけりました。

 それでもつくづく思います。健康が一番、だと。

2014年9月

2014年09月17日 | 日記
 3年目のペルミ生活を始めるために故郷の日本から戻ってきました。
早いものでまったくの初心者だったペルミ生活も3年目の山場を迎えようとしています。
今年も夏に日本に帰り、少し多めの2か月強という夏休みを胸をはって享受し、そしてすでに零度の気温を上回るロシアはウラル山脈のふもとの街へ戻ってきました。

この日記もいつも冬に向かう頃、執筆活動が盛んになり、夏に向かう5月頃からはまったく筆を取らなくなるという現象が続きます。
いかにロシアの冬が長いか、ドストエフスキーやトルストイなる文豪を生むのに最適の地なのかが思い起こされます。

日本に戻ったあとのロシアは、ロシアのカンが戻るまでがなかなか大変でまだ本調子とは言えません。けれど去年の今ごろウラル山脈のトリッキー気候に弄ばれてまんまと体調を1っか月近く崩した痛い経験はもうしたくないと、今年は体を温め、平日でも平気でニンニクを食べ、最高に健康に気を遣う毎日です。みなさんも秋の読書と食べすぎと女心には気をつけてお過ごしください。