ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

雪ん子

2014年10月25日 | 日記
 地面が雪で完全に埋まってしまったある日の午後、授業の合間に私は備品の買い足しのため重装備をして、まだ慣れぬ雪道に気を配りながら下を向いて歩いていました。
心の中はただ一つ、雪が降ってしまった、ということだけを思いながら。

 すると「こんにちは」という声が聞こえたのです。
今来た雪道を振り返ると、小さいスラバが雪道のベンチに座ってポテトチップスを食べているのです。
マイナス10度の中、手袋もつけずに平然と素手でポテチを食べているスラバの姿を見て、思わず「スラバ、何してるの」と頬を抑えてしまいました。
スラバはさも私の言いたいことはわかるというように「お母さんを待ってるんだ。」と言いました。
後日談によると「ポテチを買っちゃったからあそこで食べたんだ」ということでした。

スラバのしゅりけん

2014年10月25日 | 日記
 前期に教えていた学校一の悪ガキちびっ子たちは夏休みを境に目を見張るほどの成長ぶりで
背も伸びてもうちびっ子とは言えません。

 今、火曜日と木曜日に教えているちびっ子は正真正銘の10歳のちびっ子たちです。
前期の悪ガキに比べると断然の優等生でちゃんと座りノートを広げます。
そして私のロシア語の発音を直してくれさえします。

ある日、その中のスラバという男の子が「見て、見て!」と言って鞄から取り出したのは、たくさんの手裏剣です。
折り紙を持っていないスラバは、手裏剣用に一枚の大きな厚手の白い紙を買ってきました。
そしてそこに覚えたてのひらがなを書き色を載せデザインしました。
スラバにとってひらがなは不思議なデザインに値するものとして映ったのでしょう。
世界でたった一つのスラバが作った手裏剣です。

たった一度授業で折った手裏剣の折り方をスラバは覚えていて、家で一生懸命に作っているスラバの健気な姿を想像して
感激してしましました。「こんな綺麗な手裏剣は見たことがない」と言いました。
スラバが私にくれた手裏剣は、触り心地がよく丈夫でよく飛びます。

冬到来

2014年10月25日 | 日記
 一夜にしてウラル山脈に奥深く佇むペルミの街は冬になってしまいました。
ロシア人自身も10月に冬が来た、とショックを受けているぐらいなので私のダメージはひとしおではありませんでした。
例年より一か月も早く冬が来てしまったということは、7か月以上の長い冬をすごさなければならないということです。

 毎年、本格的に雪が降り積もり始めた初日から1週間は、どうしようも行き場のない気持ちが襲ってくるのです。
何も言わぬ静寂の中に閉じ込められた気がしてくるのです。

 15階建ての建物の窓から見る景色は、ブルーグレーの空に遠くのビルのライトが霞んで、それがまるで大海原を照らす灯台のように見えました。

ロシア流仕事の流儀

2014年10月05日 | 日記
 もういい加減、驚かないのですが、ロシアは何事も不意なのです。
不意打ちで事がおこるのです。ロシア人曰く、ロシアのいいところは「毎日、何が起こるかわかないところ」らしいです。刺激的ですね。

 仕事ももちろん例外ではありません。
いつもと同じ木曜日の朝を迎えました。
朝ご飯を食べていたら、同僚のユーリャから電話がなりました。
「今日は日本語のマスタークラスがあるから着物を着てきてほしい」だそうです。
ユーリャ自身も今朝、不意打ちに聞いたことだったらしく事情をよくわかっていません。

 もちろん私もそんな朝の一本の電話では何もわからず仕舞いでしたが、とりあえず着物だけは必須ということがわかったので
その後、学校へ行き指示通り動きました。

 事前に報告がいきわたっていない分、責任感を持つ機会もなく、どこかに不満や怒りさえ持たなければ楽は楽なのですが、このやり方は本当にやめたほうがいいと今でも思います。

 けれどどんなに仕事のできる上司を見いててもやっぱりこの直前行動だけは改めないので、これは正真正銘のロシアのやり方なのですね。
だからペレストロイカも急に変えようとしてうまくいかないし、国の命運にもかかわってくるのだと思うのです。

 これはロシアの祝日の決め方にも反映されていて、日本の場合、お正月の休みやGWはあらかじめカレンダーに赤字で書き込まれていると思います。ところが、ロシアは政府がその都度決めるとかで事前にはわからないのです。したがって会社や機関や学校も休みの設定を事前に行わないのです。私は旅行などの予定を入れたいときに、当初はヤキモキしていましたが、今は休みを見越して勝手にチケットを取ってしまうまでに成長しました。

 それとロシアに来たてのころ、よく周りのロシア人が「忙しい、忙しい、時間がない」と言うのを耳にして、初めは「そんなに忙しいのか」と思わなくもなかったのですが、あまりにも頻繁にこの言葉を複数の人から聞くので、突き詰めていけば、これも直前に物事をしているからということに他なりません。世界のトップ・ビジー都市東京から来た私にはペルミの人が息つく間もなく忙しいなどとはぜんぜん思えなかったのです。















心落着けない場所

2014年10月04日 | 日記
 ヨーロッパでもアジアでもモロッコくらいならアフリカでも一人で行ける私ですが、どうしても行くことに気が進まない処があります。
それはロシアのスーパーマーケットです。

 今朝も起きてパンもご飯も炭水化物系が何もないことに気づき、朝からスパゲッティを茹でようかとか一通り逡巡した結果、スーパーマーケットへ行くのが嫌だからという理由で、冷蔵庫にある最小限のものを食べて間に合わすことにしました。
3時間ほどもったのですが、やはりお腹が空いて、結局はスーパーマーケットへ向かいました。
ロシアのスーパーマーケットは日本と同じか、下手をしたら日本よりも高いかもしれません。
白菜は日本で買うものより一回りの小ささで180円もします。
レタスの細切れセットも240円ぐらいします。ナスも冬は太めのものがたった一つで180円ぐらいです。
いまだにロシアの食事情に慣れない私ですが、野菜も果物も種類が少なげで、その儚げな様子を見ているだけで、創作意欲も食欲も減退してしまうのです。
 
 ドイツに住む友達が食べ物ブログを展開していて、その華麗な食生活の豊かさに舌を巻いてしましました。日々、我慢して食堂で食している私とは大違いです。
それもあって、本日の夕飯に、たまには腕を振るってこってり系カルボナーラ・スパゲッティを作ろうとついでに朝のうちから計画し買い物しました。

 それともう一つ、こんなにもロシアのスーパーマーケットに心身順応しないのは、スーパーマーケットの放っている蛍光灯の無機質な雰囲気を無表情のロシアの店員が放つ不機嫌な空気が覆ってさらに居心地悪く感じさせていることです。愛想がないのは文化だとはわかっていても、こうやって日々の生活の心の奥に悪い科学物質のように堆積してしまうのですね。

 さて無事に買い物を済ませ、朝ご飯の炭水化物にありつけた後、夕飯分のカルボナーラ用のパルメザンチーズを買い忘れたことに気づきました。
けれどもうさらさら買いに行こうなどという気はパルメザンチーズの粉がサラサラ舞い落ちるように心を掠って思いもしないのです。







花を運ぶ人

2014年10月04日 | 日記
ロシアは花屋さんが多いです。
どうしてこんなにもロシア人は花が好きなの、と思うほどの店舗の多さです。
「けれど売っている花の種類は全部同じ」とは私に花をくれたビクトルの言葉です。

彼は、学生の時、花屋さんでバイトをしていたそうで、ある記念日の一日の終わりに
自分のその日のバイト代と引き換えに残りの花を買い取り、お母さん、友達、方々に配りあげたそうです。
なんて素敵なロマンチックな話。

ヨーロッパの男は花束が似合う、との言葉通り、ロシア男も花をあげるのは習慣、
ロシア女が「私に花もくれない男なんて」と嘆き怒っているのをよく聞きます。

 ロシアのデート事情は、男の人が何から何までおごらなければならないのがルールです。
割り勘国の日本からすれば女性には素敵なことですが、ロシア男は大変ですね。

教師の日

2014年10月04日 | 日記
 ロシアは日本と同じく世界でもトップ級に祭日が多い国らしいです。
本日は『教師の日』でした。その他、『ファイナンシャリストの日』や『軍人の日』やドイツに勝った『戦勝記念日』や3月8日の『女性の日』などがあります。
私の勤めるペルミの学校ギムナジアNO2の食堂も毎年の恒例のごとく食堂はディスコと化しました。

 初めてこのパーティーに参加し驚愕した衝撃は今でも忘れられません。
教師は女社会とされているロシアです。ヨーロッパなどに比べて金髪率の多い元々派手な容貌をさらに派手な色で着飾り面積も容量も大きいロシアの女教師たちがずらーっと並んだり踊っている姿には圧巻されました。
通訳のアリョーシャは、お尻が踊っている、とひどいことを言っていました。

 私も素敵な男性から百合の花束をもらいました。
清楚だけど豪華な百合の花は、花開いている時間も長いし、花弁を摘み取るのも素敵に感じます。
ヨーロッパの男は花束がよく似合う、とはドイツに住んでる友達談です。